2016年12月05日 (月)

雷で超高層ビルなどに被害 全国10棟

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超高層ビルなどの屋上や壁に雷が落ちてコンクリートの破片などが落下する被害が、少なくとも全国の10棟で起きていたことが、専門家などによる調査で初めて明らかになりました。被害が確認されたビルはすべて古い基準で建てられていて、国土交通省は、今後、必要な対策を検討することにしています。

落雷による超高層の建物への被害は、平成11年に東京都庁の庁舎で100メートルを超える高さから外壁が落ちたことがありますが、被害の報告義務はなく、これまでその実態は明らかになっていませんでした。
雷の専門家や技術者などで作る電気設備学会の委員会では、こうした被害がどれくらい起きているか、去年からことしにかけて建設会社への聞き取り調査などを初めて行いました。
その結果、東京都や大阪府、それに福岡県などの少なくとも10棟の超高層ビルなどで落雷によって屋上や外壁が壊れ、地上などに落下する被害が出ていたことが確認されました。
このうち、都心に建つ高さ200メートル近くの建物では、屋上のふちの部分が落雷によって壊れ、細かく砕けた破片が1階に落下していたということです。
落雷対策について、国は11年前に法律の基準を改正し、高さ20メートルを超える建物については原則として屋上や外壁などにも雷の対策を取るよう求めましたが、一方で、従来の古い基準でもよいという方針を示したため、現在も2つの基準が存在する形となっています。
調査した委員会によりますと、今回の調査で被害が確認された10棟はいずれも古い基準で建てられていて、中には基準の改正後に建設された建物も複数含まれていたということです。
調査を行った委員会のメンバーを務める静岡大学の横山茂客員教授は「落下したコンクリート片などが人にあたるおそれも十分にあり、国は新たな基準を守るべきだという意思を明確にする必要がある」と話しています。
一方、国土交通省建築指導課は「新しい基準は古い基準と設備の設置に関する考えが大きく異なるため、両方の基準を採用していた。今回明らかになった被害の状況を詳しく調べたうえで、必要な対策につなげられるよう検討していきたい」としています。

対策の課題は

建築基準法では、地上20メートルを超える建物には、避雷針など設備面での雷の対策を取るよう求めています。
かつては避雷針によって建物を広い範囲で雷から保護できると考えられてきました。
しかし、その後の研究で、従来の手法では建物の外壁や屋上の角の部分を雷から守りきれないことがわかり、雷から建物を保護する新たな国際基準が作られ、日本でも平成17年に建築基準法令で定められた雷対策の基準が改正されました。
新しい基準では、ビルの外壁に雷を受け止める保護をしたり、屋上の周囲に雷を受け止める金属を張り付けたりします。
必要に応じて避雷針を横に取り付けることも行います。
ただ、基準の改正にあたっては、それまでの古い基準でもかまわないとする付則がつけられ、さらに国土交通省は、パブリックコメントの中で「新たに建築をする際、いずれの設備を設置するのか明確にしてほしい」という質問に対し、「古い基準か新しい基準か、いずれかに適合する避雷設備を設置すればよい」と回答し、11年間にわたって2つの基準が存在する形となっています。
建築関係者によりますと、新たな基準に基づく雷対策は、古い基準に比べてビルによっては数百万円から1000万円以上費用がかかることもあるほか、建物のデザインも変わるため、改正前の基準で建てられる建物も多いということです。
雷対策の国際的な基準作りにも関わった静岡大学の横山茂客員教授は「落雷によって建物から落下したコンクリート片などが、人に落ちる事態がいつ起きてもおかしくない。新しい基準は建設の際に多少の工夫は必要だが、安全性が高まることは疑いがなく、国は新たな基準を守るべきだという意思を明確にし、業界側も順守する姿勢が求められる」と話しています。

雷の発生確率 温暖化で増加の研究結果も

民間の気象会社によりますと、雷は発達した積乱雲のもとで発生し、同時多発的に都市部を襲うことがあり、ことしも関東や東海などで数時間の間に2000から3000の落雷が観測されたことがあります。
また、冬には日本海側を中心に「冬季雷」と呼ばれる雷が発生します。
落雷の数はそれほど多くはありませんが、一度に落ちる雷のエネルギーが大きいのが特徴で、専門家によりますと、夏の雷のおよそ100倍のエネルギーに達することもあり、風力発電の風車の羽根が壊れる被害も確認されています。
地球温暖化がこのまま進行した場合に、将来、国内の雷がどう変化するかについて、具体的な予測はありませんが、アメリカでは雷が発生する確率が現在の1.5倍に増えるとする研究結果も発表されています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:19:25  | カテゴリ:科学のニュース
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