2016年09月22日 (木)

政府「もんじゅ」地元に丁寧に理解求める

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政府は、高速増殖炉「もんじゅ」について廃炉を含め抜本的な見直しを行うことを確認しました。これに対し、もんじゅが立地する福井県などは「無責任極まりない」などと強く反発していて、政府は年内の方針決定に向けて丁寧に理解を求めていくことにしています。

政府は21日、総理大臣官邸で、菅官房長官、松野文部科学大臣、世耕経済産業大臣ら関係閣僚が出席して原子力関係閣僚会議を開き、安全管理上の問題が相次いだ福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」について廃炉を含め抜本的な見直しを行い年内に結論を出す方針を確認しました。
また、核燃料サイクル政策を推進するとともに、高速炉の研究開発に取り組む方針を堅持するとしたうえで、今後の高速炉の開発について新たに設置する高速炉開発会議で方針を策定することを決めました。

これを受けて政府は、今後、地元自治体や関係機関などと調整を進めることになり、松野文部科学大臣は21日夜、もんじゅが立地する福井県を訪れて西川一誠知事と会談しましたが、西川知事は「政府の無責任極まりない対応であり、県民としては不信を抱いている」と強く反発しました。

政府は、福島第一原発の事故のあと新規制基準が策定され、日本とフランスの間で高速炉に関する協力が開始されるなど、高速炉開発を取り巻く環境に大きな変化があったとしていて、政府関係者は21日夜、「費用対効果の観点からこのまま存続させるのは説明がつかない」と述べています。
ただ、1兆円を超える事業費を投じてきた巨大事業の抜本的な見直しは、地元への影響も少なくないことから、政府は福井県などに対し、今後もんじゅの扱いや、高速炉開発の方向性などについて説明を重ねる考えで、年内の方針決定に向けて丁寧に理解を求めていくことにしています。

政府が高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を含め抜本的な見直しを行う方針を確認したことについて、原子力の専門家の間でも「廃炉はやむを得ない」という意見や「廃炉にせず開発を進めるべきだ」という意見があり、賛否が分かれています。

国の原子力委員会の元委員で長崎大学の鈴木達治郎教授は、「廃炉はしかたない。20年間運転していない原子炉を動かすだけでもかなりのリスクを伴う。原発事故以降、日本の原子力政策の優先順位は福島第一原発の廃炉などが先で核燃料サイクルの優先度は低くなっている。もんじゅのミッションはすでに終わっていると言っていい」と述べました。
そのうえで、政府が、核燃料サイクル政策は堅持し、高速炉の開発を推進する方針を示していることについては、「もんじゅを廃炉にすれば、その後の開発は進まず、核燃料サイクルの実用化の見通しはなくなる。なんのために高速炉の研究開発が必要なのかを改めて議論し、原子力政策全体の見直しが必要だ」と話しました。

一方、日本原子力学会の会長で、東京大学の上坂充教授は「50年後や100年後の日本のエネルギーを見据えると高速増殖炉という選択肢は保持すべきで、もんじゅを動かしながら開発を進めることが若い世代へ高速増殖炉の技術を伝承し、実用炉を実現することにつながる」と述べ、廃炉に否定的な考えを示しました。
そのうえで、「原子力の科学者や技術者、それに住民など多くの関係者を含めた総合的な議論が不十分なまま、政治的決定が行われているように感じられ、強い懸念を覚える」と話しています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:04:25  | カテゴリ:科学のニュース
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