2016年08月24日 (水)

子どもの心臓の細胞で再生医療 岡山大などが治験始める

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重い心臓病の子どもから、心臓の筋肉の元になる特殊な細胞を取り出して培養し、体に戻して治療しようという再生医療について、岡山大学などの医療チームが健康保険の適用を目指して安全性などを確かめる治験を始めました。

この再生医療は、岡山大学病院の王英正教授などの医療チームが研究を進めています。
全身に血液を送り出す心臓の機能が弱い「機能的単心室症」という難病の子どもが対象で、本人の組織から心臓の筋肉の元になる「幹細胞」を取り出して培養し、再び心臓に戻して治療しようというものです。
医療チームは、これまでの研究で一定の安全性と効果が確認されたとして、健康保険の適用を目指した最終的な治験を始めました。
24日、岡山大学病院で生後10か月の女の赤ちゃんの心臓から、わずかな組織を取り出す手術が行われ、今後、1か月ほどをかけて、中に含まれる幹細胞を培養するということです。
病院によりますと、手術はおよそ3時間半で終わり、赤ちゃんの容体は安定しているということです。
治験は岡山大学のほか、神奈川県と静岡県の病院の3か所で合わせて39人の患者を対象に行われ、安全性と効果が確認されれば、通常1年ほどかかる審査期間が半年程度に短縮される厚生労働省の制度に基づいて審査が行われる見込みです。
心臓病の子どもを対象にした再生医療が実用化されれば世界で初めてで、医療チームは早ければ2年後の保険適用を目指したいとしています。

岡山大学病院 王教授「難病で苦しむ子どもに新たな治療法を」

24日手術を受けたのは、兵庫県西宮市に住む生後10か月の大庭あかりちゃんです。「機能的単心室症」の一種で、全身に血液を送り出す「左心室」が非常に小さい、「左心低形成症候群」と診断されました。
生まれてまもなく、肺に血液を送る「右心室」の力を借りて全身に血液を送るようにする手術を受けましたが、このまま成長すれば十分な機能を果たせなくなるおそれがあるということです。
手術を前に母親の大庭まどかさんは「心臓の機能が1%でも改善するならと、わらにもすがる思いで治験に参加しました。今の医療では助からない病気もあるので、同じような難病の子どもたちが助かる道ができればいいと思います」と話していました。

岡山大学病院の王英正教授は「健康保険が適用されれば、より多くの施設で、より多くの患者に対して、この治療を行うことができる。世界で初めてのこの技術を確立し、難病で苦しむ子どもに新たな治療法を提供したい」と話しています。

今回の治験とは

心臓病の子どもを対象にした新しい再生医療は、岡山大学病院の王英正教授などの医療チームが研究を進めています。対象となるのは、全身に血液を送り出す心臓の機能が弱い、「機能的単心室症」という難病の子どもです。
はじめに、通常の治療で行われる手術の際、患者本人の心臓からわずかな組織を採ります。そして、中に含まれる心臓の筋肉の元になる「幹細胞」という特殊な細胞を取り出し、名古屋市にあるベンチャー企業の施設で培養して増やします。それを、カテーテルという細い管を使って心臓を取り巻く冠動脈の中に入れ、心臓の機能を高めようというものです。
この病気の患者には、これまで血液の流れを改善する手術が行われていますが、完全に治すのは難しく、また日本では子どもが心臓移植を受けられる機会が少ないため、新たな治療法として期待されています。
医療チームはこれまで0歳から5歳までの延べ41人の子どもを対象に臨床研究を行い、幹細胞を体に戻したあと1年が過ぎると、血液を送り出す心臓の機能が平均で7%改善し、目立った副作用は見られなかったということです。
この研究は、世界に先駆けて新しい医薬品や医療機器の開発を進めるため、厚生労働省が設けた「先駆け審査指定制度」の対象に選ばれ、治験で安全性と効果が確認されれば、その後の国の審査は、通常、1年ほどかかる期間が半年程度に短縮される見込みです。
心臓病の再生医療は、大阪大学の医療チームが患者本人の足の細胞から作ったシートを移植して機能を回復させる方法が開発され、大人については一部、健康保険が適用されていますが、子どもを対象にした再生医療が実用化されれば、世界で初めてだということです。

投稿者:かぶん |  投稿時間:14:47  | カテゴリ:科学のニュース
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