スタッフブログ

『4号警備』ウラ話#10 「すべては"日常"を表現するために」

みなさま、こんばんは。
『4号警備』第6話を演出した、ディレクターの宇佐川(うさがわ)と申します。
はじめて土曜ドラマの演出をさせていただいた駆け出し者ですが、第6話、いかがだったでしょうか。


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今回はこれまでと違い、“警護の内容”を中心とするのではなく、“警護を決意するまで”を描く回でした。

そのぶん、“登場人物の内面”をクローズアップしたい。そう思った私は、準備段階でのスタッフとの全体打合せで「4号警備以外での、日々の仕事ぶり(1号・2号)とか、オフや帰り道の感じとか、“当たり前の日常”を印象的に打ち出したい。そんな日常の中で生きる登場人物たちの思いを描ければ」と話しました。
その時、スタッフのひとりがひと言。「日常ってのが難しいんだよねぇ・・・」。

そうなんです。この“日常”というものが、ドラマの世界ではとんでもない曲者なんです!

例えば、今回のクライマックス。
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朝比奈と石丸が、警備の休憩中、土手に座って話をするシーン。
初めてふたりが面と向かって、自分の足りなさを語り、そしてお互いを認め合う、非常に重要な場面でした。

ロケ地は、東京都足立区にある『荒川の土手』
地元の方々にとっての憩いの場。周りに広場や散歩コースがあり、遙か数百メートル先まで見渡せる景色・・・“日常”を演出するには、もってこいの場所です。

しかしこれが、ドラマの撮影として使用するとなると、いろいろと大変なことに・・

まず最初に動くのが、「制作部」とよばれる部署です。その場所での撮影を実現させるべく、先方とのロケ交渉や許可取りを行います。
今回の土手は、“遙か先まで見渡せる”場所のため、周囲の方への協力要請などがとにかく広範囲!撮影当日も、カメラから見えない数百メートル先に立ち、道行く人々に「ドラマの撮影をしております。ご迷惑をおかけします」と、ひたすらご協力のお願いをします。制作部の地道な仕事があって初めて、ドラマの撮影が可能となる。縁の下の力持ちです。

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ロケ地が決まると、事前に各部スタッフと現場下見を行ない、撮影をどの様に行うか検討します。
この時私は、「朝比奈・石丸は話しながら階段を登って来て、土手を渡って、最後に座らせたい。それを1カットで撮影したい」という要望を出しました。
すると「技術部」から、問題点が出るわ出るわ。何十メートルも移動する事になるけれど、ケーブルはどう配置するんだ!360度撮影するから、スタッフが隠れるための場所がないぞ!などなど・・

しかし、撮影部の面々は、同時にこう言ったりもするのです。「ここ、カメラ影が出るなぁ・・・まぁ何とかやるけど」音声部は「背後に高速道路があるから、声が聞きづらいかなぁ・・・やりますがね」問題があったら、同時にそれをどうすればいいか、全力で考え、演出の拙いプランを支えてくれるのです。

さて、撮影までの間、もろもろ画面に映る物を準備するのが「美術部」です。
セットを作ったり、ロケ地を飾ったり、小道具を用意したり・・でもこのロケは、実際にある土手をそのまま利用。いわば“飾らなくても大丈夫な場所”のはず。それでも美術部は、ここでひとつの仕事をしていました。

朝比奈と石丸が座るまわりに、自然と生えているタンポポ。実はこれ、すべて美術部が持ってきて、芝生の上に配置したものです。
「二人の切ない気持ちと対比するように、周りをあたたかな光景にしたい」という、美術部ならではの演出です。

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ほかにも、
「助監督」たちは河川敷の広大なスペースに、エキストラさんたちを配置して動きをつけ“日常の風景”を演出し、
「扮装部」(衣装・メイク・持道具)は、「働いて4時間くらいだから、警備服はこれ位シワになっているだろう」「髪の毛はあまり整っていないはず…」と、微妙なさじ加減で“日常的な警備の装い”を施し、出演者を現場へと送り出します。

そして、お待たせしました!出演者の登場です。
ドラマ撮影の世界では、作品をともに作る同志という意味合いも込めて「俳優部」と呼んでいます。

まずは演出が、俳優部に“このシーンの状況(休憩中であること、働いて何時間たってるかなど)”と、“こういう感じでスタートして、ここで座ったり…”といった、動きのイメージを伝えます。

実はこのシーン、台本上では“二人はほとんど動かない”設定でした。座っている朝比奈の隣に石丸がやって来て、座る。それだけ。
しかし私は、どうしても、二人は歩きながら、徐々に心と体の距離を近づけていく・・・という場面にしたかった。360度の日常風景と共に、二人が初めて向き合う瞬間を全身でとらえたい・・・そういう狙いを考えていました。

しかし、当然ながら台本のセリフは座っている事を前提に書かれている訳ですから、セリフと動きでチグハグな部分が、どうしても出て来てしまいます。
私が俳優部に説明しながらも、なんとなく矛盾が匂って来て、周りの皆から「やっぱり、難しいんじゃないかなぁ・・」という空気が流れます。私も正直、ちょっと自信がぐらついて来ました。
その時です。説明を聞き終わった窪田さんがひと言。


「宇佐川さんのプランで、いちど動いてみましょうよ」
「(たぶんその場の全員)・・・!!!」

 

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さっそくテストに臨んでくれた窪田さんと北村さん。
きっと最初は動きづらく、戸惑われたかも知れません。しかしお二人は文句ひとつ言わず、本番前に何度も黙々とトライしていました。階段を登りながら言葉を交わし、土手を渡り、河川敷の方へ・・・しかもセリフを微妙に調節し、歩きながらでもしっくりくるように工夫しながら・・・

そして迎えた「本番!」
その結果が、みなさんにお届けした映像です。

長文、失礼いたしました。これだけのスタッフ・出演者が、これだけの思いをもって、日々ドラマを送り出しています、というお話でした。
少しでも多くの人に、観て頂きたい、楽しんで頂きたい。そう思っています。

×  ×  ×  
さぁ、いよいよ土曜ドラマ『4号警備』、最終回!
朝比奈と石丸、そして4号警備メンバーの命運やいかに・・・
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皆さんの想像をこえる“最後のミッション”、ぜひ見届けてください!!!

20日(土)、夜8時15分から放送です。
http://www.nhk.or.jp/dodra/yongou/

投稿者:スタッフ | 投稿時間:20:36 | カテゴリ:4号警備

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