終戦後、長崎から仕事を求めて岸和田にやってきたテーラー職人・周防龍一。泉州繊維商業組合を通して糸子と出会い、仕事のパートナーとして時間を重ねるうちに、ふたりの間に特別な感情が芽生えていく…。今後の糸子の生き方に、大きなきっかけと影響を与える人物に間違いありません。そんな周防を演じる綾野 剛さんに、役どころへの思いを伺いました。
Q. 役どころへの思いを聞かせてください
A. まっすぐで職人肌。そして人が大好きな男です
周防龍一という人は、真面目で職人肌。今の時代で言うところの、アーティスト気質なんだと思います。さらに人が好きなんでしょうね、とっても。サービス精神がすごく旺盛だから、宴の場で三味線を披露したり、糸子の子供たちにオルガンを弾いてあげたりする。決して斜に構えているのではなく、人とつながる作業が好きだから、そのための道具として三味線なんかがあるんでしょうね。
周防は長崎出身ということで、初めての長崎弁にチャレンジしました。やっぱり大変でしたね。セリフは覚えられても、本番中のアドリブは返せないので「はぁ」しか言えない(苦笑)。その時は、何を言われても徹底して笑っています(笑)。
印象に残っているセリフは、「きれか(美しい)」とか、シンプルな言葉です。「好いとった」なんか、ワードとしては短いけれど、メールで書けばハートマークが5個くらいぶわーっと付くような、それくらいのインパクトがありますよね。口にしていて、楽しいです。何となくすべて救われた感じになるんですよ。散々長いセリフの最後にこんな言葉があると、この「きれか」を言うために最後までたどり着こうという感じになる。長崎弁という言葉の強みですよね。
周防は長崎出身ということで、初めての長崎弁にチャレンジしました。やっぱり大変でしたね。セリフは覚えられても、本番中のアドリブは返せないので「はぁ」しか言えない(苦笑)。その時は、何を言われても徹底して笑っています(笑)。
印象に残っているセリフは、「きれか(美しい)」とか、シンプルな言葉です。「好いとった」なんか、ワードとしては短いけれど、メールで書けばハートマークが5個くらいぶわーっと付くような、それくらいのインパクトがありますよね。口にしていて、楽しいです。何となくすべて救われた感じになるんですよ。散々長いセリフの最後にこんな言葉があると、この「きれか」を言うために最後までたどり着こうという感じになる。長崎弁という言葉の強みですよね。
Q. 役づくりで苦労したことはありますか?
A.三味線、オルガン、長崎弁。とにかく課題だらけ(笑)
三味線にオルガン、長崎弁…と、周防という役づくりにはすごく課題が多かったですね。「僕、なんか悪いことしたかな…」って思うくらい(笑)。
中でも、三味線は本当に大変でした。先生は現役の芸者さんで、すごく教え上手な方だったのですが、本番の一週間くらい前に教えていただいてからはひたすら個人練習の世界。もちろんセリフも覚えなきゃいけないし、「じゃあ、三味線弾きながら考えようか」というような感じだったので、まぁ素直に大変でしたね(苦笑)。
中でも、三味線は本当に大変でした。先生は現役の芸者さんで、すごく教え上手な方だったのですが、本番の一週間くらい前に教えていただいてからはひたすら個人練習の世界。もちろんセリフも覚えなきゃいけないし、「じゃあ、三味線弾きながら考えようか」というような感じだったので、まぁ素直に大変でしたね(苦笑)。

