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特撮の見せ場、ヤズノ砦! 『精霊の守り人』空想美術ファクトリー2 前篇

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シーズン2でご好評をいただいた美術担当・山口類児さんのインタビュー『空想美術ファクトリー』。最終章では、新たにスタッフに加わったデザイナー・神林 篤さんとの対談形式でお届けします。第1回は、最終章に参加した映画監督・樋口真嗣さんと日本の特撮の第一人者・尾上克郎さん、そして美術スタッフがどのように共同作業を行ったのか。白熱する打ち合わせの様子やドラマでは珍しいミニチュア制作の裏話など、本音で語っていただきました。(後篇はこちら:『シーズン1とは違う「不穏な空気」をどう伝えるか』



樋口真嗣さんの絵コンテに衝撃を受けて。


seirei3_yamaguchi_0204.jpg(ヤズノ砦の戦闘シーン。迫力のシーンの舞台裏は…)


山口:特撮の見せ場のヤズノ砦をどう見せようかというのは、大変だったところです
。樋口さんと尾上さんという特撮のレジェンドみたいな人が参加してくれているから、演出家と大きなプランを決めて、ここからここまでは千葉のロケ場所で撮影して、この部分は合成で処理しようとか、アイデアをいただきながら完成させていきました。

神林:ヤズノ砦の絵コンテは主に樋口さんが描いてくれました。

山口:僕らもあまりやったことがないやり方で。普段は図面を描いていくんだけど、樋口さんは絵も描けちゃうので、僕らのスケッチをもとに、さらにモリモリに盛って膨らませて。こういうシーンをこういうアングルでこう撮ってと、演出プランも含めて提案してくれました。そういうキャッチをボールして、進めていきましたね。

神林:そうそう。最初の打ち合わせのときに、樋口さんがいっぱい描いてきてくれました。

山口:まず、僕たちが話のたたき台としてスケッチやプランを持っていって、その後、樋口さんがふくらませるという流れで。最初の打ち合わせで「こういうふうにしたらおもしろいんじゃない」って絵を描いてきてくれて、「やれますか」って言われて、そのスケール感というか、ボリューム感に衝撃を受けました(笑)。


尾上克郎さんがミニチュア制作を担当。
山口:最初は象徴的なカットのイメージを描いて、その後は、もうカット割りの絵コンテ。岸デザイナーの元のアイデアを樋口さんがボーンと膨らませくれました。その絵コンテをもとに、「じゃあ、この城は6分の1サイズの模型をつくってやればいいよ」みたいな特撮のアドバイスを尾上さんがしてくれました。これは初めてのコラボレーションでしたね。

山口:まずミニチュアで全体像をつくって、それをもとに、神林とどの部分をセットでつくるか、またつくれるのかって相談して。この城のこの画(え)はどうやれば撮れるか、と神林と樋口さんで相談して、「こういうセットでやればできる」とつめていきました。

神林:そうですね。例えば、ヤズノ砦は全体像だと、ものすごい大きさなので、その一部分を千葉のロケ地につくって。また全然違う場所、緑山のスタジオとかに建てたりして。砦の内部の上部は、周りの風景が見えるところなので、そこから見える丘の上の風景は、別のところで部分的に砦の上部だけを建てて撮影しました。

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ヤズノ砦の1/6模型。ミニチュアといっても人の身長を越す大きさ!

何度もデザインし直した攻城兵器。

神林:今回、攻城兵器が出てくるんですが、そこはこだわりました。どのくらいの大きさかという設定をこちらで預かって、検証してデザインまで起こして。実際、攻城兵器から砦にアームみたいなのが架かって、人が乗り込むというシーンがあったのですが、大きさとかも含めて相談しながら全部設計して。実際どう撮るか、っていうところまで計画しないといけないので、最初のデザインがすごく大事でした。

