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No.3443
2013年12月9日(月)放送
“虹の国”を目指した男 
~ネルソン・マンデラ氏のメッセージ~

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“怒り”から“融和”へ マンデラ氏のメッセージ

ネルソン・マンデラ氏
「黒人も白人も胸を張って歩ける、人間の尊厳が守られる社会を築こう。
われわれが目指すのは平和な“虹の国”だ。」

肌の色の異なる人々が対立を乗り越え、共存する社会を目指したマンデラ氏。
その理念は、激しい人種差別との闘いの中から生まれたものでした。



黒人は白人との結婚はもちろん、一緒にバスに乗ることもできませんでした。
少数派の白人による政権の下、参政権も与えられず、抵抗運動は徹底的に弾圧されました。



ネルソン・マンデラ氏
「私たちは、一人一票の選挙権を要求する。」




大学在学中、アパルトヘイト撤廃を求める運動に参加したマンデラ氏。
みるみる頭角を現し、政府に対する武装闘争に身を投じました。
当時の怒りを自伝にこうつづっています。

自伝『自由への長い道』より
“何百もの侮蔑、何百もの屈辱、何百もの記憶に残らない出来事が絶え間なく積み重ねられ、怒りが、反抗心が、戦おうという情熱が自分の中に育ってきた。”


しかし1962年、マンデラ氏は逮捕され、その後、国家反逆罪で終身刑の判決を受けます。
45歳の時でした。

南アフリカの沖に浮かぶロベン島。
ここでマンデラ氏の長い獄中生活が始まりました。
食事も衣服も満足に与えられない中、ハンマーで岩を砕き、砂利を作る作業が延々と続きました。
マンデラ氏と同じく政治犯として投獄されていた、モシワ・レコタさんです。
先の見えない過酷な日々が続く中で、マンデラ氏は次第に差別する側の心に目を向けるようになったといいます。

ともに収監されていた モシワ・レコタさん
「収監された当初、マンデラは、われわれを侮辱する白人の警務官に対する怒りであふれていました。
しかし、その後、彼らがなぜあのような仕打ちをするのか理解しようとし始めました。
そしてすべての白人が、心底、黒人を憎んでいるわけではないと気付き、怒りを抱くことは無意味だと言い始めたのです。」

獄中でマンデラ氏は、白人の話すアフリカーンス語を学び始めます。
そして、刑務官と会話を交わすようになっていきました。
人種差別に反対し、マンデラ氏の弁護を買って出たジョージ・ビゾスさんです。
接見に訪れた時、驚くべき光景を目にしました。

マンデラ氏の弁護を担当した ジョージ・ビゾスさん
「それは奇妙な光景でした。
普通、囚人は刑務官に引きずられるように出てきます。
しかし、この時は違いました。
刑務官たちがマンデラに気を遣いながら歩いてきたのです。」

マンデラ氏は白人の刑務官に敬意を示すことで、彼らのかたくなな心を解きほぐしたのです。

自伝『自由への長い道』より
“抑圧された側が解放されるのと同じように、抑圧する側も解放されなければならない。
他人の自由を奪うものは憎しみにとらわれ、偏見の檻(おり)に閉じ込められているのだ。”

27年余りに及んだ獄中生活の末に姿を現したマンデラ氏。
そこには、怒りに満ちたかつての面影はありませんでした。

ネルソン・マンデラ氏
「前進しよう!
自由と正義への歩みは後戻りしない。」




1994年、マンデラ氏はすべての人種が参加した選挙で圧倒的な勝利を収め、大統領に就任しました。
初の黒人による政権誕生に沸く黒人たち。
一方、これまで権力を握っていた白人の間には、報復への恐怖が高まりました。
この時マンデラ氏が打ち出したのが、赦(ゆる)しによって人種間の融和を目指す試みでした。

特に力を入れたのがアパルトヘイトの時代に起きたさまざまな人権侵害を明らかにする「真実と和解委員会」です。
しかし委員会では、懲罰や復しゅうを目的としないことが明確にされ、重大犯罪の疑いがあっても一定の条件を満たせば罪に問わないとしました。


ネルソン・マンデラ氏
「被害者にとって、加害者への懲罰を放棄するということは受け入れがたいでしょう。
しかし、平和のためにはどうしても必要なことなのです。」


マンデラ氏の弁護を担当した ジョージ・ビゾスさん
「黒人と白人の溝が埋まらなければ、憎しみの連鎖による内戦が起きかねない状況でした。
マンデラは誰よりもそのことを理解していたのです。」

憎しみを乗り越え、あらゆる人々が共存する虹の国を目指したマンデラ氏。
その揺るぎない信念を、生前こう記しています。

自伝『自由への長い道』より
“肌の色や育ち、信仰の違いを理由に他人を憎むように生まれつく人などいない。
人は憎むことを学ぶのだ。
もし憎むことを学べるなら、愛することも学べる。
愛は憎しみより自然に人の心に届くはずだ。”

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