2016年08月26日 (金)

サンゴの白化現象 沖縄周辺で広がり深刻化のおそれも

K10010654381_1608260043_1608260045_01_03.jpg

この夏、沖縄周辺の海域では海水温が平年より高い状態が続き、沖縄県の八重山諸島から鹿児島県の屋久島にかけての広い範囲で、サンゴが白くなり、死滅するおそれが高くなる「白化現象」が広がっていることが、国立環境研究所の調べで分かりました。国立環境研究所では、深刻な被害となった1998年に並ぶおそれがあると指摘しています。

国立環境研究所が各地の研究者やダイバーの協力を得て進めている調査によりますと、サンゴが白くなり、死滅するおそれが高くなる「白化現象」が、この夏は、沖縄県の石垣島や西表島、宮古島や沖縄本島のほか、鹿児島県の屋久島でも確認されているということです。これは、2001年や2007年に確認された「白化」の被害を上回り、深刻な被害となった1998年に並ぶおそれがあると指摘しています。

サンゴは、海水温が30度を上回る状態が2週間から1か月ほど続くと白化が起きやすくなりますが、ことしの沖縄周辺の海域は、6月後半から海水温が平年より2度ほど高くなって30度を上回るようになり、7月上旬に一度、下がったあとも8月下旬にかけて30度を上回る状態が続いています。

国立環境研究所では、ことしは、これまでに沖縄への台風の接近が少なく、海水面付近の温かい海水と深い場所の冷たい海水とが混ざることがなかったため、海水温の高い状態が続き、サンゴに影響が出ていると分析しています。サンゴの生態に詳しい国立環境研究所生物・生態系環境研究センターの山野博哉センター長は「ことしの白化は、深刻な被害となった1998年と規模が同じくらいで、海水温の高さも状況がよく似ている。1998年以降、サンゴが再生したのは一部にとどまっているとみられていて、今回の白化で追い打ちをかけることにならないか心配している」と指摘しています。

なぜ白化?

サンゴには、「褐虫藻(かっちゅうそう)」と呼ばれる茶色っぽい植物プランクトンが共生し、光合成を行ってサンゴに栄養を供給しています。しかし、海水温が上がり、30度を超える日が2週間から1か月ほど続くと、褐虫藻は光合成ができなくなり、サンゴから消えていきます。そのためサンゴが白く見えるようになり、これが「白化」と呼ばれています。海水温が高い状態がさらに2週間から1か月ほど続き、褐虫藻が戻らなければ、栄養を得られなくなったサンゴは死んでしまいます。

生態系への影響が懸念

サンゴの白化によって今後、懸念されるのが生態系への深刻な影響です。サンゴは生き物を育む「命のゆりかご」で、多くの魚介類にとって住みかとなるだけではなく、餌の供給源にもなっています。

国立環境研究所の山野博哉さんは「サンゴ礁は世界の海の面積の0.1%にすぎないものの、そこには、9万種類もの生き物が住み、海の生態系の基盤となっている。もしなくなれば、陸上で言うと森がなくなってしまうというようなもので、生態系への大きな影響が懸念される」と指摘しています。さらに、山野さんは「今、世界では気候変動の影響が懸念されているが、そうした影響が真っ先にあらわれているのがサンゴ礁だと思う。私たちは、今回のサンゴの白化を通して、地球全体が変わっていっているという認識を持つべきだと思っている」と指摘しています。

漁業への影響に不安も

サンゴの白化が進んでいることに、地元の漁業者の間では不安が広がっています。

石垣島で漁業を営んで20年になる屋良部立さんは、サンゴ礁の周辺に生息する高級魚を釣って、沖縄本島や地元の市場に卸していますが、ことしの夏は不漁が続き、例年の半分ほどしか釣れないといいます。屋良部さんは「白化したサンゴの周辺では、魚が減っていると感じます。不漁が続けば、死活問題になると不安でいっぱいですが、自然の変化にはどうすることもできません」と話しています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:00:46  | カテゴリ:科学のニュース
コメント(0) | トラックバック (0)


トラックバック

■この記事へのトラックバック一覧

※トラックバックはありません

コメント(0)

※コメントはありません

コメントの投稿

ページの一番上へ▲