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“原発避難いじめ” アンケートから分かった5つのこと

“原発避難いじめ” アンケートから分かった5つのこと

2017年9月6日

(1)“原発避難いじめ”は全国各地で起きている?


アンケートからは、見えないところで多くの子どもたちが避難先の学校でのいじめに苦しんでいたことがわかります。

一方、今年4月に文部科学省が全国の避難児童生徒1万1800人余りを対象に行った調査結果が発表されました。そこでは、原発事故などを直接の原因とするいじめとして報告されたのはわずか13件でした。この数字の差を、私たちはどう見ればいいのでしょうか…。

(2)教師も加害者に…

学校でいじめにあったと答えた人に、誰からいじめられたのか聞きました。


最も多いのはクラスメイトですが、本来であれば子どもを守るべき立場である教師からいじめを受けたと感じている子どももいました。

(3)「賠償金もらっているだろう」無理解がいじめを生む


自由記述欄には、子どもたちが受けてきたいじめの実態や、いじめがその後の子どもたちの生活にどのような影響を与えているかが生々しくつづられていました。「放射能がうつる。賠償金をいっぱいもらってるんだから、おごれ。(と言われた)」「無視され高校を転校した」「首をしめられる。ズボンを下げられる。親を拒否していて、何も話せない状態が続いている」…ここからは、何の罪もない子どもたちが、避難者であることを理由にいじめを受け、心に大きな傷を受けていることがわかります。

避難者であることや賠償金がいじめの原因になる背景には、避難者への無理解があると考えられます。アンケートの中では「大人社会の映し鏡」「子どもが賠償金などわかるはずがない。親が家庭で話しているのを聞いてまねをしているのでは」という声もありました。

(4)原発避難の子どもたちは“2度”ふるさとを奪われる


避難者であることや賠償金を理由にいじめを受けた子どもたちの多くはその後、福島から避難したことを隠すようになったといいます。震災や原発事故によってふるさとを奪われた子どもたちは、避難先で自らのルーツを話せなくなるという、二重にふるさとを奪われている実態が見えてきました。

(5)より深刻な大人社会の“原発避難いじめ”


いじめを受けているのは子どもだけではありません。避難先で避難者であることを理由に嫌がらせを受けるなどの精神的苦痛を感じる経験があると回答した大人は334件。また、避難先の地域社会に溶け込めていないと感じているという回答は350件にも及びました。
「電車で福島の避難のパンフレットを読んでいた時男の人に貴女たちは俺たちの税金で暮らしてんだよなーと声をかけられた。心がふるえました。」(90代女性)、「パート職場で福島出身と言えば『えーじゃあ浴びちゃったの~?』一時帰宅をすると言えば『放射能持って帰って来るなよ!!』(と言われ)その職場は続けられずやめました。」(50代女性)など、自由記述欄には悲痛な声が数多く聞かれました。賠償金はあくまで「失われたものに対する補償」です。避難している人たちはお金では解決できないものを失っていることに、私たちは改めて目を向けなければいけないのかもしれません。

“見えにくくなる”原発避難者たちが抱える問題


こうした「原発避難いじめ」の問題が、震災から6年もの月日が経過してから問題になったことに関して、アンケートでは、「当時は、いじめられていても家や学校で話せないほど家族も自分も精一杯だったから。今は少しずつ落ち着いてきて、日常を送れるから、自分のことを話す余裕ができたから。」(10代女性)「時間がたってからの方が『実は』という感じで出てくる。それはいじめにあっている時は言えないんだと思う。『今さら』ではなく、『今だから』なんだと思う。」(40代女性)という声が聞かれました。今後、時間が経過するとともにますます記憶の風化は避けられない課題になっていきます。
原発事故から6年が経った今も、事態は収束せず、避難者の人たちが置かれている状況は「復興」からほど遠いと言えます。その陰で、多くの人たちが今も慣れない土地での避難生活を続けているのです。そんな中で、相次いで明らかになった子どもと大人への原発避難いじめ。この問題は、貧困や格差が広がっている現代社会の「映し鏡」と言えるのではないでしょうか。社会の中で突然助けが必要になる存在になる、させられることは誰にでもありえます。そうなった時に、社会がそこにどう向き合うのか、私たちひとりひとりが、自分の問題として考えるべき問題だと思います。
この記事へのご意見や“原発避難いじめ”のご経験をお待ちしています。クローズアップ現代+ホームページのメールフォームからお寄せください。
https://www.nhk.or.jp/gendai/request/index.html

そのほかの回答

 

この記事は2017年3月8日に放送した「震災6年 埋もれていた子どもたちの声 ~“原発避難いじめ”の実態」を元に制作しています。

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