2016年10月14日 (金)

熊本地震 「全壊」の70%近くが活断層沿いに集中

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一連の熊本地震で震度7の揺れを観測した益城町と西原村の被害について、NHKがり災証明書のデータを分析した結果、「全壊」と認定された建物の70%近くが活断層に沿った500メートルの範囲に帯状に集中していることがわかりました。専門家は、活断層のリスクが改めて浮き彫りになったとして、リスクを踏まえて公共施設などの建設を検討すべきだと指摘しています。

熊本地震では、内陸の活断層帯が大きくずれ動き、県内の17万棟を超える住宅に被害が出ました。このうち震度7の揺れを観測した益城町と西原村の2万件余りのり災証明書のデータを基に、NHKは、日本活断層学会の専門家とともに、建物の被害と活断層との関連を分析しました。

その結果、「全壊」と認定された建物のうち66%余りに当たるおよそ3500棟が、学会の専門家のグループが確認した活断層に沿った500メートルの範囲に帯状に集中していることがわかりました。

「全壊」の建物は、活断層から離れるほど少なくなり、益城町では活断層から1キロの範囲に79%余りが集中し、1キロを超えた場所での「全壊」は全体のおよそ20%で、被害の程度に大きな差が出ています。

日本活断層学会に所属する名古屋大学の鈴木康弘教授は、今回のデータについて、「活断層沿いの被害が非常に大きく、断層から1キロも離れると大幅に被害が軽減していて、断層に近いことが被害を大きくする要因になっている」として、活断層のリスクが改めて浮き彫りになったと分析しています。
そのうえで「活断層の近くに住むか、住まないかは個人の判断が重視されるが、少なくとも、学校や病院など不特定多数の人が集まる建物は断層から離すことが重要だ。まずは、そこから始めて、それ以外の建物はどうしたらいいか、順番に考えることが重要だと思う」として、活断層のリスクを踏まえて公共施設などの建設を検討すべきだと指摘しています。

自宅全壊の男性「どこに住んだらいいか不安」

益城町宮園地区の笠井慶一さん(66)は4月16日、自宅の外で2回目の震度7の地震に遭い、前後左右に1メートルほど引っ張られるような激しい揺れを感じました。この地震で、笠井さんの自宅は1階がつぶれ、町から「全壊」のり災証明書を交付されました。

NHKが調べたところ、笠井さんの自宅から半径100メートルにあるおよそ70棟の建物のうち、50棟余りが全壊と認定されました。自宅からおよそ80メートルのところには活断層があり、専門家は、活断層によって被害が大きくなったのではないかとみています。

笠井さんは父親から断層があることは聞いていましたが、これほど大きな地震がくるとは思っていなかったということです。自宅は先月から解体が始まり、いまは仮設住宅に暮らしていますが、今後、住み慣れた元の場所に住宅を建て直すかどうか決められないままでいます。笠井さんは、「活断層については、よそのことのような感じで見ていた。家を建てても、今回のような大きい地震がきたら、また壊れる可能性がある。みんなどこに住んだらいいか不安がっている」と話しています。

活断層リスク踏まえ 施設を移転する例も

熊本地震のあと、全国で活断層のリスクを踏まえた対策が進んでいます。

このうち、主要な活断層帯が4つある山形県は、ことし4月、今後は活断層の上に県の施設を建てない方針を決めました。また、活断層から50メートル以内にある学校や警察署など6つの施設の全体、または一部を今後、別の場所に移す方針を示しています。

一方、山形市も活断層のリスクを踏まえて、急きょ公共施設の移転計画を見直しました。市内の西山形地区にあるコミュニティセンターは、老朽化に伴って3年後に別の場所に移す計画でした。しかし、熊本地震のあと、専門家と調査した結果、移転予定地からおよそ70メートルの所に活断層があることがわかったため、市は計画の見直しを決め、今月3日住民に説明しました。

住民側は、新たに明らかになった活断層のリスクに戸惑いながらも、安全を最優先するとして、計画の見直しに理解を示しました。
住民の代表でつくる「西山形コミュニティセンター建設促進委員会」の安達孝藏委員長は、「熊本地震の際、活断層の上では、耐震構造の建物も被害を受けたので、安全を優先する市の方針はやむをえない。新しい施設は避難所として使われ、地域の子どもたちも遊ぶ建物にもなるので、安全安心を優先したい」と話しています。

山形市は、新たな移転予定地を検討していますが、活断層から離れた場所を探すのが難しく、移転は当初の予定より遅れる見通しだということです。山形市の鴨田尚史総務部次長は、「ゼロからの見直しで全く白紙の状態だが、できるだけ早く用地を見つけられるよう進めていきたい」と話しています。

復興計画の策定でもリスク考慮へ

益城町は、ことし中に復興計画を策定する方針で、活断層上の土地の利用については、現在国が進めている活断層の調査の結果を踏まえて検討したいとしています。
益城町復興課の中桐智昭課長は、「住民のアンケート調査でも、宅地の断層がどうなっていて、住むことができるのかが大きな課題として挙がっているので、国の調査結果が出た時点で住民に公表するとともに、今後の復興計画にも反映させていかなければならないと思っている」と話しています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:19:26  | カテゴリ:科学のニュース
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