突然襲う!手のふるえ
2010年03月10日放送
「何かしようとするたびに、手がふるえてしまう」
「止めようと思えば思うほど ふるえが強くなる」
こうした「ナゾのふるえ」に悩む人の数が、なんと400万人以上にのぼることがわかってきました。
料理や食事、さらには自分の名前を書くことも難しくなり、生活に大きな支障をきたしてしまうことも珍しくありません。
さらには、何気ない手のふるえが、「命にかかわる病気」や「寝たきりになってしまう病気」の前触れになっているケースもあることがわかりました!
怖い「ふるえ」の見分け方は?予防法や治療法はないのか?今回のガッテンは、身近なのに余り知られていない、私たちの手の「ふるえ」を徹底解剖します!
「こんなしぐさ 見せたくないの・・・」
撮影にご協力くださった、ある患者さんの一言です。
今回取材を始めてすぐ、「ふるえ」に悩んでいる人は推計400万人以上にのぼるという話を聞きました。
正直すぐには、信じられませんでした。私自身、生活に困るほどのふるえに悩んでいる人を、一人も見たことがなかったからです。
しかし取材を進めていくうち、患者さんの多くは自分のふるえる姿を見られないために、外に出るのを控えたり、親しい人にも隠したりしていることがわかってきました。だからこそ、それほどの患者さんがいるとは思えなかったのです。
今回の番組を制作するにあたって、多くの患者さんにふるえに悩む、辛い胸の内をお話いただきました。
本当は隠しておきたいご体験を、勇気を持ってお話し下さった皆様にとって、この番組がほんの少しでもご恩返しできるものになっていればと、切に願っています。
患者400万!ナゾのふるえ
「何かしようとすると手がふるえる」
「ふるえを止めようと思えば思うほど強くなる」
こうしたナゾのふるえに悩む人は、調査によると400万人以上いると推計されています。
ある患者さんにお話をうかがうと、ふるえのせいで料理や食事、さらには字を書くなど、生活に欠かせない様々なことが満足にできなくなってしまったといいます。
「手がふるえる」というと軽く考えられがちですが、ふるえの程度によっては、日常生活に欠かせない様々な行動に大きな支障が出てしまうのです。
このナゾのふるえには、「本態性振戦(ほんたいせいしんせん)」という病名が付けられています。この病名、実は「原因不明のふるえ」という意味です。なぜこうしたふるえが起きてしまうのか、その原因は、現代の医学でも解明されていないのです。
「命にかかわる」ふるえとは
ふるえが、命にかかわる病気の前触れになるケースがあります。
都内にお住まいのAさんは、ある日字を書こうとしたときにふるえを感じました。しかしふるえは10秒程度で収まったため、気にも止めませんでした。
ところがその後、Aさんは仕事中に強いめまいと吐き気を感じ、倒れてしまいます。検査の結果、脳梗塞(こうそく)が起きたことがわかりました。
最初のふるえが起きたとき、Aさんの体では次のようなことが起きていたと考えられています。
- 脳に血液を送る首の血管で動脈硬化が進み
「血栓」という固まりが出来た。 - 血栓の一部がはがれて脳に流れて行き、
脳の細い血管をふさいでしまった。
その結果、手の筋肉をうまく操れなくなり
ふるえが起きた。 - しかし血栓が小さく出来たばかりのものだった
ため、詰まったあとすぐに溶けた。
そのため、短時間でふるえが消えた。
このときのふるえは、いわば血管で動脈硬化が進んでいる「サイン」と言えます。こうしたふるえが起きた方の場合、その後脳梗塞を起こすリスクが高いことが分かっています。
- 思い当たる原因もなく、
ふだんは感じないふるえが突然起きた - ふるえるだけでなく、力が抜ける感じや
めまい・しびれなどを伴う
特に高血圧、高血糖、不整脈などをお持ちの方が上記のような症状を感じた場合、短時間で消えたからと安心せず、すぐに病院に行き、医師に相談されることをお勧めします。
誰でもできる!手のふるえ実験
手のふるえとは、どうして起きるのでしょうか?その仕組みを実感するための面白い実験をご紹介します。誰にでも手軽にできますので、ぜひ一度お試しください。
片手を胸のあたりまで持ち上げてから手のひらを上に向け、そこにA4程度の紙を1枚、乗せてください。
紙の端が、小刻みにふるえていませんか?
