2016年08月11日 (木)

川内原発再稼働1年 今も避難の課題解決せず

K10010631771_1608111818_1608111821_01_03.jpg

鹿児島県にある川内原子力発電所が、全国で初めて再稼働してから11日で1年となるのに合わせて、NHKが30キロ圏内にある自治体を対象に行ったアンケートで、多くの自治体が避難の際の道路の渋滞や高齢者の避難などについて大きな課題だと回答し、再稼働から1年たった今なお課題が解決していない現状が浮き彫りになりました。

川内原発の再稼働1年を前に、NHKは先月から今月初めにかけて川内原発から30キロ圏内にあり、国の指針で防災対策の重点区域とされている9つの市と町にアンケートを行いました。
この中で、自治体が策定している住民の避難計画について、大きな課題となっているものを複数回答で尋ねたところ、6つの市と町が「道路の渋滞等の混乱」と「高齢者など要援護者の避難支援」を挙げました。
このうち、5つの市と町は1年前の再稼働を前に行ったアンケートでも同じように回答していて、1年たった今なお、依然として事故が起きた際の避難の課題が解決していない現状が浮き彫りになりました。
現在の避難計画では、道路の渋滞などを防ぐため、原発の30キロ圏内に住む20万人余りが、原発からの距離に応じて段階的に避難することになっています。
これについて、きちんと避難が行われると思うか尋ねたところ、姶良市やさつま町など5つの自治体は「わからない」と答えたほか、日置市は「行われないと思う」と回答しました。阿久根市は回答せず、原発が立地する薩摩川内市は「行われると思う」と答えています。

医療機関は計画作成に難しさ

自力で避難できない高齢者や患者が入院する医療機関では、事前に避難計画を作成した方が利用者の安心につながる一方で、避難先の確保など、具体的にどのように計画を作成すればいいかわからないという声が上がっています。
川内原発から南東に14キロ離れた、いちき串木野市の「えんでん内科クリニック」では、19床のベッドに常に満床近い患者が入院していますが、ほとんどが自力では避難できない高齢者などです。
クリニックの看護師、吉留大輔さんは、10キロより遠い医療機関でも、事故に備えて事前に避難計画を作成しておいた方が利用者の安心につながると考え、おととし計画を作り始めましたが、途中で進まなくなり、完成していません。避難先の確保や職員の役割分担、患者の移動手段など具体的な計画をどう決めていけばいいか分からなかったからです。
吉留さんは「避難計画を作ることは防災意識を日頃から高めることにもつながる。ただ、計画の作成は今も手探りの状態なので、行政にはひな形の準備や、相談窓口の設置などをして支援してもらいたい」と話しています。

在宅患者は避難にめど立たず

一方、自宅で療養する在宅患者の中には、避難のめどすら立っていない人たちもいます。
いちき串木野市は、全域が原発の30キロ圏内に入っていますが、事故の際、在宅の患者を避難させるのに必要な福祉車両を1台も持っていません。
万が一の事故の際には必ず車両を提供するよう県に求めていますが、ほかにも必要な自治体があるため確約は得られていないということです。
いちき串木野市まちづくり防災課の瀬川大課長は、「市は福祉車両を持ち合わせていないので、どうしても県や国にお願いせざるをえない状況にある。今後、多くの車両を確保できるか、不安です」と話していました。
市内に住む永里ゆり子さん(67歳)は、6年前、脳出血を起こして左半身にマヒが残り、在宅で治療を続けています。思うように身動きがとれないことから、日中、デイサービスを受けるときは、介護事業所の職員が車いすのまま福祉車両に乗せて送り迎えしています。
原発事故の際は、自宅からおよそ70キロ離れた避難先まで長時間、車で移動しなければなりませんが、福祉車両が来てくれるのか、不安に感じています。
永里さんの娘の嘉代さんは、「弱者は見捨てられるんだなと、つくづく感じました。母をどうやって動かせばいいのか全く分からなくて、迷っている状況です」と話していました。

投稿者:かぶん |  投稿時間:18:21  | カテゴリ:科学のニュース
コメント(0) | トラックバック (0)


トラックバック

■この記事へのトラックバック一覧

※トラックバックはありません

コメント(0)

※コメントはありません

コメントの投稿

ページの一番上へ▲