2016年05月27日 (金)

もんじゅ 文科省検討会が報告書「国は在り方検討を」

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安全管理上の問題が相次ぎ、新たな運営主体を示すよう求められている福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」について、文部科学省の検討会は、外部の専門家が入る経営協議体を設置することなどを盛り込んだ報告書を取りまとめました。一方で、報告書では、今回の検討会が、もんじゅの政策的な位置づけについて議論したものではないとし、会合の最後に、複数の委員が、もんじゅの在り方そのものを改めて国が検討すべきだと意見を述べました。

「もんじゅ」を巡り原子力規制委員会は去年、運転を安全に行う資質を持っていないなどとして、日本原子力研究開発機構に代わる新たな運営主体を示すよう勧告し文部科学省の検討会が議論を行ってきました。
検討会は、具体的な運営主体は示しませんでしたが、27日の会合で、外部の専門家が入る経営協議体の設置や、外部に頼らない保守管理の体制作りなど運営主体に必要な条件を示した報告書を取りまとめ、有馬朗人座長が馳文部科学大臣に提出しました。
一方で、報告書では、今回の検討会が、もんじゅの政策的な位置づけについて議論したものではないとしました。
会合の最後に、有馬座長を含む複数の委員が、日本の今後のエネルギー政策やもんじゅの在り方について根本から改めて国が検討すべきだと意見を述べました。
文部科学省は、今後、具体的な運営主体を検討するとしていますが、こうした根本からの議論を求める声があるなかで、文部科学省の対応が問われています。

報告書の内容は

27日文部科学省の検討会が取りまとめた報告書では、もんじゅの新たな運営主体に必要な5つの用件を上げています。
今回の報告書では、まずもんじゅについて、▽使った以上に燃料を増やす高速増殖炉の技術と▽放射性廃棄物を低減する技術の「中核的な研究開発の場」だとして、原発事故後に見直された研究計画で示された政策上の位置づけを改めて示しています。
そして運営の課題として、▽保守管理をメーカーに依存するなど体制がぜい弱だったことや、▽保守管理への職員の配置が不十分で、電力会社やメーカーからの出向者が持つ知識や技術を定着させられなかった人材育成の問題、▽研究開発が優先され保守管理が十分に重要視されない組織運営の問題など、8つの項目を指摘しています。
そのうえで、新たな運営主体に必要な要件として、運転と保守管理の適切な実施を組織全体の目標と明確に位置づけて、外部に頼らない保守管理ができる体制や、日本原子力研究開発機構にしか存在しない燃料を冷やすナトリウムを扱う技術を引き継いで高度化すること、認可法人などを選択肢に上げて外部の専門家が入る経営協議体を設置することなど5項目を挙げています。
また、検討会で議論した多くの課題は、過去の改革でも同じように指摘されながら、改善が進まなかった背景については、「経営陣と現場の双方に徹底して取り組む意識と仕組みが不足していた」などとしています。

文科相「運営主体の特定作業進める」

検討会の終了後、馳文部科学大臣は記者団に対し、「安全が最優先であることが大事で、それを実行するための運営主体とは何か、専門的見地から指摘を頂いた。これを踏まえ、運営主体の特定に向けた作業を進めていきたい」と述べました。そのうえで、馳大臣は、新たな運営主体を示す時期について、「1日も早くというのが私の本音だ。わが国のエネルギー基本計画に関わる問題なので、関係省庁や、原子力規制委員会など関係機関とコミュニケーションを取りながら、丁寧に進めていく必要がある」と述べるにとどめました。

規制委「十分な議論が行われたのか疑問」

もんじゅの新しい運営主体について、原子力規制委員会は、文部科学省から具体的に示されたのちに検討するとしていますが、田中委員長は十分な議論が行われたのか、疑問を投げかけています。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は25日の記者会見で「もんじゅの安全とは何なのかという議論は少なくともされていないのではないか。炉心の詳しい状態も分からず、勧告に沿った議論がされているようには見えない」と述べ、安全を確保するためのより具体的な検討をしたうえで、運営主体を示す必要があるという認識を示しています。
勧告への回答のめどとしたおおむね半年がたっていることについては、新しい運営主体の明示は容易ではないとして、半年にこだわらないとしつつも、「1年も2年もたってからということではない」と述べています。
勧告では、運営主体が見つからない場合には、安全上のリスクを減少させるようもんじゅの在り方を抜本的に見直すよう求めていて、田中委員長は、「1つの例としては原子炉から核燃料を抜くということがある」と例を示しましたが、具体的な対応は文部科学省が検討することだとしています。

専門家「根本見直し議論なく残念」

文部科学省の検討会で行われた議論について、国の原子力委員会の元委員で長崎大学の鈴木達治郎教授は「もんじゅを含めた高速増殖炉や原子力の研究開発の在り方ひいては核燃料サイクルの在り方を根本的に見直すいい機会で、その議論をしたうえで運営主体を議論すべきだと考えていたが、そういう議論がされなかったことが残念だ。何のために運転をするかがはっきりししないと対策もとれない。発電と研究開発という2つの使命を抱えたまま新しい運営主体ができても同じような問題が起こるのではないか」と指摘しました。

投稿者:かぶん |  投稿時間:19:07  | カテゴリ:科学のニュース
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