2016年05月11日 (水)

抗生物質効かない細菌 新生児など感染し死亡例も

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生まれたばかりの赤ちゃんや就学前の幼児など子ども60人以上が、過去3年間に、「ESBL産生大腸菌」と呼ばれる、複数の抗生物質が効かない細菌に感染して命に危険が及ぶような重い症状になり、確認されただけで2人が死亡していたことが、専門の医師で作る学会の調査で明らかになりました。幼い子どもの間でESBLによる全国的な健康被害の実態が明らかになったのは初めてで、専門家は「出産の際に母親から感染したとみられる赤ちゃんも多く、医療現場での感染対策を検討する必要がある」と指摘しています。

ESBL産生大腸菌は、抗生物質を破壊する酵素を作り出す細菌です。健康な人が感染しても通常、病気になることはありませんが、早産で生まれた赤ちゃんや病気の子どもが感染すると、血液中に細菌が入り込む敗血症などを引き起こして、最悪、死に至ることがあります。
日本新生児成育医学会と日本小児感染症学会は、ここ数年、この細菌を体内に持つ健康な大人が増えているという調査結果を受け、早産の赤ちゃんなどに影響が出ていないか全国520の医療機関を対象に調査しました。その結果、去年までの3年間だけで、生まれたばかりの赤ちゃんや就学前の幼児を中心に、少なくとも65人がこの細菌に感染し、入院が必要な状態になっていたことが分かりました。
症状の中で全体の6割近くを占め、最も多かったのは、意識障害や血圧低下を起こし命に危険が及ぶ「敗血症」で、これまでに確認されただけで2人が死亡していたということです。
また、生後まもない赤ちゃんなど、0歳児が全体の4割近くを占めていて、出産直後に高熱などの症状が出たり、母親からもこの細菌が検出されたりしていることから、出産の際に母親から感染した可能性が高いということです。
調査を担当した東京都立小児総合医療センターの堀越裕歩医師は、「生まれたばかりの赤ちゃんが耐性菌が原因で重篤な症状に陥る時代に入ってきている。特に早産のおそれがある妊婦については、事前にESBLを持っていないか把握するなど、対策を検討する必要が出てきているのではないか」と話しています。

早産の赤ちゃんなど 重い症状も

ESBL産生大腸菌は抗生物質を壊す酵素を作り出す「多剤耐性菌」で、医療現場で広く使われている複数の抗生物質が効きません。
日本では平成7年に初めての感染が報告されましたが、ここ数年、健康な人の間でも保菌する人が増えていると言われています。
この細菌に詳しい東邦大学の石井良和教授によりますと、健康な人の20%前後が保菌しているとするデータもあるということです。
ESBL産生大腸菌は、通常、健康な人が保菌していても特に症状は現れませんが、早産で体力の弱い赤ちゃんや、免疫が低下した手術直後の入院患者、それにがん患者などが感染すると敗血症など重い症状を起こし、最悪、死に至ることがあるということです。

耐性菌 サミットでも議題に

抗生物質が効きにくい耐性菌は欧米の医療現場でも深刻な問題となっていて、今月開かれる伊勢志摩サミットでも議題となる予定です。
これを前に、国も耐性菌をテーマにした初の行動計画をまとめていて、耐性菌を生み出す原因とされる抗生物質の不必要な使用について継続的に監視することなどを明記し、2020年には抗生物質の使用量を2013年の3分の2に減らすとしています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:19:23  | カテゴリ:科学のニュース
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コメント(1)

多剤耐性菌…薬が効かないなんて、無防備な赤ちゃんが、とてもかわいそうです。
なんとか、感染に関わる遺伝子の異常化した塩基配列を切り取って、正常な螺旋を守ることは出来ないのでしょうか?
せっかく生まれてくる生命、赤ちゃんの健やかな笑顔を守ってあげたいです。

投稿日時:2016年05月13日 00:23 | 雪うさぎ

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