2016年11月07日 (月)

COP22きょう開幕 パリ協定のルール作り進むか

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地球温暖化対策を話し合う国連の会議、COP22が日本時間の7日、北アフリカのモロッコで開幕します。発展途上国を含むすべての国が温暖化対策に取り組むことを定めたパリ協定が直前に発効し、気運が高まる中、協定に実効性を持たせるための詳しいルール作りがどれだけ進むかが焦点となります。

COP22は、世界の190を超える国と地域が参加し、日本時間7日午後7時からモロッコのマラケシュで始まります。去年採択された途上国を含むすべての国が温室効果ガスの削減に取り組むことを定めたパリ協定が直前の今月4日に発効し、気運が高まる中で開かれ、協定に実効性を持たせるための詳しいルール作りがどれだけ進むかが焦点になります。

具体的には、各国が5年ごとに国連に提出する削減目標をどう評価し検証するかや、発展途上国への資金支援の在り方などのルールのほか、こうしたルール作りをいつまでに終えるかなど今後のスケジュールについても話し合われる予定です。このほか、世界各地で相次ぐ異常気象について各国の現状や対策を紹介するイベントや、世界の経済界のトップが集まり、温暖化によるリスクと対応などを話し合う会合なども行われる予定です。

会議は、今月18日までの予定で、15日にはパリ協定の締約国による初めての会合が開かれます。協定の締結が遅れている日本は、この会合に締約国ではなく、決定に異議の申し立てができないオブザーバーとして参加することになり、交渉にどう臨むのか注目されます。

パリ協定に至る経緯

COPは、地球温暖化対策を話し合う国連の会議で、1992年に採択された気候変動枠組条約に基づいて毎年開かれ、条約を締結した190余りの国と地域が参加します。

1997年に京都で開かれたCOP3では、温室効果ガスの削減を先進国だけに義務づける京都議定書が採択され、2008年から2012年までの5年間で、先進国全体の排出量を1990年と比べて少なくとも5%削減するという目標が設定されました。削減目標は法的拘束力を持ち、EU=ヨーロッパ連合には8%、アメリカには7%、日本には6%が割り当てられ、達成できなかった場合の罰則も設けられました。

しかし、2001年に当時、世界最大の排出国だったアメリカが議定書から離脱したほか、2012年には当時、アメリカを抜いて世界最大の排出国になっていた中国など削減が義務づけられていない発展途上国の排出量が全体の6割を占めるまでになりました。

また、世界中で巨大な台風や干ばつといった異常気象が頻発したことや、海面の上昇により、国土が浸水してしまう島しょ国の危機感が高まったことなどから温暖化対策が不可欠だという認識が広がり、すべての国が削減に取り組む新しい枠組みが必要になりました。

こうした中、去年、フランスのパリで行われたCOP21で、2020年から途上国を含むすべての国が削減に取り組むことを定めた「パリ協定」が採択されました。「パリ協定」は今月4日、採択からわずか1年足らずの早さで発効し、今回のCOP22では、具体的なルール作りが行われます。

温暖化で深刻化する異常気象

ことしも世界各地で台風や干ばつなどの気象災害による被害が相次ぎました。日本では、ことし8月から9月にかけて、合わせて6つの台風が上陸し、このうち8月30日には台風10号が観測史上初めて東北地方の太平洋側に上陸し、豪雨による川の氾濫などで岩手県内で合わせて20人が死亡、3人が行方不明になるなど大きな被害が出ました。

また、カリブ海のハイチでは先月、大型ハリケーンが上陸し、500人以上が死亡したほか、この数年、アフリカでは、干ばつが続き、深刻な食糧難になるなど、世界各地で被害が出ています。各地の気象機関や専門家によりますと、地球温暖化が進むと、今後、こうした被害がさらに深刻化すると予想されていて、このうち気象庁によりますと、海面水温が上がり、大気中の水蒸気量が増加するため、台風やハリケーンなど熱帯低気圧の勢力がこれまでより強くなる可能性があるということです。

また、気象庁の気象研究所などが、地球温暖化が進行して今世紀末に産業革命前に比べて平均気温が4度上昇するという想定で行った分析では、6月から8月の世界の平均気温は北半球を中心に大きく上昇し、北米や中東、それにアジアでは、ところによって現在より6度から7度上昇する結果が出ました。日本の夏の最高気温は、関東で4度前後、西日本や北日本の内陸では4.5度から5度以上今より上昇し、関東の内陸で45度以上、東京や大阪、名古屋、それに仙台などでは42度を超える可能性があるとしています。

国連は、地球温暖化の影響による異常気象の被害は、紛争の激化や難民や移民の増加にもつながるとして早急な対策が必要だと指摘しています。

COP22 ルール作りの重要な場に

今回のCOP22について、地球温暖化対策に詳しい専門家は、各国が国連に提出する温室効果ガスの削減目標を5年ごとにどう引き上げるかなど、パリ協定に実効性を持たせるためのルール作りの重要な場になると指摘しています。

パリ協定は、協定に締結した発展途上国を含むすべての国に対し、国連に温室効果ガスの削減目標を5年ごとに提出するよう義務づけています。このうち日本を含む多くの国が、パリ協定が採択された去年のCOP21の前に2020年以降の削減目標を提出していますが、以前の京都議定書とは違い、各国がそれぞれみずから設定した目標です。

環境保護に取り組む国連の機関、UNEP=国連環境計画が発表した最新の試算では、すべての国が目標を達成したとしても、世界の平均気温は、今世紀末に産業革命前と比べて最大で3.4度上昇するとされ、「2度未満に抑える」というパリ協定が掲げる目標は達成できない見込みになっています。このためUNEPは、今後、5年ごとの提出に合わせて各国が削減目標をさらに引き上げる必要があるとしています。

これについて、温暖化対策の国際交渉が専門で名古屋大学大学院の※高村ゆかり教授は、「各国が5年で目標を引き上げたり、その目標に向かって誠実に対策を進めているかを互いに検証し合ったりする仕組みを具体化することが必要になる」と述べ、今回のCOP22は、削減目標をどう引き上げるかなど、パリ協定に実効性を持たせるためのルール作りの重要な場になると指摘しています。

ただ、途上国の中には、経済成長を遂げた先進国に地球温暖化対策を進めるより重い責任があるとして、検証の仕組みなどに差をつけるべきだと主張していて、先進国と発展途上国の間で議論の対立も予想されます。これについて、高村教授は「日本は伝統的に省エネの技術に強い国で、発展途上国の対策を支援することができる。国と国が互いの立場を超えてつながれるよう、橋をかける役割を日本が果たすことを期待したい」と話しています。

(※はしごだか)

投稿者:かぶん |  投稿時間:06:29  | カテゴリ:科学のニュース
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