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警告! 首の痛み総点検
健康

警告! 首の痛み総点検

2007年5月23日(水)
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首に軽いコリや痛みがある経験をお持ちの方は多いことでしょう。しかし、油断してはいけません。軽いコリが、激痛やしびれ、さらには寝たきりの原因になることがあるのです。

そこでガッテンが大調査。痛みの原因のなかには、なんと「首の骨にトゲができる」ことがあると判明しました。いったい首のトゲとは何なのでしょうか? その正体と対処法に迫ります。

今回のお役立ち情報
01

「ケース1 ある日突然トゲが襲う」

去年末、突然の首の激痛に襲われた40歳のAさん。これまでも常に首のコリを感じていたため、自己流の首を回すストレッチなどを行っていたところ、ある日突然首に激痛が走りました。不思議なことに、首だけではなく腕まで強くしびれてしまったのです。

医師からは、「骨にトゲができている」ことが激痛の原因と告げられました。Aさんの首を断面写真で見ると、本来は四角形に見えるはずの首の骨の一部がトゲのような形に変化していました。これは、骨の棘(とげ)と書いて「骨棘(こつきょく)」と呼ばれています。

首の痛みには、筋肉のコリや椎間板ヘルニアなど様々な原因がありますが、なかでも多いのがこのトゲなど骨の変形による痛みです。そこで今回のガッテンはこの「骨のトゲ」による痛みに注目します。

首を回すのは良くない?

健康な人が筋肉のコリなどの対策として首を回すのは問題ありません。ただ、骨のトゲが首の神経の近くにある場合、首を回すとトゲが神経に刺さりやすくなることがあります。

その場合、自己流のストレッチは危険を伴います。もし「首を動かすと、首や手にしびれがある」などの症状があれば、首を極力動かさず、医師の診察を受けることをお薦めします。

なお、医師や理学療法士など専門家が指導として行う(自己流ではない)ストレッチに関しては、その有効性を否定するものではありません。

02

「まさか私が?! “首”大調査」

健康な30代~70代の男女10名に、MRIという機械で首の骨を見る検査を受けてもらいました。すると、自覚症状がないにもかかわらず、実験に参加した10人全員に「首の骨にトゲがある」と指摘されたのです。

※「首や手にしびれがある」など症状があり医師が必要と認めた場合は、MRIなどを利用した検査を保険適用で受けることができます。しかし、症状がないのに検査をうけることは、原則としてできません。ただし、一部の人間ドックなどでは、首の検査を症状のない人に対して行っている場合があります。詳しくは、お近くの人間ドック実施医療機関にお問い合わせ下さい。

「骨のトゲ」って何?

首の骨は、重い頭を支えながらもなめらかに動くという相反する2つの役目を持っています。それを可能にするのが、骨と骨の間でクッションの役割を果たす「椎間板(ついかんばん)」です。

椎間板の中にはゼリー状の物体が入っていますが、老化や悪い姿勢などが原因で徐々に水分が抜け、しぼんでくることがあります。すると骨が不安定になってグラグラになってしまうのです。

すると、なんと椎間板との間にできたすきまをふさぐように、少しずつ骨が伸びるのです。こうしてできるのが、「骨のトゲ」です。トゲは、人体の防御反応の一つとしてできるものだとも考えられています。

痛みがある人とない人がいるのはなぜ?

痛みの有無を決めるのは、トゲのできる場所です。首の骨のまわりには、「せき髄」から枝分かれした神経が走っています。この神経にぶつかる場所にトゲができると、激痛やしびれを起こすことがあるのです。

トゲが神経を圧迫しているかどうかを見極めるポイントは、「首だけではなく、手や腕にも症状があるかどうか」です。もし症状があって受診すると、まず、MRIで圧迫されている場所を探します。

せき髄以外の神経の圧迫がある場合は、経過観察もしくは保存療法を行います(手術はしない場合が多い)。せき髄の圧迫がある場合は、手術を行うケースが多いようです。

トゲはだれにでもあるの?

年齢を重ねれば、誰にでもトゲができる可能性はあります。ただし多くの場合、トゲができても症状を引き起こすことはありません。

03

「ケース2 警告!首から寝たきりに?」

7年前、原因不明の症状で寝たきり寸前になってしまった当時77歳のBさん。健康には自信があったのに、軽いしびれを手に感じたのをかわきりに、やがてボタンがはめられなくなる、歩きづらくなるなどの症状に襲われてしまいました。

その原因は、首の骨を通るせき髄が「何らかのもの」によって圧迫されてしまっていたことでした。しかし、Bさんの骨を写真で見てみると、トゲができた位置はせき髄とは離れています。それなのになぜ、せき髄が圧迫されてしまったのでしょうか?

実はBさんの首の骨は、本来の位置より後ろにずれてしまっていたため、ずれた骨によって、せき髄が圧迫されていたのです。なぜ骨がずれてしまったのでしょうか? 実は「骨のずれ」の原因の一つが、「トゲ」だったのです。

首は7つの骨によって支えられています。首を回したりするとき、それぞれの骨と骨との間のつなぎ目が少しずつ動いて首を動かしています。

トゲができると、その場所のつなぎ目が動きづらくなります。すると首を動かすときには、他のつなぎ目が以前より大きく動かなければならなくなります。こうして負担がかかった場所の骨や椎間板がずれ、せき髄を圧迫してしまっていたのです。

せき髄圧迫のチェックポイント

せき髄が圧迫されているかどうかは、以下のような症状によってチェックできます。

  • 手がしびれる
  • 指を伸ばしづらい
  • 足がもつれる(階段を下りづらい)

これらの症状が3つともあれば要注意! 医師の受診をお薦めします。

なお「指を伸ばしづらい」というのは、簡単なテストで調べられます。そのテストとは、10秒間で何回グーパーできるかを計るというものです(グーにするときは、親指を他の4本の指で握りこみます)。

「グーパー(手を握って開く)」を1回として、10秒間で20回以上できれば問題ありません。15回~20回は注意が必要です。15回以下であれば、せき髄が圧迫されている可能性があるので、心配な方は医師の受診をお薦めします。

専門家のお話:「年のせいと思っている症状でも、実はせき髄の圧迫から来ている場合もある。その場合、治療さえすればまた元気になることもできるので、気になる方は受診を」

せき髄が圧迫されていても治るの?

