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空き家が収益物件に!? 新時代の活用術

空き家が収益物件に!? 新時代の活用術

2017年6月23日

解体にも維持にも費用がかさむため、放置される「空き家」の数は全国で820万戸。いま注目を集めているのが、新たな知恵で空き家を“稼げる物件”に変える活用術だ。おしゃれなカフェや宿泊施設に変身したり、都会住まいのサラリーマンが週末を過ごすセカンドハウスになったりと、そのアイデアで地域活性につながる事例も現れている。「うちの空き家は無理」と諦めていた方に、最新の空き家活用術を紹介する。

家主には思い付かないアイデアで空き家を収益物件に

建設業や不動産業を京都市で営む西村孝平さんは、10年以上も空き家になっていた築90年の町家の改修を手がけた。注目したのは徒歩10分の距離にオフィス街があること。空き家を持てあましていた家主の片岡さんから物件を借り受け、3,000万円を投じてシェアオフィスに生まれ変わらせた。

1階はビジネスマンなどに2時間500円から机を貸すスペースに。2階には、起業家など向けに月ぎめ契約のレンタルオフィスを設けた。2016年にオープンすると、お荷物だった空き家は月に45万円を売り上げる収益物件に大変身。家主の片岡さんは、維持・管理の手間から解放され、固定資産税も家賃収入で支払うことができるようになったという。

地域ぐるみで知恵を出し合い、空き家問題を解決する手法もある。空き家率が全国平均を上回り、消滅可能性都市に挙げられている東京豊島区。山田さんは商店街の一角にある空き家の家主だ。かつて夫の両親がとんかつ屋を営んだ築45年の木造住宅。思い入れはあるが、毎年10万円以上の固定資産税が負担になっていた。

活用方法を自ら探したものの八方塞がりだった山田さん。そのとき転機になったのが、区主催のまちづくりのイベント「リノベーションスクール」だ。建築家や地元の有志などが、驚くようなアイデアを提案した。

1階は地元の人が集うカフェに改修、2階は外国人向けの宿泊施設に作り替えるという。下町の風情を残す周囲の町並みは、ディープな日本を味わいたい外国人旅行客にとって魅力的で、利益を確保できると読んだのだ。将来の事業計画まで示し、運営も地元の有志が買って出た。内装業を営む地元住民や建築、財務のプロなど5人。「まちづくり会社」を作り、家主の山田さんと話し合いを重ねた。

毎年の固定資産税に加え改修費用はまちづくり会社側が負担、その代わり家主の山田さんは経営が軌道に乗るまでの2年半、家賃を無料にすることになった。提案から1年、とんかつ屋だった空き家はおしゃれなカフェと宿泊施設に生まれ変わる。1階のカフェは編み物教室が開かれるなど、地元の人が世代を超えて交流する場になり、2階の宿泊施設は1年間で延べ900人が宿泊する人気ぶりだ。

とんかつ屋の事例に関わった建築家の大島芳彦さんは、自分の家にとっての「当たり前のこと」を「外からの目がどう見るか」が大切だと語る。

「そこに蓄積された日常というのは、外から来た人にとっては非常に刺激的で、楽しめるものだったりするんですね。自分の日常生活をもう一度振り返って、その魅力は何かを考えてみることだと思うんです。」

地方の空き家解消法として注目される「二地域居住」

東京から車で2時間の千葉県南房総市。都市への人口流出が進み、空き家率は24%。ところがその空き家を積極的に購入する人たちが現れ始めた。平日は都会で働き、週末になると田舎で地元の人たちとの触れ合いを楽しむ「二地域居住」を選んだ人たちだ。

都内で働くサラリーマンの成田剛史さんが購入したのは、築60年の空き家。600坪の土地付きで年収を下回る安さだったことから購入を決めたという。そのままでは住める状態ではなかったが、家族で楽しみながら家の改修を重ね、土日は田舎暮らしを満喫。地元の人たちからも歓迎されている。

「自分の中に2つの生活がある。サラリーマンとしての生活と、自由に遊んでいる自分と。気持ちの切り替えもそうだし、人生観も違う考え方ができる。」

空き家問題に詳しい野村総合研究所の榊原渉さんは、こうした選択を支援する仕組みづくりの必要性を語る。

「例えば、東京の家と、地方の家と、それぞれ住んだ日数に合わせて住民税も分割して払えるようにするとか、二地域居住をサポートするような仕組みづくりというのも今後考えていくべきだと思います。」

国や自治体も動き出した空き家問題、その解消には何が必要?

空き家問題の背景には、都市への一極集中や地方の過疎化、少子高齢化など、日本が抱える構造的な問題がある。

今年(2017年)4月から、新たな法律“改正住宅セーフティネット法”によって、空き家や空き部屋を登録したオーナーは国や自治体から家賃や耐震改修費用の補助が受けられるようになった。さらに、耐震性など一定の基準を満たした中古住宅に国がお墨付きを与える「安心R住宅」制度もまもなく登録が始まる。榊原さんはこうした動きを評価する一方で、国の「危機感」を指摘する。

「2033年に空き家率は30%を超えるとわれわれは見ています。3軒に1軒ということですから、自分の家を中心に考えますと、両隣のどちらかは空き家という状況です。防犯面、防災面で見ても非常に深刻な状況になってくる。こういった状況を何とかして避けなければいけないという危機感の表れかなというふうに見ております。」

大島さんは、家を変えるのではなく、さまざまな周りとの関係性を含めて暮らし方を変えることが、空き家活用の心構えとして必要だという。

「個人が自分の家の空き家の問題を解決するということをいったん忘れて、社会問題として、社会環境の変化に対してどう住みこなしていくか、活用していくか、つまり周りとの関係性も含めて、使いこなし方を考えるということが大事。」

持て余している空き家でも、地域にはそれを必要としている人たちがいるかもしれない。視野を広げ、地域との関係性を見直すことが、思いもよらないニーズの発見につながる…。そんな発想が、空き家問題解決の糸口になりそうだ。

この記事は2017年6月15日に放送した「空き家が収益物件に!? 新時代の活用術」を元に制作しています。

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