2016年10月30日 (日)

大西さん 国際宇宙ステーションから地球に無事帰還

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国際宇宙ステーションにおよそ4か月間滞在した日本人宇宙飛行士の大西卓哉さんは、日本時間の30日午後1時ごろ、ロシアの宇宙船「ソユーズ」で中央アジア・カザフスタンの平原に着陸し、無事、地球に帰還しました。

元全日空のパイロットで日本人11人目の宇宙飛行士、大西卓哉さんは、ことし7月から国際宇宙ステーションに滞在し、さまざまな科学実験に取り組んだほか、今月23日にはアメリカの宇宙輸送船「シグナス」をロボットアームでキャッチするなど重要な任務を果たしました。

大西さんは、地球に帰還するため、日本時間の30日朝、アメリカとロシアの2人の宇宙飛行士とともにロシアの宇宙船「ソユーズ」に乗り込み、午前6時20分ごろ扉が閉められました。
そして、午前9時35分、高度400キロ付近を飛行している国際宇宙ステーションから離れました。
「ソユーズ」は、午後0時6分ごろ、エンジンを逆噴射してスピードを落とし、午後0時33分ごろ、高度140キロ付近で3つの部屋のうち前後の2つの部屋を切り離して地球の大気圏に突入しました。

「ソユーズ」は、大気に高速でぶつかることで、およそ2000度の高温にさらされ、それに耐えたあと、高度およそ10キロ付近でパラシュートを開き、日本時間の午後0時58分、中央アジア・カザフスタンの平原に着陸しました。

大西さんは、着陸のおよそ20分後、現地に駆けつけた担当者によってソユーズのカプセルから運び出され、やや疲れた表情ながら、周りの人たちに手をふり、笑顔を見せていました。そして、準備されたいすに座り、同僚の宇宙飛行士の油井亀美也さんらにいすごと抱えられて、現地に設けられたテントに移動し医学検査を受けていました。

JAXA=宇宙航空研究開発機構によりますと、大西さんの健康状態は良好だということです。

大西さんは、日本時間の30日夕方には、カザフスタンの空港からNASAの専用機で出発し、31日の午後には、アメリカ・テキサス州のジョンソン宇宙センターに到着する予定です。

大西さんは、ジョンソン宇宙センターで、地球の重力になれるためのリハビリを45日間、行うことになっています。

JAXAによりますと、大西さんは、リハビリが順調に進めば年内にも日本への帰国が可能になるということで、具体的な帰国の日程はこれから検討するということです。

大西さん「充実した時間過ごすことできた」

大西宇宙飛行士は、ソユーズから運び出されたあと報道陣の問いかけに、「地球は空気がおいしいです。4か月の長期滞在で充実した時間を過ごすことができました。いろいろな実験を行うことができたので、成果を日本に帰って直接、報告したいです。応援、ありがとうございました。元気に帰ってきました」と述べました。
また、地球に帰ってきてまず何を食べたいかを聞かれ、大西宇宙飛行士は「ラーメンが食べたいです」と笑顔で話していました。

金井さん「臨床医の経験をもとに成果挙げたい」

大西さんの次に、日本人12人目の宇宙飛行士として来年11月ごろから国際宇宙ステーションに長期滞在することになっている金井宣茂さんは、大西さんが無事に地球に帰還したことを受けてコメントを出しました。
この中で、金井さんは「今回のミッションでは、ソユーズ宇宙船やロボットアームの操作など、旅客機のパイロットとしての経験がキラリと光るような活躍がとても印象的でした」と大西さんの活躍をたたえたうえで、「次の私のミッションでは、自分の臨床医としての経験をもとにしっかりとした成果を挙げたいです」と、みずからの宇宙飛行に向けて決意を表しました。

同級生「重要な任務果たし 誇らしく思う」

中学、高校時代に大西さんとクラスや部活動が同じだった大内純さんは「笑顔を見ることができてほっとしました。重要な任務を果たしてきた同級生を誇らしく思います。以前、友人が国際宇宙ステーションと交信した際に『帰ってきたら仲間内でラーメンを食べに行こう』と約束していたので、彼が帰国したら、その約束を果たしたいと思います」と話していました。

また、中学、高校時代に大西さんと同じ学年だった加賀美博之さんは「ちょっと疲れている様子でしたが、安どしたような表情を見ることができてよかったです。このあと『お疲れさま』とメールを送ろうと思います」と話していました。

JAXAの管制官「大西さんは準備の鬼」

国際宇宙ステーションで科学実験に取り組む大西さんを地上側で支えたJAXAの管制官は、大西さんの仕事ぶりについて、「予習と復習を徹底する『準備の鬼』で、早くて丁寧な仕事に最後には管制室から拍手が起きるほどだった」と話しています。

JAXAの筑波宇宙センターで管制官を務める中野優理香フライトディレクタは、毎日のスケジュールの調整や、科学実験の手順や注意点の確認など、大西さんの地上側のパートナーとして今回の任務を支えてきました。

中野さんによりますと、大西さんは、物事を進める前には事前の準備を徹底し、それぞれの実験に臨む1週間ほど前から手順書などを読み込んで、一つ一つの作業の内容を丁寧に確認していたということです。

中野さんは「科学実験は決められた時間の中で行わなければならず、いかに効率的に実験を行うかが宇宙飛行士に求められているが、大西さんは、予習と復習を徹底する『準備の鬼』で、実際の作業では想定よりも早く終わることが多かった」と話しています。

また、中野さんによりますと、大西さんはどんなささいな失敗でもそれを地上側と共有し、ミスを再び繰り返すことがないようにしていたということです。

これについて、中野さんは「失敗の共有は、旅客機のパイロット時代に身についた習慣だということで、本人が話さなかったら地上側では把握できないことを大西さんはすべて話してくれた。その結果、解決方法を一緒に考えることができ、ミスを繰り返すことはなかった」と話しています。

さらに、大西さんは、実験などの手順書についても実際にやってみた経験から、やりやすさや、やりにくさを随時、地上側に報告し、翌日には手順書の内容を改めるなどして、作業の時間が半分近くになったケースもあったということです。

中野さんは「最後には管制室から拍手が起きるほどだった。大西さんが勝手に作業を進めずに必ず地上に聞いてくれたので、そういうところでもお互いにミスを防ぐことができた。密なコミュニケーションが今回の任務の成功につながっていると思う」と話しています。

専門家「日本の存在感低下のおそれも」

国際宇宙ステーションでの今回の大西さんの任務は成功しましたが、中国の進出が進む中、宇宙開発の分野での日本の存在感は、今後、低下するおそれがあると専門家は指摘しています。

日本が参加している国際宇宙ステーションの運用は8年後の2024年までの見通しとなっている一方、中国は、その2年前となる2022年ごろの完成を目指して独自の宇宙ステーションの建設を進めようとしています。

こうした状況について、各国の宇宙政策に詳しい政策研究大学院大学副学長の角南篤教授は「中国は着実に宇宙大国の道を歩み、すでに仲間入りを果たしている。中国が宇宙開発で存在感を増している中で、日本の地位が、今後、相対的に低下していくのは避けられない」と指摘しています。

そのうえで、角南教授は今後の日本の課題として、「宇宙分野で、世界にはない日本独自の技術をこれまで以上に生み出すことができるような仕組み作りを強化していくとともに、生み出した技術を基に各国との協力関係を構築することで、日本らしい存在感を示していくことが重要だ」と指摘しています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:18:05  | カテゴリ:科学のニュース
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