あらすじ

普段は人が入り込まないような、深い、深い森の奥。
その森に囲まれた山の頂にある廃墟と化した城を根城にしているのがマッティス山賊だ。頭のマッティスと仲間たちは谷間を通りかかる商人たちを襲っては生計を立てていた。

雷鳴がとどろき、鳥女が叫ぶ嵐の夜、激しい雷が落ちて城が真っ二つになってしまう。そんな大変な夜に、マッティスに一人娘が生まれた。
名前はローニャ。山賊の娘ローニャ。

マッティスや母のロヴィス、そして山賊たちに見守られながら、すくすくと成長したローニャは、ある日、城を出て一人で森に行く許しをもらうことになった。しかし、生まれて初めて出た外の世界は、美しいと同時に不可思議な生き物たちの棲む恐ろしいところでもあった。ローニャは自分の力で、また父や母の助けを借りながら、徐々に森で生きるすべを学んでいく。
そしてある日、ローニャは、ビルクという名の少年と出会う。ビルクはマッティスが対立する山賊の頭ボルカの息子で、ローニャたちが知らぬ間に、裂けた城の反対側へ引っ越してきたのだった。

はじめはビルクとぶつかり合っていたローニャだったが、森の中で助け合ううちに、いつしかお互いを「きょうだい」と呼ぶほどに仲良くなっていく・・・

これは一人の少女の成長をとおして描く、家族の物語。

コメント

宮崎吾朗監督のコメント

ジブリの外へ武者修行に出された僕に、川上さんが最初に提案した企画は、僕も大好きな堀田善衞さんの『路上の人』でした。西洋中世のキリスト教を扱ったこの本を、何とかTVシリーズに出来ないかと1年余り格闘しましたが、僕らの手には余り過ぎ、結局断念せざるをえませんでした。

そんな時に思い出したのが、かつて映画化の企画を断念した『山賊のむすめローニャ』でした。難しいテーマを扱った原作を、無理やり映像化しようと試みるよりも、子どもたちにむけた作品をきちんとやるべきではないか、と思ったのです。僕もTVで育った人間です。その自分が子どもだった時に観たようなものを、今度は大人になった自分が、今の子どもたちに向かって作るべきだと思ったのです。

偉大なアストリッドおばあちゃんは『山賊のむすめローニャ』で、子どもたちには自ら成長していく力を信じなさい、大人たちには子どもから大いに学びなさい、そして子どもも大人も互いを尊重し合い、本当の意味での自由を手にしなさい、と言っているように思います。そのメッセージを、誤ることなく映像にすることが出来たら、これに勝る幸せはありません。まだ道半ばではありますが、僕たちの『山賊の娘ローニャ』が沢山の皆さんに観ていただけることを願っています。

原作について

原作者であるアストリッド・リンドグレーン(1907年-2002年)は、『長くつ下のピッピ』や『ロッタちゃん』などの作品でその名を世界中に知られ、1958年には国際アンデルセン賞を受賞したスウェーデンを代表する児童文学作家。

『山賊のむすめローニャ』(原題:Ronja Rövardotter)は、1981年に書かれたリンドグレーンの代表作の一つで、美しい自然を背景に、親と子、少年と少女の愛情を見事に描いたファンタジー。日本でも、大塚勇三氏による翻訳が1982年に岩波書店から刊行され、以来30年以上にわたり読み継がれている名作児童文学である。

1984年には本国スウェーデンでタージェ・ダニエルソン監督によって、実写映画化され、1985年のベルリン国際映画祭で“独創的な映画賞”を受賞している。