常識逆転!自宅で虫歯を治す法
2008年08月27日放送
近年、虫歯の常識がひっくり返る新事実がどんどん明らかになっています。「白い歯は健康」「歯石が多い人は虫歯になりやすい」なんて常識に次々と疑問符が! さらには「虫歯は早期治療が一番」なんて常識も間違っている!? どうして間違いなのでしょうか?
今回の内容は、虫歯を治す特別な方法を教える番組ではありません。穴があいてしまった歯は、もちろん、自宅では治りません。でも、“隠れ虫歯”なら治ります。“初期の虫歯”を治し続けて、“本格的な虫歯”にしない生活を送ることこそが、本当の虫歯予防と言えるのです。
「アナがあったら歯イタイ!?」
まずは、従来の「虫歯のでき方のイメージ」を検証してみましょう。
きれいな歯に自信があるという大学のアナウンス研究会の皆さんに、歯科健診を受けてもらいました。その結果は、12人中10人が「虫歯ナシ」。ところが、最新の機械を使ってもう一度調べると、なんと今度は全員が「虫歯アリ」と判定されてしまいました。
2度目の検診で調べていたのは、「歯の中」の虫歯。表面にはあらわれない、いわば「隠れ虫歯」です。
実は、ほぼすべての虫歯は「隠れ虫歯」の状態から始まります。「隠れ虫歯」が大きくなってくると、見た目にも分かる“ある特徴”が出てきます。
「大歯っ見!隠れ虫歯の正体」
前歯に隠れ虫歯があると言われたガッテン隊員。彼の歯を映画看板職人に描いてもらうと、「透明感」が無い部分があると指摘されました。実はここが隠れ虫歯なのです。
専門家に聞くと、歯の一番外側のエナメル質は、本来「半透明」なのだと言います。そこで歯をくりぬいてもらうと、確かに半透明でした。ところが、隠れ虫歯のある歯をくりぬいてみると、エナメル質が白く濁っていたのです。
「隠れ虫歯」は白い!
隠れ虫歯の部分は、周りの部分よりも白く見えるため「ホワイトスポット」と呼ばれます。
ここを電子顕微鏡で見てみると、表面下に小さな穴が無数にできて、スカスカになっています。隠れ虫歯が白く見える理由は、氷の中に気泡があると白く見えるのと同じで、本来は半透明のエナメル質の中に小さな穴がたくさんできていたからなのです。
ではなぜ、表面ではなく、歯の中に穴があいてしまうのでしょうか?
虫歯の仕組み
虫歯の原因となるのは、ミュータンス菌など、口の中に住む細菌です。細菌は糖分を食べて「酸」を生み出します。この酸が歯を溶かしてしまうため、歯に穴があきます。だから当然、“表面から少しずつ”穴ができる……というのがこれまでのイメージでした。しかし、それが誤解だったのです。
歯の表面のエナメル質は、小さな“柱”が集まった構造をしています。この柱と柱のスキマから酸がしみこみ、中が先に溶けていくのです。
こうしてまず内部にスカスカ状態の部分が広がり、その後、何かのきっかけで表面が崩れ落ちて、いわゆる「虫歯の穴」ができます。
わたしたちが食事をするたびに、細菌が酸を出し、歯の中が溶けていきます。だから「隠れ虫歯」は誰にでもあるのですが、表面下にできているため気づかなかったのです。
しかし、表面が崩落する前の「隠れ虫歯」は、治すことができます。その方法とは?
「緊急歯令 隠れ虫歯を治せ!」
人工的に作った「隠れ虫歯(ホワイトスポット)」を、洋服お直しのプロ、アクセサリー修理のプロ、自動車修理のプロの3人に預け、治してもらうよう頼みました。
2週間後、3人が持ち寄った「隠れ虫歯」を調べてみると、スカスカになっていた歯の内部が回復していました。なんと3人とも、虫歯を治してしまったのです。
3人のプロが歯を治した方法は……「口の中に入れていた」。2週間にわたり、毎日4時間以上、口の中に人工の虫歯を入れていたのです。黙って作業する時間が長い職業の3人は、この依頼に適役だったのです。
歯を治してくれるもの……それは「だ液」!
