2016年04月20日 (水)

高浜原発1・2号機 延長目指す原発で初の審査書決定

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運転開始から40年がたつ福井県の高浜原子力発電1号機と2号機について、原子力規制委員会は安全対策が新しい規制基準の審査に合格したことを示す審査書を正式に決定しました。原則40年に制限された運転期間の延長を目指す原発で、審査書が決定されるのは初めてで、今後は残る審査がことし7月の期限までに終わるかが焦点になります。

関西電力が40年を超えての運転を目指す高浜原発1号機と2号機について原子力規制委員会は、古い原発特有の課題になっている電気ケーブルの防火対策など、見直された安全対策が新しい規制基準に適合しているとして、ことし2月、審査に事実上合格したことを示す審査書の案を取りまとめ、一般からの意見を募集していました。
20日の規制委員会では、「想定される地震の揺れが過小に評価されている」とか、「電気ケーブルの防火対策の実証試験を先送りしているのは問題だ」といった意見があったと報告されましたが、結論は変えず、表現の一部を修正した審査書を全会一致で決定しました。
原発事故のあと導入された運転期間を原則40年に制限する制度のもと、延長を目指す原発の審査書が決定されるのは初めてです。
最終的な延長には▽施設の劣化状況の審査や▽設備の耐震性など詳しい設計の審査がまだ残されていて、このうち耐震設計については関西電力が修正した書類を提出することにしていて、ことし7月7日の期限までにこれらの審査に合格できるかが今後、焦点になります。
合格した場合でも実際の再稼働には安全対策の追加工事などを終える必要があり、関西電力は3年以上かかるとしています。

丁寧な情報発信求める意見も

20日の原子力規制委員会で委員からは、古い原発で社会からの関心も高いとして、審査書に盛り込まれた判断の根拠や残る審査の内容などについて丁寧に情報を発信するよう求める意見が出されました。
20日、決定された高浜原発1号機と2号機の審査書については、案が示されたあとの1か月で、一般から600件余りの意見が寄せられました。
20日の会合で伴信彦委員は、「古い原子炉で社会の関心が高い。われわれがどう考え、どう判断したかや今後の詳しい設計を確認する審査や試験などについて、社会に分かりやすく伝えてほしい」と述べ、丁寧に情報発信を行うよう求めました。
自然災害を担当する石渡明委員も、原発で想定される最大規模の揺れである基準地震動の意味が十分に理解されていないと思われる意見があったとして、ホームページなどで丁寧に説明するよう事務局の原子力規制庁に求めました。
原子力規制委員会の情報発信を巡っては、今月14日の熊本地震のあと、原発の状況についての発信が遅れるなど対応が不十分だったとして、九州地方で震度5弱以上の地震が起きた場合には、ホームページで状況を伝えるなどきめ細かい発信をするよう見直しが行われています。

7月7日の期限まで 残る審査は

高浜原子力発電所の1号機と2号機はいずれも運転開始から40年がすぎていますが、運転期間を原則40年とする制度が始まってから3年の猶予があり、原子力規制委員会から必要な3つの許認可を得る期限はことし7月7日までとされています。
20日の審査書の決定で、残る認可は、設備の詳しい設計などが審査される「工事計画認可」と古い原発の設備の劣化状況が審査される「運転期間延長認可」の2つになりました。
このうち、大きな焦点となっているのが「工事計画認可」に必要な書類を、関西電力がいつ規制委員会に提出できるかです。関西電力が工事計画認可で重要な設備の耐震性を評価するに当たり、従来とは異なる新しい手法を用いたのに対し、規制委員会は、従来の方法で計算すると一部の設備の設計が「揺れに耐えられない」という結果になることもあり、「新しい手法の適用は妥当か」検証を求めてきました。
このため関西電力は、先月からタイプが似た別の原発の設備を実際に揺らす試験を行っていて、「妥当性が確認できた」とする中間の試験結果については、規制委員会の了承がおおむね得られました。
また、実際の高浜原発の設備での試験は期限のあとで行うとされ、耐震評価を巡る議論は終盤を迎えていますが、過去には電力会社による工事計画の書類の作成やその後の修正に手間取るケースがあり、提出が遅れれば、期限に間に合わない可能性があります。
もう1つの設備の劣化状況を確認する運転期間延長認可の審査も工事計画認可を受けないと終えることができません。工事計画認可の審査で確認した原子炉建屋や核燃料を保管するプールなどの耐震性の評価を基に、最長60年運転した場合のコンクリートの劣化などを考慮した計算をする必要があるからです。関西電力は、工事計画認可に必要な書類を今月にも提出したいとしています。
一方、規制委員会は2つの認可が期限に間に合うか、依然、予断を許さない状況だとして、審査を急ぐ考えを示していますが、原発の運転に反対する市民グループからは、耐震性を評価するための実際の設備を揺らす試験を期限のあとにすることなどを規制委員会が了承していることについて、「期限までの合格ありきの審査で原則40年のルールが形骸化している」などと批判しています。

高浜原発巡る裁判

運転開始から40年がたつ高浜原子力発電所1号機と2号機を巡っては、今月14日、愛知県や福井県などの住民が「原発の危険性は福島の事故で明らかで、古い原発の運転は危険だ」などとして、原子力規制委員会に運転の延長を認めないよう求める訴えを名古屋地方裁判所に起こました。
また、高浜原発3号機と4号機は先月9日、滋賀県の大津地方裁判所が「住民の生命や財産が脅かされるおそれが高いのに、関西電力は安全性の確保について説明を尽くしていない」などとして、運転停止を命じる仮処分を決定し、再稼働できない状態になっています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:11:10  | カテゴリ:科学のニュース
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