2016年11月17日 (木)

News Up「タバコを吸っていたの?」と聞かないで

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「私、がんになったの」
2人に1人ががんになると言われている時代。家族、友人、同僚・・・身の回りの人から、こう告げられ、どのような言葉をかけてどう接したらいいのか、困ったり迷ったりした経験のある人も多いのではないでしょうか。
11月17日は「肺がん撲滅デー」です。肺がん患者で作る患者会がアンケートをとったところ、「肺がん」と聞くと何気なく聞いてしまいそうな「タバコを吸っていたの?」という質問に傷ついている人が多いことが分かりました。

がん死亡数 肺がんが最多

国立がん研究センターによりますと、肺がんで亡くなった人は2014年に7万3396人と、がんの中で最も多くなっています。肺がんは初期段階の自覚症状があまりないため、発見された時にはすでに進行しているケースが多く、治療が難しいがんの1つと言われています。

今月は「肺がん啓発月間」、特に17日は「肺がん撲滅デー」とされ、全国各地で、肺がんについて知ってもらい、禁煙や肺がん検診の受診を呼びかけたりする取り組みが行われています。

「タバコを吸っていたの?」

「タバコを吸っていたの?」

NPO法人「肺がん患者の会 ワンステップ」の代表、長谷川一男さん(45)は、一般の人にも肺がんについて知ってもらいたいと、会員のメンバー120人へのアンケートを基に冊子「肺がんのわたしがあなたに知ってほしい3つのこと」を作りました。

患者が嬉しく思ったり、配慮が欲しいと感じたりした周囲の言葉や対応についてまとめる中で、長谷川さんが、特に訴えたいと1ページを割いたのが「タバコ」についてです。

長谷川さんは今から6年前の39歳の時に肺がんと診断されました。ほかの臓器にも転移しているステージ4でした。抗がん剤と放射線治療を繰り返し、4年前には右の肺の摘出手術を受け、現在も治療中です。

長谷川さんにがんが見つかった当時、病気のことを身近な人に打ち明けると、必ずと言っていいほど「タバコを吸っていたの?」と聞かれたそうです。しかし、長谷川さんは喫煙の経験はなく、その質問に憤りを感じたといいます。

国立がん研究センターによりますと、日本では、タバコが発生原因の肺がんは男性で69%、女性では20%と推計されています。喫煙は、肺がんのリスクを高めるとされていますが、肺がんにはさまざまタイプがあり、タバコを吸わなくてもなる人も多いのです。長谷川さんもその1人です。

ほかの患者たちも

ほかの患者たちも

今回集まったアンケートでは、タバコを吸っていた人も、吸っていなかった人も同様に、タバコについての質問を「配慮して欲しい」と感じていることが分かりました。

「たいていの人は『タバコを吸っていたの?』と聞きます。私はタバコを吸わない肺がんです。非難がましい、自業自得よとも言わんばかりの投げかけは慎んで欲しい」(60代の女性)

「かなりのヘビースモーカーだったので、それみたことか!!的なことを友人だと思っていた人間に言われたことが、がん告知を受けた時より傷ついた」(40代の女性)

「肺がんは一般的にたばことの因果関係を言われているけれど、たばこと関係のない種類の肺がんがあることも知って欲しい。言われるたびに傷ついています」(50代の女性)

「肺がん=自業自得」のイメージ?

長谷川さんは、この背景には、禁煙運動が定着してタバコを吸うと肺がんになるという考えが浸透した結果、「肺がん=自業自得」というイメージがついたことが影響していると考えています。

もちろん、「タバコについて聞かれてもなんとも思わない」という患者もいますが、長谷川さんは「非喫煙者がタバコの質問をされると『自業自得ですね。あなたの生活習慣のせいで病気になったのですよ』と言われている気がして不愉快な気持ちになります。一方、喫煙者だった場合、事態はもっと深刻です。タバコを吸っていたことを誰よりも後悔しているのに、親しい人にまで自業自得と責められ、冷たく突き放されたように感じて孤独感にさいなまれるのです」と訴えます。

患者にどう接すればいいのか

患者にどう接すればいいのか

では、親しい人からがんを伝えられた時、どのような言葉をかけ、どう接すればよいのでしょうか。

アンケートによると最もうれしかったのは、「応援している」「頑張って」など励ましの言葉だということでした。「体調はどうですか」「大丈夫ですか」など、さりげなく体調を気遣う言葉や態度がうれしかったという人も多くいました。

しかし、難しいのは人によって感じ方が異なることです。「頑張って」という言葉を「すでに頑張っているのに何を頑張ればいいの」と受け止める人がいたり、「大丈夫?」という言葉について「会うたびに毎回聞かれたくない」「毎回病人扱いされたくない」と考える人もいました。

人によって受け止め方が違うことについて長谷川さんは、「がん患者は調子がよい時、悪い時、治療がうまくいっている時、そうでない時、そして気分によって状況が大きく違います。ある時はうれしい言葉も、ある時は配慮して欲しいと感じるのだと思います」と説明しました。

そのうえで、長谷川さんが間違いなくうれしいこととして挙げたのが「さりげない心遣い」と「自然体の接し方」の2つです。

「がんと伝えても、ふだんどおりに接してくれること。また、過度に心配したり特別な配慮をしたりするのではなく、立っていたらすっとイスを出してくれるなど、さりげない気遣いはうれしいです。がんだと聞いて『何て声をかけていいのか分からない』、『どう接したらいいのか分からない』ということもあると思います。その気持ちは患者にも伝わっています。側にいてくれる、話をじっと聞いてくれるだけでうれしいものです」

※ 冊子「肺がんのわたしがあなたに知ってほしい3つのこと」は患者会のWEBサイトでも見ることができます。
http://www.lung-onestep.jp/sashi.html

投稿者:かぶん |  投稿時間:14:50  | カテゴリ:科学のニュース
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