2016年11月13日 (日)

北海道 泊原発で初の津波想定の防災訓練 政府も対応確認

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再稼働の前提となる国の審査を受けている北海道にある泊原子力発電所で、国の訓練としては初めて津波からの避難も想定した原子力総合防災訓練が始まりました。

訓練は震度6強の地震が発生し、泊原発で原子炉を冷やす機能が失われたうえ沿岸部に津波が押し寄せて原発周辺の道路が寸断されたという想定で行われました。

原発のある泊村では午前8時半ごろ村の防災行政無線で大津波警報の発表が伝えられ、住民たちが高台にある小学校まで歩いて避難する訓練を行いました。小学校に集まった住民たちは村の職員から原発でさらに事態が悪化するおそれがあるとして60キロ余り離れた札幌市内のホテルまでバスで広域避難する手順などの説明を受けていました。参加した37歳の男性は、「津波からは逃れられても原発からも離れなければならず、バスが避難所まで来てくれるのか津波で家族がバラバラにならないかなどいくつか不安も残ります」と話していました。

泊村に隣接する共和町では津波で流されたがれきで沿岸部の道路が通行できなくなったという想定でがれきを撤去する訓練が行われ、地元の建設業者ががれきに見立てた流木などを重機で撤去し、通行を再開させるまでの手順を確認しました。

訓練に参加した小樽建設協会の中野豊副会長は「実際に津波がきたらがれきの量はこの程度ですまないので、業者側でも素早く撤去できるよう訓練を重ねていきたい」と話していました。

原発の敷地内でも北海道電力の社員らによる訓練が行われ、防護服を着た救急隊員が放射性物質が付着しないよう救急車の内部にシートをかぶせるなどしてけが人を搬送する手順を確認したり、放射性物質の拡散を抑えるため福島第一原発の事故のあとに設置された放水設備を使って、高さおよそ80メートルの原子炉建屋に向かって放水する手順を確認したりしていました。

原発から10キロほど離れた共和町にある対策拠点「オフサイトセンター」では原子力規制庁や周辺自治体の職員らが集まって国や関係機関と情報を共有する訓練が行われました。原子力防災担当の内閣府の伊藤副大臣は天候不良で当初、予定していたヘリでの移動ができず、予定より1時間半ほど遅れてバスで到着しました。

総理大臣官邸などと結ぶテレビ会議も行われ、午後3時半すぎ、安倍総理大臣が「原子力緊急事態」を宣言して津波への安全確保を最優先に、原発から半径5キロ圏内の住民を避難させるよう北海道や周辺の自治体などに指示しました。会議の前、北海道庁とを結ぶテレビ会議システムで音声が届かないトラブルがおよそ20分続いたということで訓練の進行に影響はありませんでしたが、道などが原因を調べています。

訓練は14日も続き、原発から5キロ圏内の住民をバスで避難させるほか、外国人観光客の避難誘導を想定した訓練などが行われます。泊原発の事故で大きな課題となっている暴風雪が重なったことを想定した訓練は来年の初めごろに行われる予定です。

政府も緊急時の対応確認

訓練は、再稼働の前提となる国の審査を受けている北海道にある泊原子力発電所で、地震によって原子炉を冷やす機能が失われたうえ、沿岸部に津波が押し寄せて、原発周辺の道路が寸断されたことを想定して行われています。

総理大臣官邸には、13日午後、安倍総理大臣や関係閣僚が集まり、安倍総理大臣が「原子力緊急事態」を宣言して、住民に対し、津波への安全確保を最優先しつつ、避難や屋内への退避を呼びかけました。このあと、総理大臣官邸と北海道庁などをテレビ会議システムを結んで政府の対策本部の会議が開かれ、冒頭、安倍総理大臣は、「国民の安全を第一に、自治体および関係機関と連携しつつ、政府が一丸となって対策を実施する必要がある」と述べました。そして安倍総理大臣は、北海道の高橋知事からの支援要請を受けて、自衛隊の原子力災害派遣や、必要な物資の円滑な供給、それに医師の派遣などを関係閣僚に指示するなど、緊急時の対応を確認しました。

広報対応も確認

13日の訓練では、報道機関への広報対応を確認するため、記者会見も行われました。
原子力規制庁内には、事故が起きたことを想定して国の緊急時対応センターが設置され、安倍総理大臣が訓練の原子力緊急事態を宣言したおよそ1時間後に記者会見が行われました。
緊急時対応センターの広報官が、泊原発3号機で大型のポンプ車を準備し、炉心への注水を試みようとしていることや周辺の放射線量が平常の範囲内になっていることなどを説明しました。

一方、去年の訓練の際、記者会見で原子炉の温度や水位、圧力といった詳細なデータが示されず、公開すべきだという意見が相次いだことを受けて、ことしは、会見場のモニターに模擬のデータが示されました。原子力規制庁はこれらのデータを一般にわかりやすく伝える方法を検討したいとしています。

副大臣の到着遅延時の対応を検討へ

13日の訓練で、原子力防災担当の内閣府の伊藤副大臣は、泊原発から10キロほど離れた共和町にある対策拠点オフサイトセンターに、札幌市の丘珠空港からヘリコプターで向かう予定でしたが、天候不順のためバスで移動し、予定より1時間半ほど遅れて到着しました。
去年愛媛県で行われた訓練でも、オフサイトセンターでの指揮を担当する副大臣の移動が、悪天候のため、急きょヘリコプターからバスに変更され、1時間ほど遅れています。

13日の訓練後に行われた記者会見で、内閣府の平井政策統括官は、今回の遅れは想定の範囲内だったとしたうえで、冬はさらに厳しい気象条件が考えられるのではないかという質問に対しては「大がかりな避難を実施する際、指揮を執る人がいないことは問題だと思う。万が一副大臣が現場に到着できないとき、どうするのか、訓練での1つの問題となると思う」と述べ、来年の初めごろに行う予定の、暴風雪が重なったことを想定した訓練などを通して、対応を検討する考えを示しました。

投稿者:かぶん |  投稿時間:18:28  | カテゴリ:科学のニュース
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