2015年12月18日 (金)

「薬の包装 変更を」 子どもの誤飲防止で提言

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家庭にある大人用の薬を子どもが誤って飲んでしまう事故が増加し、症状が重い場合、一時意識を失うケースもあることから、消費者庁の安全調査委員会、いわゆる消費者事故調は、薬の包装を子どもが簡単には開けられないタイプに変更すべきだという提言をまとめました。

薬に関する事故の情報を集めている日本中毒情報センターによりますと、家庭にある大人用などの薬を5歳以下の子どもが誤って飲んでしまった事故は、去年1年間に全国で合わせて8433件報告され、10年前と比べて40%以上増えています。
このうち849件で、おう吐などの症状が見られ、中には一時的に意識を失うケースもあったということです。
こうした状況を受けて、消費者事故調はおととしから事故を防ぐ対策の検討を進め、18日、最終報告書をまとめました。この中で、消費者事故調は「事故は子どもの思わぬ行動から起きることが多く、保護者に注意を呼びかけるだけでは十分に防ぐことができず、薬の包装に対策を施すことが必要だ」としています。
そのうえで「薬の包装を子どもが簡単には開けられないタイプに変更すべきだ」と提言しています。
一例として消費者事故調は、開封部分となるアルミはくにフィルムを重ねて簡単には破れないようにするなど、包装材の強度を高めるべきだと指摘しています。

子どもには開けにくいものに改良を

消費者事故調は3歳から4歳までの子ども107人を対象に、1分間で薬を開けられるかどうか実験を行いました。対策を行っていないものの場合、97%の子どもが開封部分を破って薬を取り出すことができました。これに対し、アルミはくにフィルムを重ねて強度を高めたものの場合は、薬を取り出すことができた子どもは13%にとどまり、対策の効果が大きいことが確認されました。
畑村洋太郎委員長は記者会見で「子どもが薬を誤って飲む事故は毎年多く発生し、増加傾向にある。子どもが薬を手に取らないよう薬を適切に管理することが重要だが、注意だけでは事故を防ぐことはできない。薬の包装を子どもには開けにくいものに改良することが必要で、厚生労働省などの医療に関係する機関には、導入に向けた検討を進めてもらいたい」と述べました。

祖母の薬を口に

3人の子どもを育てている山口市の37歳の女性は、ことし9月、2歳の次男が誤って祖母の薬を口に含む事故を経験しました。事故が起きた日、女性は次男と一緒に山口市内の実家に行き、3年前に亡くなった祖母の部屋を片づけていました。その際、1分ほど別の部屋に行って戻ってみると、子どもが口に何かを含んでいたということです。子どもの手には片づけの中で出てきた祖母の薬があり、自分で開けていました。祖母は消化器系の重い病気を患っていて、子どもが口に含んでいたのは、その治療薬だったということです。
このときの心境について、女性は「かぜ薬などのレベルではない、重い病気の薬を飲んだかもしれず、命に関わるようなことにならないか、心配で心配でしかたありませんでした」と話しています。

抗不安薬を20錠

東京・板橋区にある医師会病院の院長で小児科医の泉裕之医師は、2年前、母親の薬を誤って飲み、全く意識のない状態で運ばれてきた2歳の男の子の治療に当たりました。男の子が誤って飲んだのは、母親が1日1錠ずつ服用していた精神安定剤の1つ「抗不安薬」で、男の子は一度におよそ20錠も飲んでいたということです。男の子の回復にはおよそ1週間かかりました。
泉医師は、「大人用の薬は、子どもにとって1回分でも非常に多いのに、さらに、お菓子か何かと間違えて何回分も飲んでしまえば、数十回分の薬を一度に飲んだのと同じことになってしまう。最悪の場合、呼吸が止まってしまうおそれもあり、命の危険もある」と話しています。

製薬会社の対応は

東京・渋谷区にある製薬会社では子どもが簡単に開けられないような、主に3つのタイプの包装を、5年前から順次取り入れています。1つめは、開封部分のアルミはくにフィルムを重ねて、より強い力を加えなければ薬を取り出せないようにしたもの。2つめは開封部分全体にシールが貼られ、シールを剥がさなければ薬を取り出せないようにしたもの。3つめはボトルタイプのもので、ふたを押しながら回さないと、開かない仕組みになったものです。
製薬会社の担当者は「子どもが誤って飲んだ場合に危険性が高いと思われる薬から、こうした包装を取り入れています。新しい包装をより多くの薬で取り入れていこうとすると、機械の導入などにコストがかかりますが、子どもが誤って薬を飲む事故を防ぐことは製薬会社の使命であり、将来的にはすべての薬に導入したい」と話しています。

消費者事故調の提言について、全国の製薬会社で作る「日本製薬団体連合会」は、「子どもが誤って薬を飲む事故を防ぐ取り組みは非常に重要で、消費者事故調の提言を重く受け止めています。ただ、高齢者などが薬を飲みにくくなっては困るので、バランスが重要だと考えています。高齢者などへの影響に配慮しながら子どもの事故をどう防いでいけばよいのか、検討を進めていきたい」とコメントしています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:22:24  | カテゴリ:くらし
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