2016年02月26日 (金)

原発から30キロ圏外の自治体 備えと課題は

2基が再稼働した高浜原子力発電所の周辺の自治体では、原発事故への備えが進められています。国が防災対策の重点区域としているのは「原発から30キロ圏」ですが、その外の地域でも備えを進める動きがあり、それぞれ課題を抱えています。

ヨウ素剤を事前配付

高浜原発から最も近いところで、およそ45キロの距離に位置する兵庫県篠山市は、原発事故に備え、住民に甲状腺の被ばくを防ぐヨウ素剤を配っています。市によりますと、原発から30キロを超えた自治体で事前に配付するのは、全国で初めてだということです。今月21日に開かれた配付会には、大勢の住民が集まっていました。ヨウ素剤は、保健師などが一人一人にアレルギーがないかなどを確かめたうえで、手渡すことになっています。
篠山市は、高浜原発3号機が再稼働した先月末から来月にかけて、ヨウ素剤の配付会を30回開き、希望する住民全員に配ることにしています。
受け取った住民の1人は「これで少し安心できますが、使う必要がないのがいちばんです」と話していました。
国は、原発から5キロ圏内の自治体にヨウ素剤の事前配付を、また、30キロ圏内には備蓄を行うよう求めています。その範囲の外にある篠山市は、独自に備えを進めることにしました。その理由は、東京電力福島第一原発の事故で、放射性物質が30キロ圏の外にまで広がったからです。
兵庫県が行ったシミュレーションでも、同じ規模の事故が高浜原発で起きた場合、篠山市にも放射性物質が及ぶおそれがあるとされました。事故のあと1週間で、1歳の子どもが受ける甲状腺の被ばく線量は最大で100ミリシーベルトと、ヨウ素剤の服用を求める国際基準の2倍と推計されています。
そこで篠山市は、おととしから、住民全員と仕事や観光で訪れる人たちに配る5万人分のヨウ素剤を備蓄し、さらに、事故が起きてからでは遅いとして、ことし事前配付に踏み切りました。
篠山市市民安全課の西牧成通課長は「50キロ近く離れているので安全かと思っていたが、対策を進めなければならない。原発が再稼働したので、できるだけ早く配付したい」と話しています。
ところが、30キロ圏外の篠山市には国から交付金などは支給されません。ヨウ素剤は使用期限の3年ごとに配りなおす必要があり、そのたびに、市がおよそ600万円の費用を負担しなければなりません。
西牧課長は「国の指針では30キロ圏という線引きがあるが、原発事故が起きたときに影響を受けるのはその範囲にとどまらない。国は財政支援を含め、柔軟に対応してほしい」と話しています。

自主的に避難計画まとめる

兵庫県と隣接する京都府北部の京丹後市は、高浜原発から近いところで30.9キロの距離です。避難計画の策定を求められる30キロ圏には僅かに入っていませんが、市は3年前、自主的に住民の避難計画をまとめました。
福島第一原発の事故を教訓に、屋内退避だけでなく、京都府内のほかの地域や、ほかの府県に避難することも盛り込みました。
しかし、具体的な避難先は決まっていません。30キロ圏内については、関西広域連合などが避難先の自治体を決めましたが、30キロの外は対象ではなく、計画も「調整を行う」という表現にとどまっています。
その一方で京丹後市は、高浜原発で事故が起きた際、原発により近い京都府宮津市と伊根町から1万人余りを受け入れる避難先に指定されています。住民をほかの地域に避難させることと、ほかの地域からの受け入れを、ともに検討しなければならないという難しい課題を前に、国に対し、十分な支援を行うよう求めています。
京丹後市の荻野正樹危機管理監は「国は、位置的に決めた30キロではなく、総合的に判断して、もう少し広い範囲の自治体に十分な支援を行ってもらいたい」と話しています。
こうした自治体からの要望について、原子力規制庁は「福島第一原発と同じ規模の事故が起きても、30キロ圏外の住民は屋内退避をすれば健康被害が出るほどの被ばくはしないと考えている。それ以上の事故が起きた場合は、国が責任を持って避難所の確保やヨウ素剤の配付を行う」としています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:19:56  | カテゴリ:科学のニュース
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