2016年12月20日 (火)

福島の帰還困難区域 来年度から国費で除染へ

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政府は20日の閣議で、原発事故のあと原則として立ち入りが禁止されている福島県内の帰還困難区域の一部で、来年度から始める除染の費用を東京電力には請求せず、国が負担することなどを盛り込んだ基本指針を決定しました。

政府は20日の閣議で、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」を決定しました。

これに先立って開かれた原子力災害対策本部で、安倍総理大臣は「今回の決定に従い、次期通常国会で福島復興再生特別措置法を改正する準備を進める。関係閣僚は密接に連携し、福島の復興再生の道筋を具体化してほしい」と述べました。

決定された基本指針によりますと、原発事故のあと、原則として立ち入りが禁止されている福島県内の帰還困難区域の中に、住民が居住できる復興拠点を整備するため、各市町村は具体的な整備計画を策定するとしています。

そして、復興拠点の整備に向けて、来年度から始める除染の費用について、東京電力がすでに賠償を行ってきたことなどから、国が負担するとしています。原発事故に伴う除染は、東京電力が費用を負担することになっていて、国費が投入されるのはこれが初めてのことになります。

また、指針には、原発事故の影響で避難している子どもたちがいじめに遭う事例が相次いでいることから、教職員を対象とした研修や、いじめに遭った子どもの心のケアなどを強化することも明記されました。

帰宅困難区域の除染 放射線量高く難航か

長期間、住民が戻るのが難しい福島県の帰還困難区域は、ほかの区域に比べて放射線量が高い状態が続いているため、除染には時間や手間がかかる上多くの廃棄物が発生するため作業の難航が予想されます。

帰還困難区域での除染の効果を把握するため環境省は3年前、福島県の双葉町と浪江町の帰還困難区域内の6か所で試験的な除染を行いました。環境省によりますと、除染後の放射線量は6か所すべてでおおむね半分から3分の1にまで下がり、ところによっては避難指示が解除される際の目安となる年間20ミリシーベルト=1時間当たり3.8マイクロシーベルトを下回ったところもあったということです。

しかし、国が長期的な目標としている年間1ミリシーベルト=1時間当たり0.23マイクロシーベルトに比べると、いずれも10倍以上の水準でした。その後、2年が経過した去年12月の時点でも放射線量は高いところで1時間当たり3.57マイクロシーベルトとなっていて、ほかの区域に比べて放射線量が高い状態が続いています。

このため、帰還困難区域で今後、本格的に行われる除染では、地面の土をより多くはぎ取るなど時間や手間がかかるほか、廃棄物も多く発生することから作業の難航が予想されます。

除染に国費投入する理由は

20日閣議決定された指針では、原発事故の影響で長期間住民が戻るのが難しい福島県の帰還困難区域の除染やインフラ整備などの費用に国費を投入することが盛り込まれています。除染の費用を国が負担するのはこれが初めてで、政府は来年度の予算案におよそ300億円の予算枠を確保することにしています。

東京電力福島第一原子力発電所の事故による除染の費用について、これまでは事故を起こした東京電力が負担することが法律で定められ、除染を行う政府が費用をいったん立て替えたあと東京電力に請求することになっていました。

これは、汚染を引き起こした者が環境を回復するための費用を負担すべきだとする汚染者負担の原則という世界的な考え方に基づくもので、水俣病などの公害対策もこの原則に沿って行われてきました。

今回の指針はこの従来の枠組みからはずれるため、指針には来年の通常国会に、関連する改正法案を提出することも合わせて盛り込まれています。

政府は国費を投入する理由について、東京電力が帰還困難区域の住民に対し、長期間戻れないことを前提にした賠償を行ったことや、国が担うインフラ整備と除染を一体的に行うことなどを理由に挙げていますが、原発事故に伴う費用が大きく膨らんでいることも背景にあると見られます。

特に、今月、経済産業省が新たに示した見通しでは、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉や賠償、除染などの費用がこれまでの2倍の21兆円余りに上るとしていて、国の有識者会議が東京電力の収益を増やす抜本的な改革が必要だと指摘しています。

しかし、与党内からは原発事故を起こした東京電力への請求を徹底すべきだという意見が出ていて、指針について政府は、今後丁寧な説明を求められることになります。

投稿者:かぶん |  投稿時間:12:28  | カテゴリ:科学のニュース
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