2016年08月03日 (水)

運転制限の延長目指す美浜原発3号機 新規制基準の審査"合格"

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ことし運転開始から40年になる福井県にある美浜原子力発電所3号機について、原子力規制委員会は関西電力の安全対策が新しい規制基準の審査に事実上合格したことを示す審査書の案を取りまとめました。原則40年に制限された運転期間の延長に向けては、11月末の期限までに残る認可が得られるかが今後の焦点になります。

ことし12月で運転開始から40年になる美浜原発3号機について、関西電力は去年、原子力規制委員会に再稼働の前提となる新しい規制基準の審査とともに、運転期間をさらに20年延長するための認可を申請しました。
このうち3日の規制委員会では、新基準の審査に関西電力の安全対策が事実上、合格したことを示す審査書の案が示され、全会一致で取りまとめられました。
原発事故のあと導入された運転期間を原則40年に制限する制度のもと延長を目指す原発の審査書案が取りまとめられるのは、同じ福井県にある高浜原発1号機と2号機に次いで2か所目です。
規制委員会は4日から1か月、一般からの意見を募集し、その後、正式に審査書を決定することにしています。
最終的に運転期間の延長が認められるには、さらに、設備の耐震性など詳しい設計の審査と施設の劣化状況の審査を終える必要があり、それぞれの認可が11月末の期限までに得られるかが焦点になります。

合格しても再稼働は平成32年3月以降

美浜原発3号機では審査で見直した地震の想定に合わせた地震対策や総延長1000キロにも及ぶ古い電気ケーブルの防火対策がとられることになり、関西電力は、最終的に運転期間の延長が認められたとしても、追加工事などのため再稼働は平成32年3月以降になるとしています。
美浜原発3号機は、当初の申請では原発の北西にある長さ18キロの活断層などを震源として最大750ガルの揺れを想定していました。しかし、規制委員会は審査で震源を浅く設定することや複数の断層の連動を想定することを求め、関西電力は、これを受け入れる形で地震の揺れの想定を最大993ガルに引き上げました。これに伴い、関西電力は、耐震補強工事を行うとともに、原子炉の燃料を支える設備を交換したり、燃料プールの使用済み燃料を入れている「ラック」と呼ばれる設備を可動式のものに交換したりするとしています。
津波については、原発の北西150キロの日本海沖にある活断層と海底の地滑りによって3号機の取水口前で高さが最大4メートル20センチと想定しています。3号機のある場所が海抜3メートル50センチと低いため、最大で高さ6メートルの防潮堤を建設するなどの安全対策を行うとしています。
古い原発に特有の安全対策の工事も必要になります。運転開始が昭和54年より古い原発は内部の電気ケーブルが燃えにくい材質になっていないため、新しい規制基準で防火対策をとるよう求められています。昭和51年に運転を始めた美浜原発3号機も長さおよそ1000キロに及ぶ電気ケーブルの対策が課題になり、関西電力は、長時間、高圧の電流が流れるケーブルなど5割程度は新しいものに取り替え、残りは一定の基準を満たした防火シートで覆う対策を示し了承されました。
緊急時の対応拠点となる緊急時対策所については、3号機の北側に130メートル離れた場所におよそ100人を収容できる耐震構造の建物を建設し、その中に設けるとしています。
このほか、すでに審査に合格したほかの原発と同じように移動できる冷却設備や電源車、それに水素爆発を防ぐため水素と酸素を結合させる装置などを新たに設置することにしています。
関西電力は、こうした新たな追加工事におよそ1650億円かかり、工事と検査が平成32年3月ごろまでかかる計画のため、運転期間の延長の審査に合格したとしても、再稼働はそれ以降になるとしています。

残された必要な認可は2つ

関西電力が運転延長を目指す美浜原子力発電所3号機を巡っては、ことし11月末の期限までにすべての審査が終わるかどうか、見通せない状況が続き、原子力規制委員会は集中的な審査を行ってきました。
原則40年に制限された原発の運転期間を延長するには、安全対策が新しい規制基準に適合しているかをみる審査のほか、設備の詳しい設計や、劣化状況を確認する審査が必要で、美浜原発3号機の場合、これらの審査を経て、ことし11月末までにすべての許認可を得る必要があります。
最初に大きな論点になったのが、設備の耐震設計を決めるうえで重要な原発で想定される最大規模の地震の揺れ「基準地震動」の大きさでした。想定する地震の震源の深さを巡り、規制委員会と関西電力の主張が対立し、去年7月の時点で規制委員会の委員は「審査期限までの残りの期間を考えると翌月までに地震の想定を決められない場合審査に合格できないおそれがある」と指摘しました。規制委員会が震源をより浅く設定し、早急に見直すよう求めたのに対し関西電力は翌8月、これを受け入れる形で、基準地震動をそれまでの1.3倍の993ガルに引き上げました。
次に焦点になったのは、設備の耐震性の評価でした。関西電力が新しい耐震評価の手法を導入したり日本で使用実績のない別の設備を設ける方針を示したりしたため、規制委員会は「期限までに審査が終わるか分からない」という認識を繰り返し示しました。去年10月には関西電力の当時の社長と議論した重大事故対策担当の更田委員が「時間的に厳しい美浜原発にかなりの力を注ぐことになる」と発言し、美浜原発3号機の審査は同じく運転期間の延長を目指す高浜原発1号機と2号機とともに集中的に進められることになりました。その後、規制委員会の審査は、週に1回程度のペースで開かれ、関西電力も人員を2割余り増やして対応した結果、ことし4月に耐震性の評価は「妥当」とされました。
そして、3日、美浜原発3号機の安全対策が新しい規制基準に適合しているとされ、最終的に運転期間の延長が認められるために残された必要な認可は、設備の詳しい設計などが審査される「工事計画認可」と古い原発の設備の劣化状況が審査される「運転期間延長認可」の2つになりました。
これまでの原発の例では、安全対策が規制基準に適合しているとされてから、工事計画が認可されるまで、およそ半年かかっています。今後の審査について事務局の原子力規制庁は大きな論点は残っていないものの想定する必要がある地震の種類が多く機器の耐震評価の確認に時間がかかるため、「期限までにすべての審査が終わるかは今の時点で明言できない」としています。

関西電力「今後も審査に真摯に対応」

原子力規制委員会が、美浜原子力発電所3号機に関して新しい規制基準の審査に事実上合格したことを示す審査書の案を取りまとめたことについて、関西電力は「今後も引き続き、新規制基準への適合性にかかる審査に真摯(しんし)かつ迅速、的確に対応し、安全性が確認されたプラントについては、立地地域の皆様のご理解を賜りながら、早期の再稼働を目指したいと考えている」とコメントしています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:14:18  | カテゴリ:科学のニュース
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