隠れ虫歯を治したのは「だ液」のパワーです。カルシウムが溶け出してしまった歯に、「だ液」がカルシウムを供給して元に戻すのです。この現象は「再石灰化」と呼ばれています。
だ液の再石灰化パワーは、口の中の“細菌のかたまり=歯垢”までカルシウムで固めてしまうほどです。実はそうしてできるのが「歯石」。だ液の再石灰化能力には個人差がありますが、「歯石ができやすい体質の人」は、再石灰化能力が高い人なので、虫歯になりにくいと言われています。
※歯石そのものは歯周病の原因となる悪いものですから、取り除くことをおすすめします。
「だ液」は毎日、隠れ虫歯にカルシウムを与えて歯を治しています。ただ、だ液が治せるのは、あくまでも「隠れ虫歯」の段階です。いったん表面が崩れて穴になってしまった虫歯は、だ液の力で進行を止めることは可能ですが、元どおりにはなりません。
「溶かすと治すのツバぜりあい」
オレンジジュースを使って、口の中の酸性・アルカリ性の状態を調べてみました。ジュースを飲んだ直後、口の中全体が酸性(pH5.5以下)になり、このままではどんどん歯が溶けてしまうという状態になりました。
観察を続けると、奥歯の側面は数秒間で中性に戻りましたが、前歯は30分以上経っても酸性のままでした。なぜ、このような違いが起きるのでしょうか?
すごい!だ液パワー
実は、酸性になった口の中を中性に戻すのも「だ液」の役割です。だ液には酸を中和する成分もあるからです。食後にシュガーレスガムを噛(か)むとよいといわれるのも、だ液がたくさん出て、口の中全体に行き渡るからです。
上の奥歯の側面には「だ液腺」があります。そのため、オレンジジュースの実験でもすぐに中性に戻ったのです。ここは虫歯になりにくい場所なのです。
※奥歯の「かみ合わせ面」は、だ液が届きにくい場所です。溝もあって歯垢もたまりやすいので、前歯よりも虫歯になりやすい場所です。
本当の虫歯予防とは「溶かすと治すの時間コントロール」
食事の後の30分間は、虫歯菌が酸を作り出すため、「歯が溶ける」時間帯です。その後、だ液が酸を中和して、「歯を治す」時間が始まります。
わたしたちは毎日、食事のたびに、歯を溶かし続けています。しかし同時に「だ液」が歯を治し続けているので、すぐには虫歯になりません。
このバランスを崩さないよう、「溶ける時間」を短くし、「治る時間」を長くすることが、本当の虫歯予防なのです。そのためには、次のような対策が効果的です。
- 間食の回数を減らす
ちょっとしたおやつや飲み物でも、「溶ける時間」は同じです。歯にとっては食事の「量」より「回数」が問題です。食べるならまとめて一度に! - 夜寝る前に食べたり飲んだりしない
寝ている間は、だ液の量が減るので酸が中和されにくくなります。よって、寝る前に飲食すると、長い時間歯が溶け続けることになります。うがいだけでは酸を中和できないので注意! 夜の歯磨きのあと、飲食してはいけません。 - 毎日歯みがき
歯みがきは、口の中の細菌を減らす行為です。これをしないと酸が大量に出て「溶ける時間」が延びてしまいます。
「虫歯を観察 新時代の歯医者さん」
山形県のある歯医者さんは、虫歯をなるべく削らない治療方針をとっています。通ってくる患者の歯の写真を継続的に撮り続けた結果、虫歯の進行は従来考えられていたより、ずっと遅いことが分かってきたからです。
定期的に歯医者さんに通い、虫歯が進行しないか見てもらっていれば、削らなくても済む虫歯もあるのです。
虫歯は「早期発見・長期観察」の時代
虫歯は悪くなる一方ではなく、常に「溶かす」と「治す」のバランスで進行するため、治す力が強ければなかなか進行しません。15年間観察を続けても、まったく進行しない虫歯もあったほどです。
虫歯は「見つけたらすぐに削って詰める」のではなく、じっくり観察していく時代になってきました。ただし、削る削らないの判断は、歯医者さんにしかできません。歯医者さんに定期的に通い、メンテナンスを受けながら歯を観察してもらうことが大切です。
※「虫歯は削らなくてよい」ということではありません。虫歯の進行の度合い、患者さんのだ液の再石灰化能力の違いなどによって、削らなければならない歯も多くあります。歯科医師の判断に従ってください。

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