2016年11月04日 (金)

温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」が発効

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地球温暖化対策を進める国際的な枠組み「パリ協定」が発効し、発展途上国を含むすべての国がそれぞれ目標を立てて温室効果ガスの削減に取り組むこの枠組みに、どれだけ実効性をもたせることができるのか、今後、各国の姿勢が問われることになります。

「パリ協定」は、去年、世界190以上の国と地域が参加してフランスで開かれた国連の会議、COP21で採択された、温室効果ガスの削減に取り組む新しい国際的な枠組みです。
協定では、締約国が55か国以上になり、その国々の温室効果ガスの排出量が世界全体の55%以上に達すると、30日後に発効すると定めていますが、先月5日にこの2つの条件が満たされ、日本政府によりますと、国連があるニューヨークの時間の4日午前0時(日本時間4日午後1時)、協定が発効しました。

協定は、世界全体の温室効果ガスの排出量をできるだけ早く減少に転じさせ、今世紀後半には実質的にゼロにすることを目指していて、各国が5年ごとに削減目標を提出し、対策を進めることが義務づけられています。
先進国だけに削減義務を課した以前の京都議定書とは違い、パリ協定は発展途上国を含むすべての国が参加しますが、各国がそれぞれみずから目標を設定して取り組むことから、地球温暖化を抑えるうえでどれだけ実効性をもたせることができるのか、今後、各国の姿勢が問われることになります。

今月7日からは北アフリカのモロッコでCOP22が開かれ、各国の削減目標をどのように検証し、確実な削減につなげるのかなど、具体的なルール作りを話し合うことになっています。
会議に合わせて、パリ協定の締約国による第1回の会合も開かれる予定ですが、日本は、協定の締結が遅れたため、今回はオブザーバーとしての参加となります。

主な排出国の削減目標は

「パリ協定」を締結した国は、協定の目的を達成するため、それぞれが「自国が決定する貢献」として、2020年までに自主的に削減目標を国連に提出して、その後も5年ごとに見直します。

これまでに提出されている主な排出国の削減目標の内訳を見ますと、世界最大の温室効果ガスの排出国である中国は、2030年までにGDP=国内総生産当たりの二酸化炭素の排出量を、2005年に比べて60%から65%削減する目標を掲げています。また、二酸化炭素の排出量の総量を2030年ごろまでにできるだけ早く減少に転じさせるよう最大限の努力をするとしています。

また、世界第2の排出国であるアメリカは、2025年までに二酸化炭素やメタンガスなどの温室効果ガスの排出量を、2005年に比べて26%から28%削減する目標を掲げています。

世界第3位の排出国であるインドは、2030年までにGDP=国内総生産当たりの温室効果ガスの排出量を、2005年時点に比べて33%から35%削減する目標を掲げています。

EU=ヨーロッパ連合は、2030年までに二酸化炭素やメタンガスなどの温室効果ガスの排出量を、1990年時点に比べて40%削減する野心的な目標を掲げています。

締結遅れで日本の発言力低下を懸念

パリ協定が発効したことで、今月7日から始まる地球温暖化対策の国際会議、COP22では、期間中、初めての締約国による会合が行われます。しかし、日本は協定の締結が遅れているため締約国として参加できず、専門家などからは国際交渉の場での発言力の低下を懸念する声が出ています。

パリ協定の発効により、今回のCOP22では初めての締約国会合が開かれ、各国の取り組みや目標の達成状況をどう評価、検証するのかや、発展途上国に対する資金支援をどのように進めるのかといった、具体的なルール作りやスケジュールについて話し合うことになっています。
しかし日本は、国連の示した締め切りに締結が間に合わなかったため、COP22の期間中の今月15日に行われる初めての締約国会合には締約国としては参加できず、会合の決定に異議の申し立てができないオブザーバーとしての参加になります。
これについて政府は「国際交渉に実質的な影響はない」としていますが、専門家や環境NGOなどからは、温室効果ガスの主要排出国である中国やアメリカ、それにEUの各国が早期に協定に締結したことで、会合の議論をリードすることが見込まれるとして、日本の発言力の低下を懸念する声が出ています。

地球温暖化対策の国際交渉に詳しい環境NGO「WWFジャパン」の山岸尚之さんは、「中国やインド、それにEUも、国内ではほかにもさまざまな問題が山積みになっている中、あえて地球温暖化対策を優先課題と捉えて、締結を早めた。それだけ温暖化対策が重要だという意識が国際社会の中で共有されていたと思う」と話しています。
その中で日本については、「残念ながら温暖化対策の優先度はとても低く、出遅れ感は否めない。早期に協定を発効させるためにさまざまな努力をしてきた国と比べると、日本は、今後の国際交渉で発言に重みがなくなってしまったり、それほどパリ協定を重視していないのではないかと思われたりする事態も考えられる」と述べ、COP22などの国際交渉の場で日本の交渉力が低下するのではないかと懸念を示しています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:13:00  | カテゴリ:科学のニュース
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