2015年10月23日 (金)

カラーリング剤で皮膚炎相次ぐ 危険性表示を

カラーリング剤で皮膚炎相次ぐ 危険性表示を

白髪を染めたり髪の色を変えたりするカラーリング剤によって、頭皮や顔面にアレルギー性の皮膚炎を発症する人が相次いでいる実態を受けて、消費者庁の安全調査委員会、いわゆる消費者事故調は、メーカーに対して、商品パッケージの正面に皮膚炎の危険性を表示することなどを求める提言をまとめました。

多くのカラーリング剤に含まれている着色効果が高い化学物質は、体質や体調などによってアレルギー性の皮膚炎を引き起こすおそれがあるため、それぞれのメーカーでは、厚生労働省の通知に基づいて商品パッケージの側面などに注意書きを掲載しています。
しかし、消費者庁によりますと、カラーリング剤を使用して、頭皮や顔面などに皮膚炎を発症する人が、毎年相次いでいて、ことし3月までの5年間に全国の消費生活センターなどに届けられた報告は、合わせて1008件に上っています。このうち166件は、目が開かないほど顔が腫れるなど重い症状だったということです。
こうした実態を受けて消費者事故調は「カラーリング剤の危険性が消費者に十分伝わっていない」として、1年かけて対策を検討し、23日に報告書をまとめました。
この中で消費者事故調は、提言として、メーカーに対し、商品パッケージの正面に皮膚炎の危険性を表示することや、アレルギー反応を確認するパッチテストを毎回行う必要性を説明することなど、消費者への一層の注意の呼びかけを求めています。
また、パッチテストを行う際には、48時間かけて皮膚の状態を観察する必要があることや、これまでに異常を感じたことがない人でも皮膚炎を発症するおそれがあることを、より分かりやすく消費者に知らせていく必要があるとしています。
さらに、美容師や理容師に対しても、客と十分なコミュニケーションを行って、カラーリング剤の使用が可能か、毎回確認するよう求めています。

委員長「意識していない問題にびっくり」

消費者庁の安全調査委員会、いわゆる消費者事故調の畑村洋太郎委員長は記者会見で「毛染めという広くみんながやっている一般的なことなのに、それに伴う危険性をあまり意識していない問題があると知って、私自身もびっくりした。アレルギー性の皮膚炎が相当大きな割合で発生しているのに、多くの人がそのことを意識せずに使ってしまっている。カラーリング剤は、メーカーも消費者も美容業界も、みんなが危険性をきちんと認識して使わないといけない」と述べました。

重い症状に苦しんだ女性は

東京・墨田区の40代の女性は、2年前に美容室でカラーリング剤を使用した際、頭皮全体が赤くただれたうえ、額やまぶたなどが腫れ、目を開けられないほどの重い症状に苦しみました。痛みも伴い、こうした症状はおよそ1週間続いたということです。今も後頭部に湿疹が残り、かゆみに悩まされているということです。
女性は、数年前からカラーリング剤の使用をはじめ、軽いかゆみを感じたことはあったということですが、自分が重いアレルギー性の皮膚炎を発症するおそれがあるとは考えなかったということです。
女性は「誰でも気軽に買え、美容室でもよく使われている商品で、こんなにひどい症状になるとは思っていなかった。かゆみなどの軽い症状も甘く見てはいけないことが分かったし、自分の体を守るためにパッチテストを行うことがとても大切なことだと多くの人に知って欲しい」と話しています。

使用する際の注意点

カラーリング剤とアレルギーの関係について詳しい、東邦大学医療センター大森病院の関東裕美医師は「カラーリング剤に含まれる一部の化学物質は、アレルギーを起こしやすく重い皮膚炎を引き起こすおそれがある」と話し、使用の際には十分注意が必要だとしています。
カラーリング剤によるアレルギーは、最初は軽いかゆみなどの症状ですが、そのまま使い続けると次第に重くなり、顔中が腫れたり、体全体に炎症が広がったりするということで、関東医師は「頭皮に刺激やかゆみを感じる場合は早めに専門の医療機関を訪ね、対処することが大切だ」と話しています。
また、カラーリング剤によるアレルギーは、花粉症などのほかのアレルギーと同じメカニズムで起こることから、関東医師は「花粉症の症状が出ている際にはカラーリング剤によるアレルギーも強くなりやすく症状が重くなってしまうおそれがある」と話し、こうしたときは使用を控えるべきだと指摘しました。
そして、一度アレルギーの症状が出てしまってから、白髪染めなどを行いたい場合については「アレルギーを起こしやすい物質を含まないカラーリング剤もあるので、専門家と相談しながら体にあったものを使ってほしい」と話しています。

対策に入念な美容室では

東京・銀座にある美容室では、初めてカラーリングを行う客には、事前に一度来店してもらい、アレルギー反応が起きないかパッチテストを行っています。
パッチテストとは、カラーリング剤を綿棒などで少量だけ腕につけ、皮膚への影響を確認するものです。結果が分かるまでに48時間かかることから、客には、カラーリングを行う2日前までに来店してもらい、テストを行っています。2回目以降はパッチテストは行っていないということですが、頭皮の状態や体調に変化はないか尋ね、頭皮に傷などがないかも確認したうえでカラーリングを行っているということです。
美容師の小出智好さんは「お客様の中には、そこまでしなくてもと戸惑われる方もいますが、何かが起きてからでは遅いので事前のパッチテストを徹底しています」と話しています。

「リスク伝わるよう取り組みたい」

消費者事故調の提言について、カラーリング剤のメーカーでつくる日本ヘアカラー工業会は「これまでも業界全体で、注意書きの表示などに努めてきましたが、いまだに皮膚の障害が起きていることも事実です。今回の消費者事故調の報告書をよいきっかけととらえ、注意書きの表示をより理解しやすくするなどの工夫を行って、消費者や美容師、理容師のみなさんにアレルギーのリスクが正しく伝わるように取り組んでいきたい」と話しています。

 

投稿者:かぶん |  投稿時間:23:34  | カテゴリ:くらし
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