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突然の激痛!盲腸(虫垂炎)の新事実
健康

突然の激痛!盲腸(虫垂炎)の新事実

2017年3月8日(水)午後7時30分
2017年3月14日(火)午前0時10分
NHKオンデマンドでご覧いただけます 番組内容を印刷する

『盲腸』って言葉、聞いたことありますよね?
なんとなく「お腹が突然、ガマンできないほど痛くなる病気でしょ?」と思われた方が多そうです。一方で、「ムダな臓器で、切っちゃった方が良いんでしょ?」なんて思われた方もいるかもしれません。
でもよくよく考えてみると、そもそも盲腸って「病気」の名前なのでしょうか?
なんで突然、我慢できないほどの激痛が発生するんでしょうか?
もしなってしまった場合、どんな治療が行われるんでしょうか?

『盲腸』は、誰でも聞いたことのある病気ですが、意外なほど知らないことだらけ! 最近、40万人近くを調べた海外の研究で、『盲腸』の新たな側面も見え始めてきています。
『盲腸』をすでに経験した人も、そうでない人にもきっと役立つ、最新情報を集めました。

今回のお役立ち情報
01

「盲腸」は「役に立たない臓器」ではなかった?

2015年に発表された研究で、「盲腸」で手術をした人7万人以上と、手術をしていない人およそ30万人を14年間近く調べたところ、手術をした人はその後1年半~3年半の間、2.1倍ほど大腸がんになりやすいという結果が示されました【※】。
一体、何でそうなったのか?まだ研究途上ですが、「“盲腸”ってムダな臓器」というこれまでのイメージを覆すような発見が、いま相次いで報告されるようになってきています。

【※】リスクが上がったのは、手術後3年半までです。その後は、手術をした人としない人で大腸がんのリスクは変わらなくなりました。
【参考文献】 Association between Appendectomy and Subsequent Colorectal Cancer Development:An Asian Population Study Shih-Chi Wu et al. PLoS One. 2015 Feb 24;10(2)

02

そもそも盲腸ってどんなもの?

盲腸は大腸の一部を指す言葉です。大腸と小腸の境目のあたりにあり、人間では小さいですが、馬などの草食動物では大きく、草などの植物を消化する働きをしていると考えられています。

でも、実は激痛の原因になるのは盲腸そのものではありません。人間の盲腸には、直径3~5ミリほどの「虫垂(ちゅうすい)」という細い袋のような臓器がついており、ここに何かが詰まったりすると炎症が起きて激痛を引き起こします。ですので、盲腸の正式な病名は「虫垂炎」といいます。

この「虫垂」という臓器は、長いあいだ役割がはっきりせず、「進化の過程で機能が失われた、ムダなもの」と思われてきました。ところが最近の研究で、虫垂にはたくさんの免疫細胞が住んでおり、健康と深くかかわる「腸内フローラ」が良い状態に保たれるよう働いている可能性があることがわかってきました。

03

どんな治療法があるの?

盲腸(虫垂炎)になったら、治療は「手術で虫垂を切除する」か「薬で炎症を抑える」場合がほとんどです。どちらがよいかは状況によっても異なり、一概には言えません。

炎症があまりにひどかったり、ウミがひどくたまってしまったりしているケースでは、手術が選択されることが多いようです。しかし、薬も進歩しているし「基本的には薬の治療(保存療法)で良い」という意見もあります。また、まず薬で炎症を抑え、その後に手術を行うという治療法も増えています。

重要なことは、盲腸は最悪の場合、命にも関わる病気だということです。どちらの治療を行うかの判断は医師が行います。必ず指示に従ってください。
ただ今回、番組で医師およそ300人に「虫垂炎の基本的な治療方針」を聞いたところ、「患者さんの意向を尊重する」という回答が半数を超えました。
つまり、いざ盲腸(虫垂炎)になったとき、医師から「手術か薬か、どちらが良いですか?」と希望を聞かれるかもしれないということ。 そこで以下のポイントを覚えておいてください。

  • 薬で治療する場合は、虫垂を切らずに保存することができます。
    でもその後、10~35%くらいの人は盲腸(虫垂炎)が再発してしまうことがわかっています。
  • 手術をすれば、二度と盲腸(虫垂炎)に悩まされることはなくなります。
    一方で最新の研究では、虫垂を切ると、その後3年半の間、大腸がんのリスクが2.1倍になるという研究も出ています。

大事なことは、手術、薬のいずれにしても、治療後はお腹(大腸)のことを大切にしてあげることです。バランスの良い食生活を心がけることはもちろん、手術をしたあとでご心配な方は、大腸がん検診を受診しても良いかもしれません。
※大腸がん検診・・・便に血液が含まれるかを調べる。40歳以上に推奨。

04

盲腸(虫垂炎)を防ぐ方法はあるの?

盲腸(虫垂炎)を予防できたら嬉しいことですが、そんな方法はあるのでしょうか?
実は興味深いデータがあります。2000人を対象にした調査で、食物繊維を多くとっている人は、そうでない人より盲腸(虫垂炎)になりにくいという結果が出ました。

実は盲腸(虫垂炎)の最大の原因は、消化物(うんち)が固まり、虫垂をふさいでしまうことだと考えられています。そこから考えると、(まだ研究の途上ですが)少なくとも腸の環境を良いものに保とうとすることは、盲腸(虫垂炎)を予防することにもつながるかもしれない、ということは言えそうです。
ぜひ、海藻類や野菜など、食物繊維が豊富な食材をバランスよく取り入れた食生活を心がけてみてください!