2016年04月12日 (火)

"昔の病気"ではない 結核集団感染

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警視庁の渋谷警察署で、去年末からことしにかけて署員19人が結核に感染したことが明らかになりました。結核と言えば、今月から放送が始まった連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で、西島秀俊さん演じる主人公の父親が感染したことでも話題になりましたが、”昔流行した病気”というイメージを持っている人も少なくないかもしれません。このドラマも結核が「国民病」と言われていた戦前の昭和初期が舞台になっています。しかし、結核は、日本では今も1日に50人を超える人が新たに発症し、このうち6人が亡くなる深刻な感染症なのです。

なぜ患者が出続ける?

結核は、患者のせきやくしゃみで飛び散った結核菌という菌を吸い込むことによって感染が広がります。微熱やせきなどが長く続くのが特徴で、症状が進むと血を吐いたり呼吸困難に陥ったりして亡くなることもあります。国内では明治終わりごろから昭和20年代かけて毎年の死亡者が10万人を超え、昭和25年までは日本人の死亡原因の第一位を占めていました。
その後、治療薬やワクチンの開発によって予防や治療が可能になり患者数は減り続けましたが、おととしの患者数は1万9000人余りと今も1日当たり50人を超える患者が出続けています。
患者が出続ける原因の1つと考えられているのが結核菌のある特徴です。
結核菌を吸い込んだ人のうち、10%から15%は2年ほどのうちに発症しますが、発症しない人の体内でも結核菌が留まり続けることが分かっています。国内の1万9000人の患者のうち70%余りは60歳以上の高齢者ですが、この多くは結核が国内でまん延していた時代に体内に取り込んだ菌が高齢になって病気への抵抗力が弱まった結果、数十年たって症状を引き起こしたのではないかと考えられています。
実際、渋谷警察署の集団感染も去年2月に署内で留置していた60代の男性が発端で、そこから男性の留置を担当していた署員を通じて感染が広がったとみられています。

なぜ患者が出続ける?

若い人たちは大丈夫?

今の若い人たちの多くは結核の発症を予防するワクチン、BCGの接種を受けていますが、結核を心配する必要はないのでしょうか。実は、ワクチンの接種を受けた人でも、結核を発症するおそれはあり、接種を受けた人のうち5%から10%の人が発症するというデータもあります。渋谷署の集団感染でも留置の担当者や亡くなった男性の解剖に立ち会うなどしていた、20代から60代の警察官や職員が相次いで感染していました。

何に気をつける?

結核の症状は、初期はかぜによく似ているため、気付かないまま放置して感染を広げてしまうおそれがあります。渋谷署の集団感染でも、警察署が以前留置していた男性が結核で死亡していたという解剖結果を去年8月に把握していながら、ことし1月に署員が結核と診断されるまで、保健所に通報するなどの対応を取っていなかったことが分かっています。厚生労働省は、せきや痰(たん)、微熱などの症状が2週間以上続いた場合は、早めに病院にかかるよう呼びかけています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:17:52  | カテゴリ:科学のニュース
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