風のせいではありません。実はどんなに健康な人でも、手を持ち上げるだけでふるえが起きるんです。
これは、なぜなのでしょうか?
手を持ち上げようとするとき働く筋肉には、2種類あります。1つは「持ち上げる」ように働くもの、もう1つは「下げる」ように働くものです。
手を持ち上げて、ある場所に止めようとすると、この2種類の筋肉が「上げる」「下げる」「上げる」「下げる」・・・と交替しながら働きます。この交替を猛スピードで繰り返すと、上下の運動は目に見えないほど小さくなり、一見、手は静止しているようにみえます。しかし実際は、わずかな上下運動が常に繰り返されているんです。
先ほどの実験では、そのわずかな上下運動が紙の「ふるえ」として表れたわけです。
緊張したり、自分がふるえていることを意識したりすると、このわずかなふるえが大きくなります。これは「ふるえ」という異常を意識したことで、自律神経が緊急事態に備えて筋肉の活動を活発にして、かえってふるえを大きくしてしまうために起こると考えられています。
実はこの「誰にでもあるふるえ」のメカニズムこそが、400万人以上を悩ます「本態性振戦」のナゾを解くカギだったんです。
ナゾのふるえの正体と対策法
「何かしようとするとふるえる」
「ふるえを止めようとすればするほど強くなる」
こうした本態性振戦は、なぜ起きるのでしょうか?
実は、原因はまだ不明なのですが、患者さんは自律神経のコントロールがうまくいかなくなっているのではないかと考えられています。緊張したりしているわけではないのに、勝手に筋肉が活性化し、ふるえが常に増幅されてしまう状態になっているというのです。
少しでもふるえが出るようになると、否が応にも自分のふるえを意識させられることになります。ここで自律神経のコントロールがうまく行っていないと、自律神経がさらに興奮してしまい、ふるえはどんどん増幅され、日常生活に支障が出るほどのふるえが起きてしまうのではないかと考えられているのです。
(本態性振戦の原因は複数あると考えられており、上記のメカニズムはそのうちの一つです。患者さんのおよそ3分の2が、このメカニズムが原因になっていると考えられています)
こうしたタイプの本態性振戦には、ベータ遮断薬(しゃだんやく)という薬が効果を発揮します。
この薬は、自律神経そのものへの効果はありませんが、自律神経が筋肉を活発にするために出す物質をブロックすることにより、ふるえを抑えると考えられています。
ただし、ベータ遮断薬には心臓などへの副作用があります。心臓の病気やぜんそくなどをお持ちの方、高齢の方などには使いにくい場合もあります。詳しくは、かかりつけの医師にご相談ください。
なお本態性振戦の場合、ふるえの他に何か症状が出ることはなく、生命にも関わらないと考えられています。ふるえが生活に困らない程度のものであれば、積極的な治療をせずに様子を見るという選択肢もあります。
日本でも急増中!パーキンソン病
いま日本でも急増するパーキンソン病。全身の筋肉をうまく操れなくなり、寝たきりになってしまうこともある病気です。
現在の患者さんは、推計でおよそ15万人。この10年で日本でも急増し、介護が必要になる要因の第6位になっています。
ただ近年は薬やリハビリが進歩し、早期に発見して転倒などに気をつけていれば、普通の生活を長く続けることができるようになってきているのです。
そのため、パーキンソン病で大切なのは早期に発見すること。そのポイントは、ふるえです。
本態性振戦などが原因のふるえの場合、何かを持つ、手を持ちあげたりするなど、「手に力を入れたとき」にふるえが出ます。しかしパーキンソン病の場合、「手に力を入れず、安静にしている時にもふるえが出る」という特徴があるんです。
パーキンソン病の症状としては、この「力を抜いた時にも出るふるえ」の他に、下記のようなものがあります。
- 動作が遅くなる
- 2つの動作を同時にできなくなる
- 声が小さくなる
- 表情の変化が少なくなる
こうした症状が思い当たる場合は、神経内科などで医師の診察を受けることをお勧めします。
*パーキンソン病の症状には個人差があります。必ずしも上記の症状が全て出るわけではありません

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