2016年06月09日 (木)

113番元素の名前の案 ニホニウムに決定

 

K10010550601_1606090738_1606090821_01_03.jpg日本の理化学研究所のグループが発見し、日本に初めて命名権が与えられた「113番元素」について、化学に関する国際機関は名前の案を日本の提案どおり、日本ということばを取り入れた「ニホニウム」に決め、日本時間の8日午後10時半、ホームページで発表しました。また、元素記号の案を「Nh」に決めたと併せて発表しました。

物質の元になる元素のうち、九州大学の森田浩介教授を中心とする理化学研究所のグループが、12年前に埼玉県和光市にある大型の実験装置を使って人工的に作り出すことに成功した113番目の元素について、化学に関する国際機関、「国際純正・応用化学連合」は去年12月、正式に元素として認定し、命名権を日本に与えました。
これまで元素を発見した国は、欧米とロシア以外にはなく、日本が元素の命名権を与えられたのは今回が初めてで、アジアでも初めてのことになります。
これを受けて、理化学研究所のグループは名前と元素記号の案をことし3月、国際機関に提出し、国際機関がふさわしいものかどうか審査を行ってきました。
その結果、国際機関は「113番元素」の名前の案を日本の提案どおり、日本ということばを取り入れた「ニホニウム」に決め、日本時間の8日午後10時半、ホームページで発表しました。また、併せて元素記号の案を「Nh」に決めたと発表しました。
国際機関では、これから5か月間、一般から意見を募集したうえで、ことしの末か、来年のはじめごろ、名前と元素記号を正式に決定する見通しです。決定すれば、世界中の教科書などに掲載されている、すべての元素を一覧にした周期表に「ニホニウム」の名前が書き加えられることになります。

困難を極めた実験

理化学研究所のグループは113番元素を作るために、原子番号30番の亜鉛と原子番号83番のビスマスという金属に着目しました。
それぞれ、原子核の中には陽子が30個と、83個含まれていて、亜鉛とビスマスがしっかりと合体すれば理論上、陽子が113個の113番元素ができることになります。
しかし、原子核の大きさは1000億分の1ミリと極めて小さく、衝突させること自体、非常に難しい実験となりました。また、衝突させることができたとしても、原子核と原子核がしっかりと合体する確率は、100兆分の1しかないため、実験は困難を極めました。
理化学研究所のグループが実験を開始したのは2003年9月でしたが、実験に成功し、113番元素が出来たという十分な確証が得られたのは2012年8月で、実験開始から9年の時間がかかりました。

95番以降は人工的に作り出された

物質の元になる元素は原子番号1番の水素から、94番のプルトニウムまでが自然界に存在していますが、95番以降は人工的に作り出されたもので、これまでに118番まで報告されています。
理化学研究所が作り出した113番元素と、115番、117番、118番の合わせて4つの元素は去年12月、化学に関する国際機関、「国際純正・応用化学連合」によって、新たに元素として認められました。
そして、国際機関は、それぞれの元素を発見した研究グループから寄せられた名前の案が元素の名前としてふさわしいものかどうか審査したうえで、日本時間の8日午後10時半、4つの元素の名前の案を一斉に発表しました。

「原発事故で失われた自信と信頼を再び」

化学に関する国際機関、「国際純正・応用化学連合」のホームページには113番元素の名前の案を「nihonium」としたことについて、その由来や、込められた思いについて説明を加えています。
この中では「nihon」ということばについて、日本語で日本の国の名前を意味することや、太陽が昇る様子から名付けられていることが紹介されています。
また、「nihonium」に込められた思いとして、「2011年に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故によって失われていた、日本人の科学に対する自信と日本の科学への信頼とを、今回の新しい元素への命名によって、再び取り戻すことができるよう期待している」と記しています。

森田教授がコメント

113番元素を発見した理化学研究所のグループのリーダーを務める、九州大学の森田浩介教授は8日午後10時半すぎ、コメントを発表しました。その全文は次のとおりです。

私たち研究グループ一同が国際純正・応用化学連合=IUPACに提案しておりました113番新元素の元素名nihoniumと元素記号NhがIUPAC内部での審査過程を通過し、一般の批評=public reviewを受けるためにIUPACのウェブサイトに公開されました。public reviewのあとにIUPACによる正式決定がなされます。

なお、私たちはIUPACによる公開と同時に日本化学会命名法専門委員会に日本名「ニホニウム」を提案いたしました。IUPACにより、元素名と元素記号が、このまま最終決定されれば、この日本名も正式に決定されることになります。

長い元素発見の歴史の中で、欧米以外の国で元素を発見したグループはありませんでした。今回の新元素の認定と命名は日本発、アジア初のことであります。

私たちは応援してくださった日本の皆さんのことを思い、新元素を「ニホニウム」と命名いたしました。IUPACによる最終決定がなされれば、元素名nihoniumと元素記号Nhが周期表の一席を占めることになります。

人類の知的財産として将来にわたり継承される周期表に、日本を中心とする研究グループが発見した元素とその名前が載ることは、研究グループとして大変光栄なことです。私たちは応援してくださったすべての皆さんに感謝いたしております。ありがとうございます。

基礎科学は長期的に見れば、発見当時は思いもつかないような多大な恩恵を人類にもたらした例が数多くありますが、日々の生活にすぐに直接的な恩恵を与えることはまれです。そのため、基礎科学の研究は国家の支援、すなわち国民の皆様の税金によって成り立っています。長期的視野に立って時間のかかる基礎科学の研究を支援してくださった研究所と関係府省、そして国民の皆様に心より感謝いたします。

周期表に日本発の元素を見出した人が少しでも誇らしい気持ちになり、科学に興味を抱いてくださるなら、科学的な思考を持つ人の数を増やすことにつながり、ひいては日本の科学技術の発展に寄与しうると考えるとき、私たちは、私たちの行ってきたことに大きな意義を見出すことができます。今回の新元素発見と命名を多くの皆様と共に祝福できましたなら、研究グループ一同これに勝る喜びはありません。

投稿者:かぶん |  投稿時間:19:34  | カテゴリ:科学のニュース
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