2016年06月17日 (金)

卵子凍結 約2割の施設が実施する可能性

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健康な独身女性が将来の妊娠や出産に備えて行う卵子の凍結保存について少なくとも全国の18の医療機関がすでに実施し、生殖補助医療を行っている施設のおよそ2割が今後、実施する可能性があると答えたとする調査結果を岡山大学のグループがまとめました。

卵子の凍結保存は、女性の晩婚化が進むなか、若いときの卵子を保存して将来の妊娠や出産に備えたいという独身女性の要望に応じて、不妊治療のクリニックなどで広まりつつあります。
岡山大学のグループは去年10月から12月までの間、日本産科婦人科学会に登録し、生殖補助医療を行っている全国1100余りの医療機関を対象にアンケート調査を行い、182施設から回答を得ました。
その結果、健康な独身女性の卵子凍結をすでに実施している医療機関は18施設あり4年前の調査に比べ、2倍に増えていました。
また、卵子の凍結保存を希望する20代から30代の独身女性が受診したことがあると答えた施設は、全体の28%に上り、健康な独身女性の卵子凍結を今後、行う可能性があると答えた施設も全体の20%に当たる36施設に上りました。
健康な独身女性の卵子凍結を巡っては、日本生殖医学会が年齢などの条件をつけたうえで凍結を認めるというガイドラインを3年前に出していますが、日本産科婦人科学会は「基本的に推奨しない」とする文書を去年まとめ、会員に周知しています。
調査を行った岡山大学の中塚幹也教授は「女性の希望に応じて進んでいる結果だと思うがどのように進めるのか具体的なルールが整備されていない問題もあり専門家を交えて議論をしていくことが必要だ」と話しています。

卵子凍結を巡る動き

卵子の凍結保存は、「超急速凍結法」という技術の登場で卵子の生存率が高まったことをきっかけに国内でも広がり始めました。
3年前には日本生殖医学会が、「無秩序な広がりを防ぎたい」とガイドラインを作成し、健康な独身女性に対しても凍結保存の実施を認めたうえで、40歳以上で卵子を凍結保存することや、45歳以上で凍結した卵子を使って不妊治療を行うことは推奨できないとしました。
こうした条件を定めた背景には、若いときの卵子を使っても高齢妊娠になれば、「妊娠高血圧症候群」など母体や胎児のリスクが高まること、卵子は解凍する際に壊れることもあり、必ずしも妊娠できるわけではないといった事情があります。
一方で、女性の晩婚化が進むなか、千葉県浦安市と順天堂大学病院が、去年、少子化対策の一環として将来の妊娠と出産に備え、市が凍結保存にかかる費用や技術者の人件費の一部を補助する計画を発表し、議論を呼びました。
去年6月には、日本産科婦人科学会の専門委員会が健康な女性が、将来の妊娠や出産に備えて卵子を凍結保存することを基本的に推奨しないとする文書をまとめ全国の会員に周知しました。
文書ではまず、妊娠、出産は適切な年齢で行われることが望ましく、卵子の凍結保存は、その代替方法として用いるべき技術ではないとしたうえで、卵巣出血や感染症などを引き起こす可能性があることや、受精卵や胎児への影響が不明であること、それに将来の妊娠・出産が保証できないなどの問題をあげています。

吉村名誉教授「女性が子どもを産める社会を」

日本生殖医学会の前理事長で、慶應義塾大学の吉村泰典名誉教授は、「今回の調査では、すでに実施しているのは18医療機関ということだが実際にはもっと多くの施設で行われていると思う。凍結した卵子を使っても必ずしも出産できるわけではないことや、高齢になってからの妊娠や出産は体へのリスクが高まることを医療機関は女性にきちんと説明すべきだし、女性もそのことをよく理解する必要がある。まずは、出産適齢期に女性が子どもを産める社会をつくっていくほうが大切だ」と話しています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:18:41  | カテゴリ:科学のニュース
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