クローズアップ現代

毎週月曜から木曜 総合 午後10:00

Menu
男もつらいよ!働き盛りを襲う「男の更年期障害」

男もつらいよ!働き盛りを襲う「男の更年期障害」

2017年5月11日

「疲れがとれない」「やる気がでない」「イライラする」など、女性特有の症状と思われてきた更年期障害が、いま中高年男性の間で広がっている。深刻なケースでは、認知症や心臓病を引き起こす原因になることも分かってきた。一体、どんな人が要注意なのか? どうすれば症状は改善できるのか? 解決の処方箋に迫る。

潜在患者数は600万人!?男性ホルモン減少の要因

「寝起きが悪い」「大量の発汗」「意欲の低下」など、心と体にさまざまな不調をもたらす更年期障害。その原因は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」の減少にある。テストステロンは脳からの指令よって主に精巣で作られ、筋肉や骨を強化し、性機能を維持する働きがある。しかし、体内のテストステロンが減少すると、筋力の低下、不眠、発汗性機能の低下の症状だけでなく、「やる気が出ない」「イライラする」といった感情面への影響も出るという。

順天堂大学医学部の堀江重郎教授によると、更年期障害の悩みを抱えた日本人男性の数は約600万人。実際に、中高年男性たちは、どんな症状に悩まされているのか。クロ現+では、疲労や不調に悩まされているという40~60代の中高年男性を募集。彼らのテストステロンの数値を測ったところ、13人中11人が低い傾向にあるという結果出た。さらに、その要因を調べてみると、中高年男性を取り巻く「社会的な環境」が関係していることもわかってきた。

精密機械メーカーに勤める長野史郎さん(47歳)は、2年ほど前から寝起きの悪さに悩まされていた。10年前に管理職となった長野さんは、「自分が入社したときの課長たちより、いろいろ求められている。今は『早く帰れ』とか『有給とりなさい』とか、そういう管理までしなきゃいけない」と、常にプレッシャーを感じる生活を送っているという。堀江教授によれば「こうした仕事のストレスは、テストステロンの分泌にとって大敵」と指摘する。

また、テストステロンは人と接する機会が多い人ほど高い傾向にある。「40代になってから、何をするにもやる気が出ない」という飲食店で働く三浦輝正さん(45歳)は、1年前に離婚して以来、ひとり暮らしだ。夜、自分でつくった野菜炒めを食べる後姿にせつなさが漂う。テストステロンは別名「社会性ホルモン」とも呼ばれており、誰かに褒めてもらったり、認めてもらうことで、その分泌量は上昇する。そのため、社会や家庭に居場所がなくなった人は喪失感のために分泌量が減ってしまう。

男性の更年期障害が注目されはじめた背景には、近年の労働環境の厳しさや、自分の居場所を見つけづらくなってしまった中高年を取り巻く社会的な環境が影響している。

認知症や心臓病!実は怖い!男性ホルモンの減少

心や体に不調を感じても、「年のせい」と見過ごしてしまいがちな男性の更年期障害。しかし、テストステロンの減少は深刻な病気と関係していることも分かっている。

テストステロンには欠陥を拡張し、血液の流れをよくする働きがある。そのためテストステロンの減少を放っておくと、動脈硬化が進行し、心筋梗塞・狭心症・脳卒中といた命にかかわる病気のリスクが高まるといわれている。また、テストステロンは記憶をつかさどる脳の海馬を活性化させる働きもあるため、減少することで記憶や認知機能が低下し、認知症につながる恐れもあるという。

「最近笑っていない」「新聞が読めなくなった」「よく眠れない」「メタボ気味」、こうした症状に心当たりがあるという人は、病院の泌尿器科や男性更年期クリニックなどで一度相談してみることをおすすめする。著しくテストステロンの低下が見られる場合は、2週間から4週間に1度、筋肉注射によってテストステロンを補充することもできる。保健が適用され、費用は2,000円~5,000円程度。飲み薬や漢方薬、サプリメントによる治療も可能だ。

男性ホルモンを回復させるには?

「症状に心当たりはあるが、日常に支障をきたすほどではない」という人は、テストステロンの分泌を増やすために、どういう生活を心がければいいのだろうか?

堀江教授によると「学生時代の友だちと会う」「適度な運動」「カラオケ」など、自分の居場所を確認したり、リラックスしたりするだけでもテストステロンはアップするという。また、ワクワクやドキドキといった感情は、脳や交感神経を活性化させ、テストステロンの分泌を促してくれる。夫婦やパートナー同士なら、腕を組んで歩くだけでも効果があるそうだ。

堀江教授は「男性がはつらつと生活していくには、社会に何かしら貢献しているという意識が必要」と話し、会社や地域のコミュニティーなど、他人との触れ合いのなかで自分を主張したり、そうした場を見つけたりすることがテストステロンの増加につながると助言する。

また、「しっかり寝る」ということもテストステロンの回復には重要なポイントだ。テストステロンは日中よりも夜、寝ている間に分泌量が増えるため、睡眠リズムが崩れると十分に分泌されなくなってしまう。寝る時間が少ないのであれば、深く眠れるように、寝る前にストレッチをする、ゆっくりお風呂に入るというような工夫も大切だ。

働き盛りの40代、50代。厳しいストレスから完全に逃げることは難しいかもしれないが、受け身ではなくポジティブに、人とのつながりを大切にしながら過ごすこと。そうした心構えの部分にこそ、男性の更年期を乗り切る秘訣があるのかもしれない。

この記事は2017年5月9日に放送した「がんや認知症も!? コワ~い“男の更年期障害”」を元に制作しています。

もっと読む