東日本大震災と福島第一原発の事故が起きて以降、私たちの周囲では、ワークライフバランスを見直して家族や友人とのつながりを充実させようと考えたり、交際していた大切な人と結婚を決めたりする人が増えているような気がします。さらに身近な人との関係だけでなく、地域や業種を超えた人同士が交流したり、社会貢献活動を共同で行ったりする結びつきも活発になっているように感じます。あまりにも大きな被害をもたらした(いや、今ももたらしつつある)大震災は、被災者に対しては言うに及ばず、被災地外の人たちにも大きな影響を及ぼしました。その最大のものの一つが、とてもあたりまえのことながら、「"人と人とのつながり"が、いかに掛けがえのないものか」にあらためて気づいた、というものだったと思います。
原発から20キロ圏内の「警戒区域」から避難している人たちにお話をお聞ききしたとき、特に印象に残った場面がありました。放射性物質がもたらした家族や同僚の悲惨な現状について淡々と語っていたある町の青年会のリーダーが、原発の事故処理作業に日夜通う仲間の話になったとたん、「本当にいいヤツなんです!」と、突然、男泣きされたのです。そして、「ごめんなさい。大人になってからあんな親友ができるとは思っていなかったので…」と、涙のわけを話されました。高レベルの放射線が飛び交う現場で体を張ってくれているという感謝の気持ちだけでなく、それまで当然のように付き合ってきた仲間の掛けがえのなさが頭に浮かんであふれ出した涙だと分かりました。また、そうした仲間の存在が、悲惨な現状を淡々と語る彼自身の強さの源だったのだと知り、思わずこちらももらい泣きしました。
制作スタッフで集まって、人々のライフスタイルの変化について議論をしていたときにはこんなことがありました。取材先の人たちの中に、「家族に支えられた普通の暮らしがいかに幸せか」とか「自分が誰かの役に立っていることが嬉しい」という、"人と人とのつながり"に支えられた生活について前向きに語る人が増えていて、なんだか去年まで社会を覆っていた"閉塞感"が消えてしまったかのようだ、という話が出たのです。もちろん、日本が抱える様々な困難が消えてなくなったということは決してありません。むしろ震災後さらに深刻化したことの方がはるかに多いはずです。しかし、"閉塞感"を、良い意味で多くの人々が共有し分かち合おうという、本来あたりまえの"人と人とのつながり"の大切さが再認識され、未曾有の困難を乗り越えるための力強さが日本中に生まれていると、取材スタッフは感じているというのです。
まだまだ癒えない大地震・大津波のつめあとと、思うように進まない復興への道のり。そして、後から後から明らかになる原発とその周辺地域の深刻な事態…。これでもか、これでもかと襲ってくる厳しい現実に、くじけそうになるときが全くないと言えばうそになるでしょう。しかし、互いを思い、支え合う"人と人とのつながり"は、それが人として"あたりまえのこと"だからこそ、決して弱まることはないと、多くの人が信じているのではないかと思います。
私たちの番組も、この信念を胸に、被災地の一日も早い復興を少しでも後押しすることができればと願っています。







