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悩める上司必見!“ほめられ世代”の伸ばし方

悩める上司必見!“ほめられ世代”の伸ばし方

2017年1月31日

“鬼”上司がいなくなった!? 家庭でも学校でも褒めて伸ばす教育が定着し、怒られることに免疫がない若者たちを受け入れる企業では、「褒め方研修」が大はやり。でも、鬼がいなくなってホントに大丈夫? ゆとり・サトリ世代の若者たちとどう向き合えばいいのか。箱根駅伝3連覇、青学陸上部のユニークな育成術を紹介しつつ、ヒントを探る。

若手の退職を防げ!大盛況「褒め方」セミナー

入社2年目までの若手社員に対する調査では、叱られるとやる気を失う人が6割と、叱られることへの若者の拒否感は、かつてないほど高まっている。((財)日本生産本部 2014年調べ)

そうした新入社員との接し方に悩む企業の間では、新人の上手な褒め方を教えるセミナーが人気を博している。全国から依頼が殺到し、去年(2016年)は100社、2万人が受講した。セミナーでは、繊細な新入社員を傷つけないための言葉の選び方も伝えている。例えば、「決断力がない」は、「慎重に物事を考える」。「わがまま」は「積極的で自信を持っている」といった具合だ。

しかし、若手が辞めることを恐れ、褒めてばかりの教育でいいのであろうか。

「叱りたくても、叱れない」管理職の悩み

都内で営業しているおしぼりのレンタル会社もそのひとつ。残業は基本なし。初任給も平均以上。それでもここ数年、多くの若手社員の退職に悩まされてきた。そこで、去年から全社一丸となって、若手を褒める取り組みを実施。その結果、今年度は1人しか退職者が出ていない。しかし、現場のリーダーは若手を叱るべきタイミングでも、叱ることをためらってしまうという悩みに直面している。

例えば、ある営業職員が顧客からのレンタル料金を受け取ってないことが判明したが、営業部長の四柳隆さんは強く注意することができなかったという。「本当は、もっと厳しく言うべきだと思うが、言い切れない。どこまで打ち解けて、くだいてやっていいのか分からない」

叱りたくても叱れない、または叱り方が分からない。こうした上司が増えた背景には、パワハラが社会問題となったことも大きい。全国の労働局に寄せられたパワハラの相談件数は右肩上がりで、去年は6万件を超えている。こうした状況下では、厳しく指導すると訴えられるのではないかと心配になり、本音を伝えることをちゅうちょしてしまう人も多い。

叱ることができない時代。しかし、やさし過ぎると、若手を成長させることができない。そこで、「叱る」「褒める」とは異なる第三の道の例として、青山学院大学陸上競技部の原晋監督の育成術を紹介したい。

原監督の流儀から学ぶ 「ほめられ世代」の伸ばし方

今どきの若者たちを強く育て上げてきた原監督には、1つの揺るぎない流儀がある。

“任せれば、人は『鬼』になる”

青学の練習は、週6日。そのうち3日間は、監督は直接指導せず、選手に自主練習を積ませる。練習メニューは選手に任せ、口出しはしない。その代わり、全選手に目標管理シートの作成を義務付けている。

シートには長期的な目標と、そこに至るまでの短期目標を選手自らが書き込み、1か月ごとに更新する。ここで重要なのが、目標を仲間どうしで見せ合うこと。目標が厳しすぎたり甘すぎたりしないかを互いに指摘し、修正する。自ら設定した目標をチーム全員で共有することで逃げ道をなくし、一人ひとりが鬼の厳しさを持つようにうまく仕向けているのだ。

 
原監督の育成術はひとつの例だが、大切なのは“自分で動く”仕組みづくりを構築することにある。「叱るだけ」「褒めるだけ」では人を動かすことはできない。手取り足取り、傷つかないように育てられてきた若者でも、自分を動かすコントローラーは自分で握りたいと思っているに違いない。

かつて、鬼上司だった人が厳しく叱るのをやめて、若手一人ひとりが何をしたいのか丁寧に聞き出すようにした結果、社員自身でやりがいを見出すことができ、生産性が劇的に改善したというケースもあった。若手を“ほめられ世代”とひとくくりにするのではなく、まずは一人ひとりの働く目的や、やりがいに真摯に向き合うこと。社員の育成の鍵は、そのあたりに隠されているのかもしれない。

この記事は2017年1月31日に放送した「怖い鬼は厳禁!?“ほめられ世代”どう叱る?」を元に制作しています。

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