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スマホで指紋が盗まれる! “映りすぎ社会”のリスクとは?

スマホで指紋が盗まれる! “映りすぎ社会”のリスクとは?

2017年4月12日

携帯カメラの高解像度化によって、スマホで撮った写真から指紋が盗み取られ、パソコンなどに勝手に侵入される危険があることが明らかになった。すさまじい技術の進歩によって訪れる、“映りすぎ社会”のリスクとは?

事件解明の決定的証拠になる一方で、被害に遭う可能性も

発売当初はわずか10万画素だった携帯電話のカメラ。それから十数年で画素数は200倍以上になるなど、急速に進むカメラの高精細化が今、犯罪捜査の現場を変えようとしている。

徳島で起きたある性犯罪事件で、容疑者の男のスマホに収められていた写真が、捜査で大きな役割を果たした。鑑識課が注目したのは、容疑者の男が撮影した被害者の瞳。そこに映り込んでいた画像から、犯人の髪の生え際のラインや顔の形、背後の様子がわかり、事件の解明に結びついたのである。

一方で、鮮明な写真には思わぬ落とし穴がある。スマホのピース写真から盗まれた指紋で生体認証が破られ、パソコンや携帯を他人に乗っ取られるリスクがあることが分かってきた。ピース写真を撮る際、多くの人は顔の横でピースポーズをとる。そのため、指にもピントが合いやすく、指紋が鮮明になる。さらに顔写真がSNSの投稿などと照会され、氏名、生年月日なども同時に盗まれると、重大な犯罪の被害に遭う可能性が高まるという。
国立情報学研究所の越前功教授は、「(私の)指紋情報にひも付いているのが私の顔であり、この顔を分析すると、顔だけでこの人が誰なのか、どこに勤めているのかが分かる。『私の情報』と『生体情報』がペアになって、盗まれてしまうのは非常に脅威。」と指摘する。

こんな身近な場所で! 最新“顔識別”カメラ

カメラの高解像度化が進んだことで、群衆の中から個人の顔を識別できる画像認識技術も進歩している。

実は、個人を識別する顔認証カメラは、万引き対策としてすでにスーパーやコンビニなど小売業界で幅広く導入されている。ある商業ビルもそのひとつ。館内のすべての入り口に、顔識別を行うための防犯カメラを設置。“万引き犯”を見つけた場合、本人に伝えたうえでシステムに登録。再びやってきた“万引き犯”を検知すると、警備員に連絡がいくようになっている。すでに200人以上がリストアップされており、顔識別システム導入後の万引き被害額は半分以下に抑えられたという。さらに、“万引き犯”の情報をデータベース化して、企業の枠を超え、広く共有する構想も検討されている。

しかし、店員が万引きをしてもいない人を何らかの恨みから“腹いせ”で登録してしまう恐れや、万引きを疑われた知人の“巻き添え”で自分も登録されてしまうリスクがあることが明らかになってきた。こうした誤登録が起き、間違った情報が多くの企業で共有されたときにどんな事態が起きるのか。誤登録された人をどう救済すればいいのか。解決すべき課題が残されている。

(群衆の中から個人の顔を識別する「顔認証システム」)

加速する“超高解像度”社会

万引きなどの防犯対策として期待される一方、プライバシーが侵される問題も見えてきた高解像度化や画像識別技術の進歩。私たちはどう使いこなしていくべきなのだろうか?

LINEの元社長であり、現在はC CHANNELの社長を務める森川さんは「新しい技術には、必ず光と影の部分がある。顔認識カメラに関しても技術をいかに賢く使えるのか、教育も含めて議論が必要」と提言する。

すでにアメリカでは地上300メートルから人の影だけで個人を識別できるところまで、技術が発展している。技術革新とともに、使いこなすための議論も加速させていく必要があるだろう。

この記事は2017年4月5日に放送した「スマホで指紋が盗まれる?“映りすぎ社会”到来!」を元に制作しています。

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