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「脂肪が減る」は本当?食品表示のウラ事情

「脂肪が減る」は本当?食品表示のウラ事情

2017年2月8日

「内臓脂肪の燃焼」「ストレス軽減」などのうたい文句に誘われて、ついつい手を伸ばしてしまう健康食品。今や1兆円とも言われる市場のなかで、右肩上がりで売り上げを伸ばしているのが「機能性表示食品」だ。しかし、その効果は本当なのだろうか?食品表示のウラ事情に迫る。

「機能性表示食品」は自己申告だった!

スーパーやコンビニ、インターネット通販などで販売されている健康食品。しかし、一口に健康食品といっても、表示の種類によって効果の信頼度は変わる。俗にいう健康食品とは、健康効果を表示できない「いわゆる普通の食品」のこと。ストレートには健康効果をうたっていない。

 
一方、“健康効果”について表示できるのは、「トクホ(特定保健用食品)」と「機能性表示食品」だ。トクホは、国が安全性や効果について科学的な根拠を審査した上で、健康効果の表示が許可されている。

 
そして2年前にスタートした「機能性表示食品」。科学的根拠を示した研究論文等を消費者庁に提出すれば、“企業の責任”で健康効果を表示できる。「商品の効果をわかりやすくアピールしたい」という企業側からの要請ではじまった制度。ある大手食品メーカーでは、主力商品のヨーグルトを機能性表示食品として販売したところ、売り上げが20%アップしたという。申請のハードルが低いため、続々と新商品が販売されており、その数はトクホをしのぐ勢いだ。

しかし、国や第3者の審査が入らない機能性表示食品の表示は、どこまで本当なのだろうか。調べると、意外な事実が分かってきた。

「情報は公開」でも「表示は一部」の可能性

表示されている効果に魅力は感じるが、毎日食べなければならないのか、どれぐらい継続して食べれば効果があるのかなど、疑問に感じたことはないだろうか。

ダイエット目的で、機能性表示食品のヨーグルトに関心を寄せている小野美穂香さんもそのひとり。「内臓脂肪を減らす」の文字に魅力を感じているが、パッケージの情報だけでは、物足りないと感じていた。

そこで、メーカーのホームページをチェック。そこには、実験概要の一部が公開されている。実験によれば、「商品を12週間食べ続けることで効果が出る」と表現されていたが、詳しく調べていくと、その効果は、BMI 25~30の肥満傾向の成人に対するもの。小野さんのBMIは19.9のため、根拠となる実験が自分にあてはまるかどうかは判断できない。

実は、機能性表示食品の場合、年齢、性別、体脂肪など、対象を絞って実験を行なっているため、効果の対象は限定的な場合が多い。メーカーによっては、「BMIが高めの方向けの商品です」と効果が期待できる対象を表示している場合があるが、全く記載していない商品も数多く存在する。

さらなる注意点がある。消費者庁のホームページには、商品名を入力すると、企業が提出した資料がすべて閲覧できる仕組みになっている。そこで、提出されている資料を専門家と検証していくと、「内臓脂肪を減らす」と表示された商品では、確かに「腹部の内臓脂肪が減少した」という結果があるものの、同時に「体脂肪率は増加している」という報告もあった。

食品表示に関する研究を長年続けてきた群馬大学名誉教授の髙橋久仁子さんは、「表示だけでは、消費者にとって知りたい情報が網羅されているわけではないことを、承知しておかないといけないと思います」と指摘する。

効果ではなく、きっかけ作りに期待

消費者への誤解を招きかねない事態に、改善への取り組みも始まっている。サンプル調査をした結果、成分が足りていないもの、入っているか確認できないものに対しては、今後、消費者庁が資料の追加提出を求めるなどの対策もしていくとしているほか、医薬品などの専門家が集まって、表示内容についてチェックする民間の委員会も発足している。

機能性表示食品が身の回りにあふれる中、上手につきあうコツはあるのだろうか?

健康食品を長年取材してきた松永和紀さんによると、「機能性表示食品というのは、食品と名前が付いているとおりで、大きな効果は期待できない。しかし、広告・宣伝が上手にされているので、私たちは大きな効果があると錯覚してしまう。そこを錯覚していると気づくことが必要だ」と提言する。
 
機能性表示食品やトクホなどの健康食品だけで、健康になろうとせず、自分の生活を見直す、食生活をかえていくという意味でのきっかけ作りとして利用するのがよいのであろう。

この記事は2017年2月8日に放送した「『脂肪が減る』って本当? 食品表示のウラ事情」を元に制作しています。

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