2017年03月16日 (木)

ママやパパが"がん" 子どもにどう伝える?

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「私ががんになっていることを小学生の子どもに伝えました。子どもはしばらく、明るく振る舞っていました。ところが”おやすみ”と言ってふとんに入ったとたん大きな声をあげ泣きだしたのです」。
もしあなたに小さなお子さんがいて、自分の体にがんが見つかったら。その時、幼い子どもに伝えるでしょうか。”いつ””どこまで””どのように”。2人に1人ががんになると言われる時代。子どもへの告知について考えます。

親が”がん”の子ども 年8万7000人

国立がん研究センターがおととし、がんと診断される人のうち18歳未満の子どもをもつ人は年間、5万6000人にのぼり、その子どもの数はおよそ8万7000人という推計を発表しました。結婚や出産の年齢が高くなっているため、がんのり患率が上がるころ、子どもがまだ未成年というケースは、今後も、増えるのではないかと考えられています。

“子どもへの告知”8割

では子どもへの告知はどうなっているのか。取材を進めると去年12月に、「キャンサーペアレンツ」という子育て中のがん患者でつくる患者会が、子どもへの告知について会員にインターネットを通じてアンケートを行っていました。

回答があったのは30代から60代の男女133人。このうち78%が、“子どもが受け止められる”と思ったり“隠すことができない・隠したくない”と考えたりして子どもに告知していました。

伝えた後の子どもとの関係を聞くと▽家族の絆が強くなった▽自発的に自分のことをするようになったなどという意見のほか「変わりがない」という回答が寄せられました。

「伝えて良かったと思う」と答えた人は87%、「伝えて良かったのかはまだ分からない」と答えた人が13%、「伝えない方が良かった」という人はいませんでした。おおむね、伝えたことを肯定的に捉えているようでした。
“子どもへの告知”8割
「キャンサーペアレンツ」の西口洋平代表は「子育て中のがん患者にとって子どもに伝えるかどうかはいちばんの悩みです。今回のアンケートで『伝えなければ良かった』と後悔している人はいませんでした。いま子どもへの影響を心配し一人で悩み不安に思っている人もいると思います。アンケート結果は『伝えること』の後押しにつながるのではないか」と分析しています。

“ひとりで泣いてくる”受け止めた小2の長男

“ひとりで泣いてくる”受け止めた小2の長男
実際に告知を受けた子どもの状況を取材することができました。

東京に夫と小学2年生の長男と暮らしている大友真由美さん。去年10月、乳がんが見つかりました。当初は真由美さん自身が病をどう受け止めたらいいのか家族の生活がどう変わるのか分からず、長男の証くんには告知できる状況ではなかったといいます。
しかし、一か月ほどたち真由美さんが手術のために入院したり、抗がん剤治療で体調が悪くなったりする前に証くんに告知することを夫婦で決めました。告知する日の夜。夕食の後、いつものように3人でテーブルを囲み夫から「お母さんの胸に悪いシコリができてしまって手術をしなければいけない」と伝えました。「がんなの?」と聞く証くん。真由美さんは「がんだよ」と静かに伝えました。証くんは真由美さんが検査の問い合わせをする電話を聞いていたため、”がん”ではないかとうすうす感じていたようです。
証くんは「今は泣かない。あとで一人で泣く」と言い、寝るまではテレビを見たりお風呂に入ったりして明るく振る舞っていました。そして「おやすみ」と言って一人で寝室に行くと布団に潜るやいなや、大きな声で泣き始めたそうです。真由美さんと夫の一也さんは布団の側に行き「大丈夫だよ」と言葉をかけました。そして真由美さんが入院する前夜、証くんから「治るように応援するよ」と書かれた手紙をもらったそうです。
いまも治療が続く真由美さんですが、「家族がひとつになって闘病する雰囲気になりました」と話しました。

どう伝える?

専門医は子どもへの告知をどう考えているのか。子育て中の患者やその子どもをサポートしている聖路加国際病院小児総合医療センターの小澤美和医長に聞いてみました。
どう伝える?
小澤医師は、「伝えた方がよい」と話します。親ががんになると通院や入院で家を空けることが増えたり、体調に波が出たりします。生活の基盤である家庭や家族に変化があると子どもは不安になります。しかし、「変化についてあらかじめ説明されていれば、家族の一員として闘病に立ち向かえるのではないか。子どもにも家族にも幸せな変化ではないが、その変化をどう体験するかが大切で、体験が生きていく糧になると思う」と話していました。

“がん”であると伝える

しかし実際にどうに伝えたらいいのか悩む人も多いと思います。

小澤医師は3つのポイントとして「”がん”という病名」「うつる病気ではないこと」「誰のせいでもないこと」を伝えることをあげています。
“がん”であると伝える
病名を出したくないと“体に悪い虫がいる”とか“悪いできものができた”などと表現する人もいるようですが、虫やできものなどと言われると想像力が豊かな子どもは病気とは違うものを想像してしまうそうです。また、“大変な病気”と抽象的に説明すると“かぜのように移るのではないか”“自分もなるのではないか”と不安に感じてしまうそうです。

小澤医師は「子どもは家庭内の変化を感じ取っています。知らされずにいると“自分のせいなのではないか”など悪いことを想像しがちです。親にとっても真実を隠し続けることは大変な負担です。病気と立ち向かう上で大切なことは親と子どもの信頼関係です」と説明しました。

そして

がんと闘う中で死が避けられない状況の人もいます。“かわいそうだから”、“理解できないかもしれないから”伝えることをためらう人も多いですが、小澤医師は、死を避けられない場合も伝えたほうがいいと説明します。
「残された時間が長ければよりよいですが、仮に、30分だけでもいい、子どもに心の準備をする時間を作ってあげることが大事なのです。親を亡くされたお子さんから『あの時、親の死が近いと分かっていたら、してあげたいこと、話したいことがたくさんあったのに』と、無念の気持ちをよく聞きます。今が大事な時間であることを理解し、ご家族で過ごすという体験が子どもたちには必要だと考えています」。

子どもも家族の一員として

子どもに重篤な病を伝えるという難しさはがんに限りません。子どもの年齢、性格、そして、家庭環境も異なるため、“必ず伝えなければいけない”というものでもありません。どう伝えるかも含め判断はそれぞれのケースで異なると思います。大切なのは「子どもに理解できないから」と置き去りにするのではなく、家族の一員として捉え、どうしてあげるのがいいのかを考えることだと感じました。

投稿者:かぶん |  投稿時間:13:53  | カテゴリ:くらし
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