2016年07月18日 (月)

プラスチックによる海洋汚染 川から防ぐ取り組み

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美しい渓谷で人気の観光地、京都の保津峡で「海の日」の18日、プラスチックごみによる海洋汚染を川から防ごうと、川岸に散乱しているペットボトルなどのプラスチックごみを回収する取り組みが行われました。

この取り組みは、保津峡の上流に当たる京都府亀岡市のNPOが行ったもので、地元の子どもたちや保護者など合わせて40人余りが参加しました。

参加した人たちは観光用の川下りの舟に乗り、渓谷美が美しい保津峡の川岸まで移動しました。そして、川岸に打ち上げられたペットボトルや食品トレーなどのプラスチックごみを拾い、1時間ほどで40袋分のごみが回収されました。参加した小学6年生の男の子は「これだけのごみが海まで流れると、海を汚してしまうのでよくないと思いました」と話していました。

プラスチックごみは、いったん海に流れ出ると、紫外線や波の力で細かく砕かれ、大きさが5ミリ以下の「マイクロプラスチック」になりますが、分解されずに海を漂い続けるうえ、有害物質を付着しやすいため、海の生態系への影響が懸念されています。

マイクロプラスチックによる海洋汚染は国境を越えて、世界各地に広がっていることから新たな国際問題にもなっていて、ことし5月に日本で開かれたG7環境相会合では各国が連携して対策を急ぐ必要性が確認されました。

取り組みを行ったNPOの代表で、環境政策が専門の大阪商業大学の原田禎夫准教授は「海の環境問題を解決するためには、そもそも海にごみを流さないように、それぞれの地域の川での取り組みが重要だということを多くの人にぜひ認識してもらいたい」と話しています。

各地で広がり始めた取り組み

マイクロプラスチックによる海洋汚染の根本的な解決策が見つからないなか、それぞれの地域でできることに取り組もうという動きが広がり始めています。

大阪商業大学の原田禎夫准教授が代表を務めるNPOでは、住民が地域の川や用水路でプラスチックごみを見つけた際、スマートフォンのGPS機能を使って、ごみの位置を写真付きで通知できるアプリを開発しました。

保津峡の上流に位置する京都府亀岡市で、市民にこのアプリを半年間使ってもらった結果、地域を流れる3本の川のうち、1本に、ごみの多くが集中していることが分かり、自治会による重点的な清掃活動が行われるようになりました。

自治会で清掃活動に取り組んでいる山田吉和さんは「以前は清掃活動に、あまり参加者が集まらなかったが、アプリによって、ごみが多い場所がデータで分かるようになり、住民の意識も高まった。海に面していない地域だが、しっかりと海のことを考えて活動したい」と話していました。

また、原田准教授は「プラスチックごみは海まで流れると粉々に砕けてしまい、回収が難しくなるが、上流の地域なら形が大きく簡単に取り除ける。国際的な問題だが、原因は自分たちの目の前にあるという意識を高めて、それぞれの地域で取り組みを進めることが大切だ」と話しています。

マイクロプラスチック 有害物質の運び屋に

ことし5月に発行された国連の報告書では日本の研究者が調査したマイクロプラスチックによる世界の汚染状況が公表され、南極海の近くの島など人の生活圏から遠く離れた場所でも比較的高い濃度の有害物質が検出されるなど地球規模で汚染が広がっている実態が明らかになりました。

東京農工大学の高田秀重教授のグループは、世界各地の研究者やNGOの協力を得て50余りの国や地域の海岸からマイクロプラスチックを集め、付着している有害物質の種類や量を分析しました。その結果、有害物質のPCBが日本やアメリカ、ヨーロッパで多く検出されたほか、アフリカやアジアでも検出されているということです。

また、農薬の成分のHCHはアフリカ大陸から、およそ3000キロ離れた南大西洋の島で検出されたほか、人の生活圏から遠く離れた南極海近くの島でも比較的高い濃度で検出され、地球規模で汚染が広がっている実態が明らかになりました。

マイクロプラスチックはプランクトンや魚などが餌と間違うと、表面に付着した有害物質も体内に取り込んでしまうため、生態系や人への影響が懸念されています。

これまでの高田教授のグループの研究では、マイクロプラスチックに付着した有害物質は海水に溶け込んでいる有害物質と比べて10万倍から100万倍も濃縮されていることや、マイクロプラスチックを多く体内に取り込んだ海鳥は体の脂肪に含まれる有害物質の濃度も高くなっていることが明らかになっています。

高田教授は「マイクロプラスチックは軽くて浮きやすいため、国境を越えて遠く離れた場所まで流れていきやすく有害物質の運び屋になっている。20年後には世界の海を漂流するプラスチックの量が今の10倍に増えるという予測もあり、マイクロプラスチック汚染がさらに進めば、人への影響も懸念される」と指摘しています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:18:47  | カテゴリ:科学のニュース
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