2016年07月20日 (水)

福島第一原発の廃炉計画を一部修正 石棺の文言削除

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先週公表された東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた技術的な計画で、核燃料を取り出さずに建屋内で閉じ込める「石棺」と呼ばれる方法に初めて触れた国の専門機関は、福島県など地元の反発を受けて計画の一部を修正し、「石棺」の文言を削除しました。

今月13日、福島第一原発の廃炉に向けて、国の「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」は、事故で溶け落ちた核燃料を取り出すことがあくまで大前提としたうえで、核燃料を建屋内で閉じ込める「石棺」と呼ばれる方法に初めて触れ、この方法に選択の余地を残した技術的な計画を示しました。
ところが、これについて福島県など地元から容認できないとする声が相次いだことを受けて、林経済産業大臣は「石棺方式は考えていない」として、計画の修正を指示し、20日に修正版が公表されました。
それによりますと、「石棺」という文言とともに選択の余地を示す「今後明らかになる内部状況に応じて柔軟に見直しを図ることが適切である」などとしていた文章を削除し、修正版では「福島第一原発の廃炉では、このような取り組みは採用しない」などと改めています。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構の山名元理事長は会見で、「住民の皆さんの誤解や心配を招きやすい表現となっていた。核燃料を長期間放置することはないという当初から言っていた姿勢は変わらず、石棺ということばに意味はなかった」と説明しました。

計画の文言 修正前と修正後

東京電力福島第一原発の事故で、溶け落ちた核燃料の処理について、国の「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が、今月13日に示した技術的な計画では、「チェルノブイリ原発の事故でとられた通称“石棺方式”は、長期にわたる安全管理が困難だ」「今後明らかになる内部状況に応じて柔軟に見直しを図ることが適切である」などとしていました。
これに対し、20日示された修正版では、石棺の文言が削除され、「チェルノブイリ原発事故への取り組みから懸念されるように核燃料物質を、長期的に放置することは、長期にわたる安全管理が困難だ」「福島第一原発の廃炉では、このような取り組みは採用しない」などと改めています。

山名理事長「住民の気持ちに配慮して修正」

原子力損害賠償・廃炉等支援機構の山名元理事長は記者会見で、修正前の文書について、原文が完成した時点で事前に地元自治体に内容を伝えていたことを明らかにしたうえで、「福島県からは石棺という文言について『注意したほうがいいですね』という指摘があったが、抗議を受けたり修正を求められたりしているとは受け止めなかった」と説明しました。
さらに、福島県や地元議会の会派などから申し入れを受けて今回、内容を修正したことについて、「いたずらに住民の心配をかきたてる文言だったことは反省している。
ただ、外部から指摘を受けて技術的な魂を変えたわけではなく、当初から溶け落ちた燃料を取り出す技術的な方針は一貫している。
住民の気持ちへの配慮は技術者としてもあるべきで、修正という対応を取った」と話しました。

原子力損害賠償・廃炉等支援機構の技術委員会の委員長として、計画の策定の助言に当たってきた東京大学の近藤駿介名誉教授は、NHKの取材に対し、「溶け落ちた核燃料のさまざまな処理方法について、多様な意見に耳を傾けて検討し、技術者として『絶対』とか『100%』といったことばは使えないなかで、責任を持って取りまとめたつもりだったが、結果的に地元への十分な配慮が足りなかったことは大きな反省だ。計画を策定する委員会のメンバーに地元福島の方が入っていないことも残念なことだと感じている」と述べました。そのうえで、「今回の反省に立って、今後は地元と十分にコミュニケーションを取るとともに、地元を最優先におもんぱかりながら取り組んでいきたい」と話しています。

福島県知事「県民は疑心暗鬼」

福島県の内堀雅雄知事は「機構には、石棺という表現ぶりが福島県民に大きなショックを与えたことを肝に銘じ、県民が強く願っている福島第一原発からの燃料デブリの安全・確実な取り出しを進めてほしい」と述べました。そのうえで、「私自身、石棺方式については、今後も導入されることはないと受け止めているが、県民は疑心暗鬼にもなっており、国と当事者は、不安を与えた経緯を踏まえて廃炉を進めてほしい」と述べました。

南相馬市長「陳謝したものと捉えている」

福島県南相馬市の桜井勝延市長は「誤解を招いた表現を一部修正するのは当然で、機構が陳謝したものと捉えている。今後は、市民に不安を与える誤解を招くことのないようにしていただきたい」というコメントを出しました。

投稿者:かぶん |  投稿時間:18:26  | カテゴリ:科学のニュース
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