2016年01月26日 (火)

茨城・東海村 原発廃炉の放射性廃棄物 一部処分容認へ

K10010386601_1601261939_1601261940_01_03.jpg

商業用の原子力発電所として国内で最初に廃炉になった、茨城県にある東海原発の、解体作業で出る低レベル放射性廃棄物の一部について、敷地内に埋め立て処分する計画を、地元の東海村が容認する方針であることが分かりました。廃炉で出る放射性廃棄物の最終処分場は国内になく、計画を容認すれば、全国で初めてになります。

東海原発は平成10年に営業運転を終え、平成13年から商業用原発として国内で最初に解体作業が始められました。
事業者の日本原子力発電は、解体で出る低レベル放射性廃棄物のうち、建物に使われているコンクリートや金属部品など、放射性物質の濃度が最も低い「L3」と呼ばれる区分の1万2000トン余りについて、原発の敷地内に埋めて最終処分する計画を、去年7月、明らかにしています。
これについて、東海村の山田修村長はNHKの取材に対し、「処分地が決まらない状況が続き、解体作業がストップすることは避けなければならず、ほかに選択肢がないなかでは『やむなし』と感じている」と述べて、「L3」の廃棄物の処分計画を村として容認する考えを、全国の自治体で初めて明らかにしました。
廃炉で出る低レベル放射性廃棄物の最終処分場は国内になく、計画を原子力規制委員会が審査で認め、茨城県と東海村が正式に了解したのちに、実際の処分が行われることになります。

「廃炉の時代」に廃棄物処分場がない

5年前の原発事故をきっかけに巨額の安全対策が求められているうえに、原発の運転期間を原則40年とする制度が導入されたことを受けて、去年、電力各社は4原発5基の廃炉を決定し、日本も「廃炉の時代」を迎えたと言われています。
課題となっているのが、施設の解体で出る低レベル放射性廃棄物の処分です。
原発では、使用済み核燃料を再処理した際に出る、高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のゴミ」だけでなく、廃炉作業でも金属やコンクリートといった低レベル放射性廃棄物が発生します。
放射性物質の濃度に応じて、最も高いL1から最も低いL3まで3つに区分されていますが、いずれも処分場がありません。
これらの廃棄物の量は、全国57基すべての分を足すと、およそ45万トンと見積もられ、処分場がない状況が続くと、いずれ解体作業が滞るのではないかと指摘されています。
放射性廃棄物の処分の責任は、「発生者責任の原則」の考え方から、電力会社が負うことになっています。
高レベル放射性廃棄物に関しては、処分地の選定が進まないことに国民の批判が高まり、おととし閣議決定されたエネルギー基本計画で「国が前面に立って問題の解決に取り組む」とされましたが、廃炉で出る低レベルの廃棄物の処分場は、あくまで電力会社が確保するべきだというのが国の立場です。
こうしたなかで、平成13年に国内で最初に廃炉が始まった東海原発では、日本原子力発電が敷地内の貯蔵施設に廃棄物を仮置きしながら作業を進め、去年、濃度が最も低いL3を敷地内に埋め立て処分する許可を国に申請しましたが、より濃度の高いL1やL2の処分場のめどは立っていません。
東海原発に次いで平成21年に廃炉に着手した、静岡県にある浜岡原発1号機と2号機では、中部電力が去年までとしていた計画どおりにL3の処分場を確保できず、建物内の空きスペースに仮置きしながら解体することを国に申請しています。
これ以外の原発では、処分場の選定に向けた具体的な動きは見られません。

原発がある自治体 国の主体的関与求める声多く

去年11月から先月にかけて、NHKは原発がある全国22市町村と47都道府県すべてに、廃炉で出る低レベル放射性廃棄物の処分場に関するアンケートを行いました。
この中で、原発が立地する市町村と道と県の合わせて35の自治体に「廃棄物を原発の敷地内に埋め立て処分したいという申し入れがあった場合、容認するか」を尋ねたところ、「容認する」や「条件付きで容認する」という回答はなく、「仮定の話なので答えられない」など態度を留保する回答が71%、「容認できない」が26%でした。
また、47都道府県に「処分場を地元につくりたいという申し入れがあった場合、容認するか」を尋ねたところ、「容認する」と「条件付きで容認する」という回答はなく、「仮定の話なので答えられない」など態度を留保する回答が55%、「容認できない」が26%でした。
さらに、電力会社が処分場を確保する現在の枠組みをどう考えるか、対象の69の自治体すべてに尋ねたところ、「国が処分場の確保にもっと積極的に関わるべきだ」という回答が39%と最も多くなりました。次いで多かった「その他」を選んだ自治体からも、「最終処分先については、国が前面に立って早期に確保できるよう取り組むべきだ」とか、「国の主体的な関わりが必要不可欠だと考える」といった意見が多く寄せられました。
こうした結果について、科学技術社会論が専門で、放射性廃棄物に関する国の審議会の委員を務める、東京電機大学の寿楽浩太助教は、「自治体からすると、今後廃炉がどう進められ、低レベル放射性廃棄物の処分場が何か所ぐらい、どのぐらいの広さが必要かなど、具体的な道筋や全体像が見えず、受け入れるかどうかを考える状況にはないというのが率直な受け止めだろう」と分析しています。
そのうえで、「原発の敷地内で処分するのか、それ以外で処分するのか、全国で何か所ぐらいの施設を作るべきか、集中させたほうがリスクやコストの面で有利なのか、あるいは分散して負担を引き受けるのかなどを、本来、政府が主導して、社会的な合意を作り上げていくことが求められるのではないか」と述べ、処分について電力会社が一定の責任を負う必要があるとしながらも、国が主導して処分場選定の進め方を議論し、国民に示すところから始めるべきだとしています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:21:08  | カテゴリ:科学のニュース
コメント(0) | トラックバック (0)


トラックバック

■この記事へのトラックバック一覧

※トラックバックはありません

コメント(0)

※コメントはありません

コメントの投稿

ページの一番上へ▲