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予防効果8倍!アルツハイマー病制圧3原則
健康

予防効果8倍!アルツハイマー病制圧3原則

2008年9月3日(水)
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今日のテーマは、いま患者数が急増しているアルツハイマー病。原因も予防法も不明と考えられてきましたが、いま世界の最新研究で、どのような生活を送れば予防できるのかが次々と明らかになっています。さらには、症状を抑える漢方薬があるという最新研究もご紹介します。

今回のお役立ち情報
01

「発見!これが原因物質!?」

アルツハイマー病の患者さんの脳を顕微鏡で見てみると、茶色いシミのようなものがたくさんあります。これは「β(ベータ)タンパク」という物質が溜まったものです。βタンパクは、脳の神経細胞が作るいわば「ゴミ」のようなもので、現在アルツハイマー病の主な原因と考えられています。

顕微鏡写真「βタンパク」

通常、βタンパクは脳の中にある酵素などが掃除してくれますが、ある要因でこの酵素が減ってしまうと、脳の中にどんどんたまってしまうのです。その要因とは、なんと「加齢」。ということは、だれでも年をとるとアルツハイマー病からは逃れられないのでしょうか?

※βタンパクがたまっても、すぐアルツハイマー病を発症するわけではありません。
※アルツハイマー病の原因には多くの仮説があり、いまだ確定していません。しかし現在、βタンパクを主な原因とする説が世界中の学会で主流であり、治療薬の開発もこの説に基づいて行われています。

02

「アルツハイマー病の症状とは」

βタンパクによって、どんな症状が起きるのでしょうか。

78歳のAさんは、今年の3月にアルツハイマー病との診断を受けました。まず「日付を忘れ、しかも直前に家族に日付を聞いたことも忘れてしまう」など、記憶障害が起きました。その後、パジャマで外出し、しかも家族がそれを止めようとすると怒り出すなど、不思議な行動を頻繁にとるようになりました。

しかしAさんにお話しを伺ってみると、会話は普通にできる上、病気についてもちゃんと自覚しているのです。

アルツハイマー病の患者さんでは、ふだんは異常が感じられないのに、突然「かゆみ止めの軟膏だと思って足に接着剤を塗ってしまう」など、普通では考えられないような行動をとる場合があります。なぜ、こんなことが起きるのでしょうか?

脳では何が起きているのか

脳は場所によって役割が分かれています。たとえば、「記憶を担当する」場所、「見たものが何であるかなどを分析する」場所、それらの情報を総合して「何をするか決定する」場所、などです。

アルツハイマー病にかかると、蓄積したβタンパクによって脳がダメージを受けます。ただし、脳には、βタンパクによる影響を受けやすい場所と、受けにくい場所があると考えられています。

まず影響を受けるのは、記憶を司る海馬(かいば)の周辺です。そのため、アルツハイマー病の最初の症状として、まず記憶障害が起きることが多いのです。

その後、影響は脳の後ろ側に広がっていきます。ここは、「見たものが何であるか」を分析するなどの働きがあるため、そうした働きが衰えてきます。

その一方で、「行動の決定」や「会話」などを主に担当する脳の前の部分は、病気がある程度進行するまでβタンパクの影響を受けにくい傾向があります。

そのため、「会話では異常を感じない」にもかかわらず、「普段なら見間違えるはずのないものを見間違えてしまう」などということが起きるのです。

※アルツハイマー病の症状には個人差があります。必ず上のように進行するわけではありません。

03

「常識逆転!NOプロブレム」

βタンパクが脳にたまり始めてからこのような症状が出るまで、およそ20年かかると考えられています。その間に、何か予防の手だてをとることができないのでしょうか?

83歳のBさんは、3年前に受けた脳の検査で異常が見つかりました。脳の写真を見た結果、同年代の人に比べて海馬の部分がが大幅に縮んでしまっていることがわかったのです。専門家に伺うと、「明らかにアルツハイマー病の疑いがある」と言います。

しかし本人はというと、日常生活に問題ないばかりか、病院で記憶力などを調べるテストを受けた結果は満点! 実は最近、脳の写真を見るとアルツハイマー病が強く疑われるのに、全く問題なく暮している人がたくさん見つかっているのです。

Bさんに症状が出ていない理由は、はっきりとはわかっていません。しかしBさんにお話を伺ってみると、実はこのあとで紹介する3つの予防術を全て守っていたことがわかりました。そのことが、発病を食い止めている可能性があると考えられるのです。