せき髄が圧迫されていた場合、一般的には手術を受けることになります。首の骨を切り開き、せき髄の通り道を広げるなどの処置がとられます。

近年手術法が進歩し、早期の発見であれば後遺症もなく完治する場合が増えています。心配な方はお近くの医療機関を受診されることをお薦めします。

04

「脱!負担の生活」

首のトゲや骨のずれを予防するにはどうすればよいのでしょうか? ここからは予防法に迫ります。

姿勢によって首への負担はどう変わるのでしょうか。調べてみると、首を後ろへ10度そらせるだけで、頭の重さによる負担は普段の3倍になります。20度そらすと、5倍にもなります。普段の暮らしの中で、首をそらす姿勢を極力取らないことが大切です。

しかし先ほど登場した、首の骨がずれてせき髄を圧迫したBさんは、「上を向いたり下を向いたりはしていない」と思っていました。しかし実は、「かくれ上向き姿勢」になってしまっていたのです。そのポイントは背中にありました。

これがかくれ上向き姿勢だ

BさんのX線写真を見てみると、背中が丸いため、健康な人より首の骨が前に傾いていました。実はこれが「かくれ上向き姿勢」の原因です。

猫背の状態で前を向こうとすると、首が前に傾いているためにどうしても首を後ろへそらした姿勢を取ることになってしまいます。首に大きな負担がかかってしまうのです。

若者でも、パソコンを打つときなどに猫背でいると、モニターを見るため首を後ろへそらすことになるため、こうした姿勢を避けることが大切です。

高齢による猫背が原因で首をそらすことになってしまう場合は、つえをつくなどの対策が有効と考えられます。

“寝てるだけ”で改善?!

北海道のある病院では、トゲなどによって首に痛みのある患者さんに「ある運動法」を勧め、大きな効果を上げています。その“運動”の様子を見てみると、患者さんは“寝ているだけ”……? そのやり方は、次の実習コーナーで紹介します。

05

実習コーナー「超ラクチン!首の痛み解消トレーニング」

※首の骨には、頭の重さを支えるための負担が常にかかっています。首の筋肉を鍛えることにより、骨の負担が減るため、トゲなど骨の変形の防止や、痛みを解消する効果を期待できます。

※次の場合は運動を行わず、まずは整形外科の専門医の診療を受けるようおすすめします。[1] 安静時にも首の痛みや、上半身のしびれ・痛みがある [2] 力を入れると痛みやしびれが強くなる。

(1)寝転がりながら首の筋肉を鍛えるトレーニング

ベッドやふとんにあおむけになり、後頭部に力を入れて枕を押します。力を入れたまま5秒間、その姿勢を保ちます。力を入れた時、あごが上がらないように気をつけて下さい。

はじめは1日10回から開始し、徐々に回数を増やします。1日20~30回程度を目標にします。

図・寝転がりながら首の筋肉を鍛えるトレーニング
注意点
  • 力の目安は、全力を10とすると5~6くらい。力を入れすぎると首を痛めることもあるので、決して入れすぎないようにして下さい。
  • ひざは伸ばしても曲げていても大丈夫です。(腰痛がある場合は曲げた方がよいです)
  • 枕の高さは、あごの位置が床と水平になるようにして下さい。あごが上がりすぎたり、逆に後頭部が上がり過ぎたりしないようにしてください。薄手のバスタオルを何枚か折って枕として使うと、高さを調節できます。
  • 首を動かさないことがポイントです。柔らかいベッドやふとんなどでこの運動を行うと、あごが上がって首が動きやすくなるので、その場合は畳や床など堅い場所の上で行って下さい。

(2)寝転がりながら猫背や首・肩のコリを改善するトレーニング

姿勢や注意点は(1)のトレーニングと同じです。仰向けで枕に頭を乗せた状態で軽くあごを引き、その位置を5秒間保ちます。10回を1セットとして、1日に2~3セットから始め、徐々に回数を増やして下さい。

20~30回を1セットとして、これを1日に3セットをできるようになるのが目標です。

(3)座った姿勢で首の筋肉を鍛えるトレーニング

背もたれのある椅子に座って背すじを伸ばし、額に手を当てます。手に力を入れ、そこに向かって頭を押しつけて下さい。これを頭の前・後・左・右の4方向で行います。それぞれ5秒間ずつ力を入れて1回です。

1日10回から始め、徐々に回数を増やし、1日20~30回程度を目標にします。

図・座った姿勢で首の筋肉を鍛えるトレーニング

注意点

  • 力の目安は、全力を10とすると5~6くらい。力を入れすぎると首を痛めることもあるので、決して入れすぎないようにして下さい。
  • 力を入れる際、あごを前に突き出したり、後頭部をそらしたりしないように注意して下さい