2016年08月13日 (土)

愛媛 伊方原発3号機が臨界の状態に

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12日に再稼働した、愛媛県にある伊方原子力発電所3号機は、13日午前6時半、核分裂反応が連続する臨界の状態になりました。

伊方原発3号機は12日午前9時、原子炉の中の核分裂反応を抑える「制御棒」が引き抜かれ再稼働しました。
四国電力によりますと、32本の制御棒のうち、まず24本が引き抜かれ、残りの8本も途中まで引き抜いた状態にして、原子炉の冷却水に含まれる核分裂反応を抑える成分を調整する作業が続けられ、13日午前6時半、核分裂反応が連続する臨界の状態になりました。
四国電力によりますと、これまでのところトラブルは起きていないということで、工程が順調に進めば、15日には発電と送電を始めて、来月7日にも営業運転に入る計画です。
伊方原発3号機をめぐっては、先月、原子炉の冷却水を循環させるポンプで洗浄用の水が漏れ出すトラブルが起きて、再稼働が計画より半月ほど遅れました。
伊方原発3号機が稼働したのは、福島第一原発の事故の1か月後に定期検査に入って以来、5年4か月ぶりで、起動の操作も平成22年3月以来、6年5か月ぶりに行われました。
四国電力はこの間、経験のない運転員が加わり、ベテランも実際の起動操作は久しぶりのため、設備の状況などを慎重に確認しながら今後の操作を行うとしています。
新しい規制基準のもとで再稼働したのは、九州電力の川内原発と関西電力の高浜原発に次いで3か所目です。

地元では賛否の声

再稼働について、地元の愛媛県伊方町では賛否の声が聞かれました。
20代の女性は「小さい子どもがいて地震などの不安はありますが、原発の安全性に関しては信頼しているので、大丈夫だと思っています」と話していました。
50代の男性は「これまでも町の経済が潤ってきたので今後も期待したいですが、絶対に安全ということはないので、災害などの対策はしっかり取ってもらいたい」と話していました。
一方、70代の女性は「高校生の孫や子どもも町に住んでいるので、何かあったときのことを考えると、はっきり言って怖いです。再稼働についてはどちらかと言えば、反対です」と話していました。

屋内退避施設の確保に課題

伊方原発が立地する愛媛県伊方町では、住民が被ばくを避けるための「屋内退避施設」の半数以上が、地震や大雨で斜面が崩れたり、土石流が起きたりするおそれがある、「土砂災害警戒区域」に含まれていて、安全な避難先の確保が課題になっています。
愛媛県などの避難計画では、伊方原発で重大な事故が起きたとき、原発が立地する伊方町の住民1万人余りは、車や船を使って町の外に避難することになっています。
一方、地震で道路が寸断されたり、津波で港が使えなくなったりした場合は、被ばくを避けるため、県と町が指定した学校や集会所などのコンクリート造りの建物に屋内退避する計画です。
こうした「屋内退避施設」は伊方町内に68ありますが、このうち半数以上の36施設は、地震や大雨で斜面が崩れたり、土石流が起きたりするおそれがある「土砂災害警戒区域」に含まれています。
こうした施設では、地震や大雨で避難している人が土砂災害に巻き込まれたり、避難先として使えなくなったりするリスクが想定されます。
愛媛県や伊方町は、町内のほとんどが傾斜地のため、「土砂災害警戒区域」以外からコンクリート造りの公共施設を探すのは難しいとしていて、安全な避難先の確保が課題になっています。
これについて、災害時の避難に詳しい愛媛大学の二神透准教授は、民間も含めて退避先を考えるべきだと指摘したうえで、「地域で実際に避難できる建物を想定し、避難場所として使う事前協議をしていく必要がある」と話しています。

熊本地震受け 揺れ想定に不安の声も

伊方原発3号機は、熊本地震のあと、国内で初めて再稼働する原発です。
ことし4月に起きた熊本地震では、益城町で1580ガルという大きな揺れが観測されました。四国電力が、伊方原発3号機で想定している最も大きな揺れは650ガルで、原発周辺の住民からは不安の声も上がっています。

これについて四国電力は、伊方原発は固い岩盤の上に建設されていて、熊本地震で大きな揺れが観測された場所とは条件が違うため、現時点で地震の揺れの想定を見直す必要はないとしています。

一方で、国内のほかの原発では、熊本地震を受けて安全対策について再検討するよう求める動きも出ています。
去年再稼働した川内原発をめぐっては、地元、鹿児島県の三反園知事が、再点検のため一時停止することを九州電力に申し入れる意向を示しています。

また、福井県の大飯原発をめぐっては、原子力規制委員会の審査で地震想定を評価した元委員から、熊本地震のデータを踏まえると「一部の原発で揺れの想定が過小評価になっているおそれがある」という指摘が出され、原子力規制庁が再計算するなどの対応をとり、その後、「見直しの必要はない」という見解を示しました。
熊本地震をめぐっては、観測されたデータの分析や研究が専門家によって進められていて、原発の地震想定をめぐる議論にも影響する可能性があります。

審査でも地震が焦点 安全対策は

伊方原発3号機の再稼働の前提となる審査では、想定される最大の地震の揺れの強さ「基準地震動」が焦点となりました。

四国電力は当初、北側およそ8キロの距離にある中央構造線断層帯を震源とする地震によって、最大で570ガルの揺れを想定していましたが、審査では、断層の長さの評価などをめぐり、想定が甘いという指摘が相次ぎました。
このため、54キロとしていた断層の長さを、複数の断層が連動して動いた場合を想定して最大480キロに延ばしたうえで、不確かさがあることも考慮して、地震の揺れを計算し直し、基準地震動を650ガルまで引き上げました。

見直しに伴って、すでに完成していた事故対応の拠点となる「緊急時対策所」の耐震強度が不足したため、廃炉にすることを決めた1号機のすぐ東側に、新しい緊急時対策所を建設したほか、これまでに配管の大規模な補強工事も実施しました。

想定される最大の津波の高さも、当初の海抜4メートルからおよそ8メートルに引き上げ、ポンプがある海側の建物に「水密扉」と呼ばれる海水の侵入を防ぐ密閉性の高い扉を設置するなどの対策を取っています。

このほか、重大事故への備えとして、空冷式の非常用発電機を新たに配備したほか、原子炉や格納容器に注水するポンプや格納容器内の水素爆発を防ぐため、水素と酸素を反応させて水に変える装置なども設置しました。

四国電力は、こうした追加対策の工事におよそ1700億円かかるとしています。

また、先月、国の検査の中で行われた重大事故を想定した訓練では、防護服を着た作業員2人が熱中症になるトラブルがあり、四国電力は原子力規制庁の指示を受けて訓練の一部をやり直したうえ、今月8日には対応の習熟度を高めるため、自主的な訓練を行いました。

投稿者:かぶん |  投稿時間:06:47  | カテゴリ:科学のニュース
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