正直、やる前は趣味のギターとそんなに変わらないでしょうと思っていたんですけど、実際は「ここまで違うもんか…」と思いましたね。逆に、ギターの癖がついているから余計やりにくいというか。そもそも持ち方から違っていて、ギターはお腹につけて弾くから固定しやすいんですけど、三味線は右腕と右足のももで挟むように固定するので、筋肉がガッチガチになるんです。でも、楽器って面白いですよね。あるシーンの撮影で三味線を構えた時、「あれ?」と思うほど急に気負いがなくなって。今では違和感なく、すっかり身体になじみました。
まぁ大変なんて言っていますが(笑)、僕は役者なんで、できる範囲でしっかりやろうとポジティブに取り組んでいます。何といっても国民性のある連続テレビ小説ですから、作品のパワーに引っ張ってもらっている感じですね。
まぁ大変なんて言っていますが(笑)、僕は役者なんで、できる範囲でしっかりやろうとポジティブに取り組んでいます。何といっても国民性のある連続テレビ小説ですから、作品のパワーに引っ張ってもらっている感じですね。
Q. 周防にとって糸子はどんな存在なのでしょうか?
A. 周防という存在に背中を押され、糸子はまたひとつ前に進む
糸子と周防の間には、洋服デザイナーとして、テーラー職人として、一緒に仕事をする上での「信頼」があります。そこがきっかけとしても、ふたりの中にやがて男女の感情が生まれるのは信頼だけじゃ成立しないと思うんですよね。きっと、そこには「尊敬」の気持ちがあるんじゃないかな。
あと僕が思うに、周防の奥さんはきっと天真らんまんで、からっと気持ちのよい女性だったんじゃないかと考えるんです。それが原爆の後遺症で、周防の知っている奥さんじゃなくなった。そして、糸子が酒に酔ったり、怒ったり泣いたりする喜怒哀楽の激しい姿を見て、かつての奥さんをどこか投影したんじゃないか、と。きっと安心感を感じたんでしょうね。
あと僕が思うに、周防の奥さんはきっと天真らんまんで、からっと気持ちのよい女性だったんじゃないかと考えるんです。それが原爆の後遺症で、周防の知っている奥さんじゃなくなった。そして、糸子が酒に酔ったり、怒ったり泣いたりする喜怒哀楽の激しい姿を見て、かつての奥さんをどこか投影したんじゃないか、と。きっと安心感を感じたんでしょうね。

僕は、糸子と周防の関係を、ただ美しいものにしようとは思っていません。ふたりの感情はやっぱり心が痛いし、また人を好きになってしまったことは、ある意味、孤独の現れでもある。ただ決して、悲しいもの同士の傷のなめあいではなく、尊敬とか安心感とか、心地よさとかがたくさん含まれているように演じたい。周防という存在があって、糸子はまた背中を押されて前に進むのでしょう。すべての経験が糸子にとって必ずプラスになると思いたいし、彼女はそういう人だと思います。
Q. 「カーネーション」の見どころを教えてください
A. 渡辺あやさんの脚本は、僕にとって挑戦状です
渡辺あやさん脚本の作品に出演するのは、今回が初めて。そういう意味でも、うれしかったですね。
あやさんの脚本はト書き(セリフ以外の描写説明)が少ないので、セリフの行間を埋める作業をすることがすごく楽しい。まるで映画の脚本みたいですね。「行間はそれぞれ考えて埋めていってくださいね」という、ある種の挑戦状だと僕は受け取っています。演出が固定されていないことで伸び伸びと演技ができるし、例えば糸子役の尾野真千子さんを見ていても、さらに脚本を超えていっているという感じがします。
あやさんの脚本はト書き(セリフ以外の描写説明)が少ないので、セリフの行間を埋める作業をすることがすごく楽しい。まるで映画の脚本みたいですね。「行間はそれぞれ考えて埋めていってくださいね」という、ある種の挑戦状だと僕は受け取っています。演出が固定されていないことで伸び伸びと演技ができるし、例えば糸子役の尾野真千子さんを見ていても、さらに脚本を超えていっているという感じがします。

尾野さんとのお芝居は楽しいですよ。いい意味で周りを巻き込んでいける人なんで、僕も素直に巻き込まれてしまえば、一緒にやっていて苦労することはないです。過去にも共演しているので、お互いに信頼関係が成立していると僕は思っています。
僕としては、ぜひ周防のまなざしの先にあるものを見てほしいですね。つまり、周防を通しての糸子を見てもらいたいということ。それくらい魅力的な糸子がそこに存在しているということを感じてもらえれば、うれしいです。
僕としては、ぜひ周防のまなざしの先にあるものを見てほしいですね。つまり、周防を通しての糸子を見てもらいたいということ。それくらい魅力的な糸子がそこに存在しているということを感じてもらえれば、うれしいです。

