2016年07月27日 (水)

がん治療の副作用に対処 初の手引き書

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抗がん剤などのがん治療を受けると髪の毛が抜けたり、顔に発疹ができたりするなどがん患者は、がんそのものの闘病のほかに外見に関わる深刻な副作用とも闘わなければなりませんが、こうした副作用の治療法や日常的なケアのしかたをまとめた初の手引き書を国立がん研究センターの研究班が作成しました。

抗がん剤や放射線による治療を受けると、髪の毛が抜けたり、手や足が水ぶくれを起こしたり、爪が割れたりするなどがん患者は、外見に関わる深刻な副作用に悩むことが少なくありません。
しかし、こうした副作用については、命に関わるものではないため医師の側も対処法について十分、知識がないことも多く患者の側も間違ったケアをして症状を悪化させてしまう人がいました。
国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センターの野澤桂子センター長などの研究班は、がんの専門医だけでなく、化粧品などに詳しい研究者も集めて初めての手引き書を作成しました。
この中では、脱毛や手足の水ぶくれなど50項目の副作用への対処法について「強い科学的根拠があり行うことが強く勧められる」から「無効性あるいは害を示す科学的根拠があり、行わないよう勧められる」までA、B、C1a、C1b、C2、Dの6段階で評価しています。
例えば、抗がん剤治療の影響で顔にしみができたり黒ずんだりして悩む患者は多く予防のためとしてビタミンCが処方されることがあります。
しかし、今回の手引き書ではC2判定、「科学的根拠がなく勧められない」とされました。また放射線治療を受けると、肌が荒れて赤くなったりしますが、症状を悪化させるとして入浴の際、洗うのを避けるよう指導されることがありました。
しかし、実際には洗ったほうが皮膚のかゆみや赤みが軽くなるという研究報告があって、手引き書ではB判定、「科学的根拠があり勧められる」とされています。
また抗がん剤治療でおきる脱毛は多くの患者が悩む問題で、特定のシャンプーが推奨されたりしていますが、手引き書では、「市販のシャンプーを使ってがん患者だから重い副作用が起きたという報告はなく、特定のシャンプーを推奨したり否定したりする根拠はない」としたうえで治療前から使っていたシャンプーを使うことについて勧められるとC1a判定としました。
国立がん研究センターの野澤アピアランス支援センター長は、「医学や看護学、心理学などの専門家が集まって、初の統一の意見として出せたことは大きい。医療者が最低限の基準を示すことで、患者さんが外見のことで社会から切り離されたりしないようサポートしていきたい」と話しています。

神奈川県に住む、尾高倫子さん(48)です。
5年前に乳がんと診断され、8か月間、抗がん剤治療を受けました。
治療の影響で、髪の毛や眉毛がほとんど抜けたほか、手の爪も黒く変色し、凸凹になったといいます。
尾高さんは、「当時は子どもが幼稚園の年長で外に出ることも多かったので、私自身もショックでしたが子どもや家族もショックに感じ重い気持ちでした。送り迎えなどで人前に出ることも多く、相当気を使いましたし、家事をしていても落ち込みました。治療が終われば元に戻ると思っても、髪の毛や眉毛などはいちばん間近に見られるので、怖い気持ちが大きいと思います」と話していました。
尾高さんは、脱毛に備えてウィッグを購入した際に、抗がん剤治療を受ける患者に向けのヘアケアのしかたが細かく書かれたパンフレットをもらいました。
そこには、髪の毛のシャンプーは夜行い、朝は避けてくださいなどと書かれていましたがあとになって科学的な根拠がないと知ったといいます。
尾高さんは、「髪の毛がちゃんと生えてこないと困るし心配なので、こうしたパンフレットをもらったら、具合が悪くてもこのとおりに絶対にやらなければいけないと強く思います。何を信じていいのか分からなくなりました。インターネット上のブログなどを見て参考にしている人も多いと思います。口コミは影響力があって、病気のことなので、いいことなら取り入れたいって強く思うから、取り入れている人も多いと思う」としたうえで、手引書について、「医療機関で情報を得られることがいちばんの安心につながると思う。外見の副作用の悩みはなかなか医師に聞けない話ですが、いちばん大きな悩みでもあると思うから、医療者は手引き書をうまく活用してもらいたい」と期待を話していました。

投稿者:かぶん |  投稿時間:18:14  | カテゴリ:科学のニュース
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