神林:そこがいちばん苦労したところですね。最初の絵コンテが僕が描いたスケールとは全然違う形で、そこからもう何回もやり取りして、初期の頃は、1日のうちにも2回も3回も描いてデザインし直して、とわりと集中的にやったかな。そのなかで、いろいろ樋口さんの意見とかもいただいたりして、最終型に落とし込んでいった感じです。

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ヤズノ砦の合戦に登場する投石機と指揮車両は自信作。
神林:
僕の担当では合戦シーンかな。投石機がいちばんの自信作なのでぜひ観てほしいですね。

山口:神林デザイナーは、この作品の前は『真田丸』を担当していたから戦国時代のノウハウがあります。とにかく合戦シーンは見せ場なので、樋口さんのノウハウで見たことのない、スケール感のある合戦シーンにという部分と、神林が『真田丸』とかNHKの時代劇でやってきた戦国時代の戦いのノウハウが合わさって、すごく見応えのある合戦シーンが出来上がったと思います。

神林:あとは指揮車両かな。タルシュのクールズ隊長が乗っている戦車。後ろの方に控えていて、そこから指示を出す。どんどん砦の方に投石機で石を飛ばしていくんです。特徴的なのは士気を高めるために太鼓隊がいること。完成された映像は仮合成でしか観てないけど、ミニチュアでもつくらなかったので、つくってないラッパの部分とかをCGで付け足していくんでしょうね。seirei3_yamaguchi_0402.jpg

山口:ミニチュアに関しては、この大きさでつくればディテールまで表現できて、撮影しても本物に見えるよって、尾上さんがアドバイスしてくれたね。そのサイズ感とかは経験のなかから出てきたものだと思う。あとは、城壁に石が飛んできて壊れるシーンはここで撮った方がいいとか。これはCG、これはミニチュアでやるとか、そういう判断は特撮の経験が多い尾上さんのチームがリードして、予算のなかでやってくれましたね。

神林:『精霊の守り人』の世界観のなかで、タルシュだけはオイルを使ったりとか、兵器のなかに入れて飛ばしちゃったりみたいな。ちょっと文明が違う感じでしたよね。

山口:シーズン2から登場したタルシュの設定は、みんなの頭を悩ませました(笑)。新ヨゴやカンバルは手づくりの武器とか精神の部分で武士道を築き上げてきたけど、タルシュはまったく別の次元に文明を開花させていて。その国が襲ってきたから戦車が登場したり。樋口さんのスケッチも、人の数も文明も圧倒的にすごい国というアイデアに立っていて。そのすごさの表現が残酷さや破壊力で表現されているので、その辺も楽しんでいただければと。

山口:最終章でも細かな文化設定のルールがあって、ほんとは火薬でやれば早かった。でも、「火薬はない」というルールですから。そのなかでタルシュは、火薬はないけどオイルに炎つけて燃やすとか、そういう力を持った国にしようと。樋口さんも「火薬ないんですか。まいったな。ダメですか」(笑)って言ってましたね。さっきの城壁が壊れるところも「バーン」といけば早かったけど。ファンタジーの醍醐味は、ある決まりのなかでどうやろうかって、みんなで考えるところにあって。「なんでもアリ」にしなかったことで、逆におもしろく出来たんじゃないかなと思います。


★大河ファンタジー「精霊の守り人 最終章」

2018年1月13日(土)よる9時 クライマックスへ!
NHK総合テレビ 毎週土曜 (連続9回)
「精霊の守り人」番組公式ホームページ→http://nhk.jp/moribito

第7回「傷だらけの再会」
激しい戦火の中、タンダ(東出昌大)を探すバルサ(綾瀬はるか)は、逃れてきたマーサ(渡辺えり)やアスラ(鈴木梨央)たちと再会し共に絶望感に襲われていた。そんな中、コチャ(とまん)と出会い、偶然、タンダの居場所を聞き出し再会する。タンダは、コチャと姉・ヨーナ(マギー)に看病をしてもらっていたが、足のケガが原因で苦しんでいた。悪化したタンダの足をみたバルサは...。

投稿者:スタッフ | 投稿時間:12:18 | カテゴリ:精霊の守り人

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