2016年04月07日 (木)

葛西臨海水族園マグロ大量死「複合的要因」で

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東京の葛西臨海水族園でクロマグロなどが大量に死んだ問題で、水族園は水中に溶け込んだ空気の濃度が異常に高くなり、血管に気泡ができる「ガス病」の疑いがあるとした一方で、唯一の要因とは考えられず、照明の交換などによる明るさの変化やストレスなど複合的な要因が重なったとする報告書をまとめました。

東京・江戸川区の都立葛西臨海水族園では、クロマグロなどの回遊魚を多いときで190匹飼育していましたが、おととし11月から相次いで死に、去年3月にはマグロ1匹が残るだけとなりました。
その後、段階的にマグロと近い種類の魚を水槽に入れ、異常がないことを確認したうえで、去年6月からマグロの飼育を再開し、大量死の原因について調査を続けてきました。7日、その調査結果の報告書がまとまり、水族園の錦織一臣副園長らが都庁で記者会見しました。
それによりますと、死んだ個体を調べたところ、水中に溶け込んだ空気の濃度が異常に高くなり、魚の血管に気泡ができる「ガス病」の疑いがあることが分かったということです。ガス病は水槽の水を循環させる配管に空気が混入して起きる可能性があり、水族園が配管を調べたところ、接続部分のパッキンの劣化などが確認されたため、その後、点検や保守を強化しているということです。
一方、ガス病の症状は一部の個体にしか見られなかったことから、唯一の要因とは考えられないとして、照明設備の交換などによる明るさの変化や5年ぶりの産卵行動に伴うストレスなども影響した可能性があるとして、複合的な要因が重なったと結論づけています。
水族園では水中の気体の濃度を測定する機器を新たに導入するなど可能性のある要因への対策をすでに取っているということです。
葛西臨海水族園の錦織副園長は「引き続き、慎重に観察を続け、以前のような迫力ある展示の回復を進めていきたい」と話しています。

「報告書は大変参考になる」

葛西臨海水族園が今回公表した報告書について、世界で初めてマグロの完全養殖に成功した近畿大学の熊井英水名誉教授は「水族館で起きた大量死はマグロの養殖にとっても大きな課題で、報告書は大変参考になると思う」と話しています。
熊井名誉教授はまず、今回の報告書でマグロの大量死が「ガス病」をはじめとした複合的な要因が重なっておきたとされたことについて、「マグロは繊細な生き物なので、私もいろいろな要素が重なって起きたものだと考えていた」と指摘しました。そのうえで熊井名誉教授は「報告書の中で特に気になったのが『ガス病』だ。淡水で養殖するウナギのガス病は聞いたことがあるが、海水の生けすでガス病が起きたのは聞いたことがない。水族館で起きた大量死はマグロ養殖にとっても大きな課題で、今回の報告書は大変参考になると思う」と話しています。

マグロ大量死の経緯

葛西臨海水族園は17年前の平成11年に世界で始めて水槽の中でのクロマグロの産卵に成功するなど、国内有数のマグロの飼育施設で、ドーナツ型の巨大な水槽でクロマグロやハガツオなどの回遊魚を、多いときで190匹飼育していました。
しかし、おととし11月以降、マグロなどの回遊魚が突然、垂直に泳ぎ出すなど異常な行動が目立つようになったり、水槽に衝突する魚が増えたりして相次いで死んでいきました。その結果、去年3月にはマグロ1匹が残るだけとなりました。
水族園では当初、死んだ一部の魚からウイルスが検出されたため、大学や研究機関に依頼して調査しましたが、養殖業者などが感染を懸念している「マダイイリドウイルス」など毒性の強いウイルスではないと分かった一方、種類は特定できませんでした。
また、魚が相次いで死んでいた時期に水槽周辺で工事が行われていたため、水族園では騒音や振動といった環境要因なども否定できないとしていました。
水族園では原因不明のまま、去年春から徐々にマグロに近い種類の魚を水槽に入れ、異常がないことを確認したうえで、去年6月から新たなマグロを入れて飼育を再開しています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:18:42  | カテゴリ:科学のニュース
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