予防術その1 ◎ 3倍なりにくくする予防術「有酸素運動をする」

アメリカで3年前に行われた実験で、「運動しやすい環境に置かれたマウスは、βタンパクがたまりにくい」という結果が示されました。運動によって、脳でβタンパクを分解する酵素が活性化したと考えられています。

グラフ「βタンパク分解酵素の活性」

「運動」がアルツハイマー病を予防する効果があることは、大規模な調査でも明らかにされています。たとえば、ヨーロッパで3年前に行われた調査では、1449人を20年にわたって追跡した結果、適度な運動をしている人は、していない人よりも、アルツハイマー病の危険度がおよそ3分の1になっていることが明らかになりました。

なお、予防効果が見られたのは、1回20分以上の、ちょっと汗ばむ程度の運動(有酸素運動)を週に2回以上行っている人たちでした。

04

予防に効果!「○○○手を持つ」

島根県にある認知症のデイケアでは、患者さん自身の気持ちを知るために手記を書いてもらっています。手記には、病気がまだ軽いうちから周りの人に話しかけてもらえなくなり、孤独を抱える患者さんの思いが記されていました。

実は専門家によると、会話が減るとアルツハイマー病が進行してしまうことがあるというのです。そこで、会話をしているときの脳を調べると、とても活性化していることがわかりました。

予防術その2 ◎ 8倍なりにくくする予防術「話し相手を持つ」

8年前にヨーロッパで発表された研究によると、1203人を3年間追跡した結果、家族や友達が多く社会的接触が多い人に比べ、乏しい人は認知症の発症率がおよそ8倍でした。

その理由として、会話をすることによって脳が活性化し、アルツハイマー病になるのを抑える効果があったのではないかと考えられています。

予防術その3 ◎ 6倍なりにくくする予防術「生活習慣病にならない食生活」

ヨーロッパで3年前に発表された、1449人を20年に渡って追跡した研究によると、以下の項目があるとアルツハイマー病を中心とした認知症の危険度が増すことがわかりました。

高血圧

危険度1.97倍

高コレステロール

危険度1.89倍

肥満

危険度2.09倍

上の3つすべてにあてはまる場合

危険度6.21倍

なぜこのような結果になったのか、理由はまだ完全にはわかっていません。しかし、これらの状態は脳への血流に影響を与えたり、βタンパクを溜まりやすくしたりすることによって、アルツハイマー病になりやすくするのではないかと考えられています。

まとめ・アルツハイマー病予防の3原則

  • 有酸素運動をする
  • 話し相手を持つ
  • 生活習慣病にならない食生活

05

「漢方で朗報!家族に笑顔が戻った」

続いては「薬」に関する最新情報です。

アルツハイマー病の患者さんに起きることがある、妄想(もうそう)や徘徊(はいかい)などの症状は、「周辺症状(もしくはBPSD)」と呼ばれています。これらは介護する家族にとっても、大きな問題になります。実は最近、この周辺症状を抑える漢方薬が見つかりました!

3年前に日本の研究者が発表した研究で、漢方薬の「抑肝散(よくかんさん)」に、妄想や興奮などの周辺症状を抑える効果が確認されました。2週間~1ヶ月飲み続けると効果が出てくると言います。

薬を飲んだ患者さんのご家族に話を伺うと、患者さんの気持ちが落ち着き、笑顔も増えるようになったといいます。それによって、会話など家族とのコミュニケーションもとれるようになってきたというのです。

【抑肝散に関する注意】

  • 抑肝散は「処方薬」です。処方を受けたい場合、お近くの医療機関にご相談下さい。
  • 抑肝散の効果には個人差があり、全ての患者さんに効果を示すわけではありません。
  • 処方を受けられるかどうか、また保険が適用されるかどうかなどは、患者さんの症状によって異なります。医師の指示に従って下さい。

専門家の解説

βタンパクがたまり始める時期には個人差があり、40代で20人に1人程度、50代で20人に3人程度、70代で半分程度の人にたまり始めると考えられています。

しかしβタンパクがたまっても、今回番組で紹介した予防の3原則「有酸素運動」「話し相手」「生活習慣病にならない食生活」を守っていれば、発病するまでの期間をぐっと遅らせることができるらしいことがわかってきました。アルツハイマー病にならないようにすることは可能なのです。