2016年10月06日 (木)

温暖化防止のパリ協定「来月4日に発効」 国連が発表

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地球温暖化対策を進める国際的な枠組み「パリ協定」について、国連は5日、締約国の温室効果ガスの排出量が世界全体の55%を超え、発効の要件が整ったとして、来月4日に協定が発効すると発表しました。

地球温暖化対策を進める国際的な枠組みである「パリ協定」は、締約国が55か国以上になり、その国々の温室効果ガスの排出量が世界全体の55%以上に達すると、30日後に発効することになっています。

国連は5日、フランスやドイツなどヨーロッパ7か国が当初の予定を前倒しして締結したことに加え、カナダやネパールなどが相次いで締結したことで、締約国は合わせて74か国となり、排出量の合計が全体の58.82%に達したと発表しました。これによって協定は発効の要件がすべて整い、30日後の来月4日に発効することになりました。
国連のパン・ギムン(潘基文)事務総長は声明の中で、「協定を早期に発効させようとした国際社会の力強い支持と結束の証だ」として、各国の速やかな締結が早期の発効につながったと歓迎しました。

パリ協定をめぐっては、先月、温室効果ガスの2大排出国のアメリカと中国が締結に踏み切ったあと、温暖化対策を主導してきたEU各国なども締結を急いだ経緯があります。その結果、協定は来月上旬にモロッコで開かれる国連の地球温暖化対策の会議を前に発効することになり、これに合わせて締約国による第1回の会合も開かれる見通しです。

パリ協定の発効とは

「パリ協定」は、京都議定書以来、18年ぶりとなる地球温暖化対策の国際的な枠組みです。
先進国だけに温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書と異なり、発展途上国を含む世界の190か国以上が削減に努めることを定めたうえ、今世紀後半には世界全体の排出量を実質的にゼロにする目標を掲げています。

発効することで法的な拘束力を持ち、協定を締結した国は温室効果ガスの削減目標を5年ごとに国連に提出し、目標を達成するための対策をとることが義務づけられます。
ただし、各国の取り組みをどう評価するのかや、目標の達成状況をどう検証するのか、それに、発展途上国に対する先進国の資金支援をどのように進めるのかなど、協定を具体的な行動に移す際の詳しいルール作りはこれからです。

この詳しいルール作りに向けた議論は、来月、モロッコのマラケシュで開かれるCOP22で進められる予定で、期間中に初めての締約国会議が開かれる見通しです。

早期発効の背景は

平成9年に採択された京都議定書は、アメリカの離脱などで発効までに7年余りかかったのに対し、パリ協定はわずか1年足らずで発効することになりました。背景には、地球温暖化に対する各国の危機感の高まりがあります。

地球温暖化対策をめぐっては、地球規模で巨大な台風や干ばつなどの温暖化が原因と見られる自然災害や異常気象が相次いでいることや、それに伴う食糧不足や貧困がテロや難民の発生など世界の不安定化につながっているという認識が広がり、去年開かれたCOP21では、先進国と発展途上国が協調して温暖化対策に取り組むことを確認するなど、気運が高まっていました。

さらに、先月初めに、温室効果ガスの世界最大の排出国の中国と第2位のアメリカがそろって締結を発表したことで、EUをはじめ各国の締結の動きが加速しました。
また、世界の投資家が環境に配慮した企業やクリーンエネルギーの技術開発に取り組む企業などに積極的に投資していく方針を発表するなど、低炭素社会を目指す動きをビジネスチャンスと捉える経済界の動向も早期発効を後押ししたと見られます。

オバマ大統領「歴史的な日」

中国とともにいち早く協定を締結したアメリカのオバマ大統領は5日、ホワイトハウスで声明を発表し、「地球を守るための闘いにおいて歴史的な日だ。われわれがパリ協定の約束に従って行動すれば、地球にとっての転換点と評価されるだろう」と述べました。
そのうえで「パリ協定だけで気候変動の危機は解決できないが、最悪の事態を遅らせるか避けるために役立つだろう。これはわれわれの最も重要な任務だ」と述べ、各国に地球温暖化対策での協力を呼びかけました。
また、「私が大統領選挙に立候補した理由の1つは、この任務においてアメリカをリーダーにすることだった。8年かかって今それを成し遂げた」とも述べ、任期中に温暖化対策での実績を残したと強調しました。

日本は締結手続き 大幅遅れ

「パリ協定」は、来月4日に発効することになりましたが、日本は、ほかの温室効果ガスの主要排出国に比べて締結の手続きが大幅に遅れています。

日本は、温室効果ガスの排出量が世界5位で、主要排出国として位置づけられ、平成9年には地球温暖化対策の国際的な枠組み、「京都議定書」の採択を議長国として主導するなど、温暖化対策に取り組んできました。
しかし、今回のパリ協定をめぐって日本政府は、締結の国会承認を求める議案を来週11日にも閣議決定して国会に提出し、早期の承認を目指す方針ですが、ほかの主要排出国に比べて締結の手続きが大幅に遅れる状況となっています。
協定の発効を受けて、来月7日からモロッコのマラケシュで行われる国連の会議COP22では、締約国による会合が開かれる見通しですが、日本は締約国として参加できない可能性が高くなっています。

山本環境大臣は、4日の記者会見で「EUが予想以上に早いスピードで態度を決めてきたので、わが国としても急いでやらないといけないという思いを強くしている」と述べ、今の臨時国会で議案が早期に決議されるよう努力する考えを示しています。

官房長官「締結遅れ 大きな影響なし」

菅官房長官は午前の記者会見で、「パリ協定が発効要件を満たし、早期発効をする見通しがついたことは歓迎したい。政府としても、準備、調整が整いしだい、協定議案を今国会に提出し、1日も早い締結に向け、全力を尽くしていきたい」と述べました。
また、菅官房長官は、国内手続きの遅れで、協定発効後に行われる締約国会合に日本が参加できない可能性が高くなっていることについて、「協定の指針策定に関する交渉は、わが国も含むすべての国の参加で行われており、発効後も引き続きこの場で行われることが検討されている」と述べたうえで、会合に参加できなくても大きな影響はないという認識を示しました。

専門家「交渉力低下は避けて」

日本の「パリ協定」の締結がほかの温室効果ガスの主要排出国に比べて大幅に遅れていることについて、環境NGOや専門家からは、各国の削減目標の達成状況をどう検証するのかや、発展途上国に対する先進国の資金支援をどのように進めるのかといった協定のルール作りの際に日本の主張がとおりにくくなり、国際交渉の場での発言力の低下を懸念する声が出ています。

このうち、地球温暖化対策の国際交渉に詳しい環境NGO「WWFジャパン」の小西雅子さんは、「協定のルールを自国の産業に使いやすいものにするには、ルール作りに参加して言い分を聞いてもらうことが国際交渉では大事になる。しかし、そのルール作りを話しあうCOP22での会合に正式に参加できるのは協定に締結した国だけになり、日本は、オブザーバー参加という形になることも考えられる」と話しています。
そのうえで「日本の技術を生かせるような協定にしていくことが国益にもかなうことだと思うので、交渉力の低下は避けてほしい」と述べ、日本政府に対し協定を早期に締結するよう求めています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:10:40  | カテゴリ:科学のニュース
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