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豊洲か?築地か? 小池都政・判断の行方は

豊洲か?築地か? 小池都政・判断の行方は

2017年6月5日

豊洲市場の移転問題は、今年4月から5月に移転判断の材料となる専門家やプロジェクトチームの報告書がまとまる予定だった。しかし、取りまとめは相次いで遅れている。先が見通せない状況に、築地市場の業者は動揺し、業界は分断されかねない状況だ。これまでの経緯の整理から見えてきたのは、移転を巡って繰り返される混迷だ。7月に迫る都議選の争点になりつつあるいま、解決への糸口は見つかるのか?

都庁で何が?

去年(2016年)8月、小池知事は豊洲市場の地下水のモニタリング調査の結果を待ちたいとして、11月に予定されていた移転の延期を表明。その後、都庁職員ではゼロベースからの議論が難しいと判断し、都庁職員以外の専門家で構成される2つの組織を作る。

1つは、小池知事のブレーンからなる「市場問題プロジェクトチーム」で、市場の採算性などの検証を行う。もう1つが、市場の安全性を検証する「専門家会議」だ。

「市場問題プロジェクトチーム」を束ねるのは、環境省の官僚出身の小島敏郎氏。小池氏が環境大臣時代から政策助言を行ってきた、15年来の関係を持つブレーンだ。小島氏はかねてから豊洲移転に懐疑的で、移転延期の判断は小島座長に小池知事が相談して決まったとも言われている。

蚊帳の外に置かれる形となった都庁職員たち。当時、小池知事の手法に懸念と不安の声が上がっていた。

「知事はブレーンからどんなアドバイスを受け、何を基準に判断しているのか、政策決定の過程がまったく見えない。」

ところが先月(4月)、外部ブレーンを重用してきた小池知事は、当初の判断プロセスにはなかった「市場のあり方戦略本部」を新設。都庁職員だけで作るこの組織を、外部ブレーンで組織される「市場問題プロジェクトチーム」と「専門家会議」の上位組織と位置づけた。

「市場のあり方戦略本部」の本部長には、市場長経験者の中西充副知事を起用。かつて、豊洲移転を進めた人物の起用により、都庁幹部の間では、豊洲移転にかじを切るサインと捉える空気が広がった。

「戦略本部」について小池知事は、これまでの議論を具体的な都政に落とし込む最終機関としている。ところがその発足後に、今度は「市場問題プロジェクトチーム」の小島座長が、豊洲に移転せず築地市場を建て替える案を打ち出し、さらに、小池知事が「検討に値するものがある」との考えを示す。豊洲移転にかじを切り始めたと受け止めていた「戦略本部」の複数の幹部は、「知事の意図がどこにあるかつかめない」と困惑の声を上げ、事態は混迷を深めている。

この状況に対し、小池知事は、「両方(都庁側とブレーン側)から聞くことは、混乱でも何でもない。むしろ正しい判断に必要な手はずだと思います。」と話す。

「安心」と「安全」の分かれる解釈

移転判断の上で、小池知事が重視しているのが「安全」と「安心」だ。しかし、今年(2017年)1月、豊洲市場の地下水から、環境基準を大きく超える有害物質が検出されたことをきっかけに、小池知事と「専門家会議」の間で安全性についての見解が食い違い始める。

専門家会議は有害物質が検出されても豊洲市場の地上部分は安全だとの認識を示す。一方、小池知事は、科学的な「安全」だけでは、消費者が納得する「安心」は得られないとした。

そのさなか、築地市場でも環境基準を超える有害物質が検出され、事態はまたも複雑化する。小池知事は、築地には長年運営されてきた実績があり、安全だけでなく安心も確保されていると強調する。

これに対して自民党からは、築地市場だけを安心とするのは主張が矛盾していると批判が上がった。

「築地は安心だと言うならば、なぜ豊洲も安心だと言えないのか。豊洲と築地は違うというようなダブルスタンダードはやめていただけませんか。」

何をもって「安心」が確保されたとするのか。小池知事は「安心というのは、基準はなかなか難しいものがあります。消費者としての選択ですから、一つずつ確認してきているわけですから、その中で安心がまだ(課題として)残って、“安心に対しての確信”が必要だ。」と話す。

NHKの世論調査によると「速やかに移転すべき」が22%、「移転は慎重に判断すべき」が57%、「移転すべきではない」が10%だった。

築地市場の業者の間でも意見は分かれている。知事の判断が遅れていることに、新たな経営計画を描けないと危機感を強めているのは、築地市場協会の伊藤裕康会長だ。
「早くどうするんだということを決めてほしい。我々はじっと待っていることしか今はできない。」

一方、移転が可能か慎重に見極めていると、小池知事に理解を示す業者もいる。東京魚市場卸協同組合の早山豊理事長は「(知事が判断を)急がされるのは、我々とすれば本位ではない。本当に時間をかけても、しっかりとした話し合いをして、その上で都知事に判断してもらえれば」と話す。

移転の判断時期について、小池知事は、「今年夏ごろ」としている。今後、いつ判断をするか、そして混迷は解消されるのか。小池知事の判断時期と、それに対する都民の判断に注目が集まっている。

この記事は2017年5月29日に放送した「豊洲か?築地か? 小池都政・判断の行方は」を元に制作しています。

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