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江戸時代の音づくり 〜FMシアター『蘭学遺言状』〜

2013年4月20日(土)22:00〜22:50 NHK-FMにて放送!

【NHKネットラジオ「らじる☆らじる」にてインターネット同時配信】

 

 

こんにちは、音響デザイン部 平田と申します。

FMシアター『蘭学遺言状』の音響効果を担当しています。

 

とはいえ、急に音響効果と言われてもなかなかピンとくる方も少ないかと思います。

 

一言でいいますと、「音響効果」とは、ドラマのなかの「音」をつくり設計・構成する仕事なんです。

 

今回はこの『蘭学遺言状』での制作風景をもとに、

「オーディオドラマの音」についてお話ししたいと思います。

 

 

 

何はともあれ、まずはあらすじをご覧ください。


 

江戸時代半ば過ぎ、『蘭学事始』で名高い杉田玄白と陸奥一関の医者・建部清庵との間で交わされたオランダ医学についての往復書簡『和蘭医事問答』。

その第一通には、宛名が記されていない。清庵が、誰とも知れぬ医家に宛てた手紙を江戸へ出る教え子に託したのだ。

この史実をもとに、若き医学生が江戸の俗塵にまみれ悩みながらも医師として志高く歩みはじめる姿を描くヒューマン時代劇。

(NHKオーディオドラマHP http://www.nhk.or.jp/audio/ より抜粋)

 


 

今回の舞台は、1700年代後期の江戸。

テレビドラマならば、江戸の町並みや着物姿・ちょんまげ姿の人々が映ることで視聴者の皆さんに「時代劇だな」とすぐに分かっていただくことができます。

しかしラジオの場合、場所や状況も音で表現しなければなりません。

いわば、音が美術セットの役割も担っているのです。

 

そこがオーディオドラマ独特の表現方法であり、私たち音響効果の腕の見せどころでもあります。

 

例えば、冒頭のシーンは、江戸は浅草奥山

浅草寺の裏手、俗っぽく猥雑な江戸下町の賑わいを、周囲を囲む草鞋雪駄の足音、テンポよく響く見世物小屋の口上棒手振りの売り声鳴り物かしましい町娘の笑い声など様々な音を使って表現しています。

 

そのほか茶屋庶民が暮らす長屋など、時代劇ならではの場面が満載!

音だけでシーンを思い浮かべていただくために、それぞれの特徴的な音やイメージを想像・考証して組み立てていきます。

 

そこでドラマに必要となる音をつくるのが、このスタジオ!

 

 このスタジオ!

 
床をご覧頂くとコンクリート、大理石、草地、土、リノリウムなど、様々な素材が敷かれています。また階段やドアなどの建具、左奥には水音を収録するためのプールも。

これらの道具、そして身体を使って、「生音」と呼ばれる効果音をつくります。

 

 

これは、主人公・衣関甫軒(きぬどめほけん)の師 建部清庵が座敷に入ってくるシーン

座敷に入ってくるシーン。

事前に収録した俳優さんの芝居を聴きながら、襖を開ける所作の音を足すことで、ドラマに臨場感リアリティが生まれます。

 

こちらは主人公・甫軒、緊迫の手術シーン。

当時用いられていた手術道具を考証し、音を想像しながら再現します。

音を想像しながら再現します。

 

 

今度は、手にざるや笠、金物などを持ってマイクの前を行ったり来たり。

江戸の物売りたちがせわしなく通り過ぎていきます。

このとき収録した音は、前述した冒頭・浅草奥山のシーンで使っています。

冒頭・浅草奥山のシーンで使っています。


こうして収録した音と、これまで私たち音響デザイン部が各地で収録・作成した自然音などの効果音(SE)などを組み合わせることで、当時の江戸世界を作り上げていきます。
 

当時の江戸世界を作り上げていきます。

これら効果音は、物語の状況を説明するだけではありません。

登場人物の心の動きやキャラクター、シーンの意味をも表現しているのです。

 

例えば、誠実でまじめな性格の主人公・甫軒と、いかにも「江戸っ子」な、軽やかだけれど気が短く、義理人情に厚い江戸の町人・梅吉とでは、足音にも違いを持たせています。また、登場人物の心情の変化によって、歩き方や所作も違ってきます。

それらがセリフや音楽と組み合わさったとき、より強く物語や感情を浮かび上がらせる要素となるのです。

セリフや音楽とともに、効果音にも耳を傾けてみると、また違ったオーディオドラマの楽しみを感じていただけると思います。

 

今回、劇伴(ドラマの劇中音楽)を手がけてくださったのは、日高哲英さん

ほのかに漂う蘭学の香りと異国への憧憬、いわゆる「聞くも涙 語るも涙」というような人情劇から一歩引いた視点で、主人公・衣関甫軒の若々しさと実直な姿勢、そして梅吉やお千代、辰次郎といった江戸の人々との関わりを通して、医師として成長していく姿を鮮やかに浮かび上がらせてくださいました。

 

俳優の皆さんの、思わず聞き惚れてしまう売り口上も、時代劇ならではのお楽しみのひとつですよ〜。

 

FMシアター『蘭学遺言状』、ぜひともお聴きください。

 

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rangaku.jpg
FMシアター「蘭学遺言状」


作・小林克彰  音楽・日高哲英

<放送日>
2013年420日土曜日 22:00-22:50 NHK-FM



<出演>
成河 石橋直也 小林勝也 山本亨
深谷美歩 大家仁志 大西玲子 鍛治直人
井内勇希 上川路啓志 浅場万矢 渡辺優奈




 

投稿者:スタッフ | 投稿時間:17:00 | カテゴリ:オーディオドラマ

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