2017年01月13日 (金)

「宇宙兄弟」作者と宇宙飛行士が対談 何を語った?

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「宇宙兄弟」。累計の発行部数が1700万部を超える人気漫画です。漫画家の小山宙哉さんは綿密な取材をもとに近未来の宇宙開発を描いています。その小山さんが日本人宇宙飛行士の大西卓哉さんと対談しました。ことしは日本にとって宇宙開発への民間の参入が大きく広がる年です。それぞれの立場から宇宙を“発信”し続ける2人が語り合いました。

小山さんが10年前から描いている漫画「宇宙兄弟」。宇宙に憧れる六太と日々人の兄弟が主人公です。漫画でたびたび登場するのが、国際宇宙ステーションです。大西さんは去年10月末までここに4か月滞在。小山さんは、その暮らしぶりについて質問しました。

(小山さん)「眠れました?初日とか」。
(大西さん)「初日はもう疲れたので、ぐっすり眠ったと思いますね。体が全然力使っていないので、眠りの質はよかったですね」。
(小山さん)「みんなでゲームとかしないのですか?」。
(大西さん)「みんなで映画観たことはありました。私は『スター・ウォーズ』が好きなので『スター・ウォーズ』観たりとか」。
(小山さん)「いいですね、宇宙で『スター・ウォーズ』」。

熱が入った“帰還”取材

熱が入った“帰還”取材

小山さんがぜひ聞きたかったのが、宇宙から地球へ帰還する時。宇宙飛行の中でも難易度が高い地球への帰還。どのような困難があるのか、小山さんが大西さんに質問しました。

(小山さん)「帰還した時のこと、うかがってもいいですか」。
(大西さん)「ボーンと、パラシュートが開いて、もうあとは上下左右わかんない。揺れというか、回転ですね、ぐるぐる、ぐるんぐるんと、こうよく言われるのが滝をカプセルに乗って落ちてるような、そういう感じが何十秒間は続くんですよね結構ドラマチックです、帰りは」。

「宇宙兄弟」の大ファン

実は大西さんも『宇宙兄弟』の大ファン。宇宙飛行士を目指していたころから熱心に読んでいたといいます。大西さんは、9年前、宇宙飛行士になるための試験を受けたときのことを話し始めました。

(大西さん)「私、2008年に選抜試験を受けまして、2009年に選ばれたんですけれど、ちょうどその選抜試験やっているときに、この『宇宙兄弟』さんの選抜試験の様子を描かれていたので、その時に私は知りましたね」。

大西さんが受けた選抜試験。外部から隔離された施設で、志願者たちが寝食をともにしながら課題に取り組みます。その行動はカメラですべて監視されています。小山さんは漫画で、隔離された環境で志願者たちが抱えるストレスや、ライバルに向ける心の動きをリアルに描きました。

(大西さん)「初日、カメラをどうしても意識するので、みんな結構いいやつだったんですよね。自分もやはりそういうこと考えて、いいやつぶってたんですよね。そうするとすごい1日目に疲れて、1日目が終わったときにどっと疲れてしまって。2日目からは、もうありのままを出していくようにしたんですよね。まあ肩の力が抜けたというか自分の実力を素直に出せてそれが逆に効果的だったと思いますね」。
(小山さん)「僕自身どうなのかちょっと想像つかないですけどね。ずっとカメラで撮られてるっていう感覚というのは」。

大西さんも評価~実験シーン

大西さんも評価~実験シーン

大西さんが「漫画のなかでよくぞ描いてくれた」という場面があります。父親を難病で亡くした女性宇宙飛行士が、国際宇宙ステーションで新薬の開発につなげるための実験に挑みます。困難を乗り越えながら実験は成功。小山さんが特に思いを込めて描いた場面です。

(大西さん)「27巻拝見しましたけど、よく描かれてるなと思ってみてたんですけどね。本当にきぼうの中とか、いろいろなもののレイアウトとか本当にそのままで」。

大西さんも国際宇宙ステーションで、作品に描かれたようなたんぱく質の結晶を作る実験に取り組みました。

(大西さん)「どうしても宇宙飛行士の世界って船外活動やりましたとか、いわゆる華のある場面に目が向きがちなんだけど、宇宙でやっている研究だったり実験に従事していることのほうがはるかに長いんですね。ああやって実験に焦点をあてて結構なページを割いて描いて下さったのはすごくうれしかった」。
(小山さん)「絵的にもそうですし、内容的にも難しいことなんで、描くのが本当に難しかった」。

宇宙開発“これから”は

宇宙開発“これから”は

大西さんが宇宙に向かった去年7月7日。小山さんは、色紙にメッセージを描いていました。「月・火星への挑戦を期待しています」。

(大西さん)「私、自分のミッションバッジにも、月とその先、火星を描いたので、夢は地球以外の天体に降り立って、そこから地球を見てみたいということが、1人の人間としての夢なんですよね。宇宙兄弟の六太(主人公)のように」。
(小山さん)「月へ行って、僕もちょっとそこから地球を見てみたい」。

話題は今後の宇宙開発について。ことしは、日本でも民間の宇宙開発が本格化する年と言われています。

(大西さん)「宇宙開発というと、本当私が子どものときって、アメリカか当時のソ連というイメージしかなかったですよね。どんどん民間がこれからどんどん宇宙の事業に参入していく時代が来ると思うんですけれども、民間の企業の良さと、例えば国がやっていることの良さっていうのがうまく融合し始めていると思う。そういった動きもこれから日本で強くなってくれるとすごくうれしいですね」。
(小山さん)「日本でね、民間の企業がね、いつか有人ロケットとかね。ちょっと夢見てしまいますね」。

子どもたちに宇宙の夢を

子どもたちに宇宙の夢を

宇宙飛行士と漫画家、2人の共通した思いは、今の子どもたちに宇宙への夢を抱いてほしいということです。

(大西さん)「宇宙にとっての理解だったり興味だったりというのが、世の中自体で底上げされると、相乗効果で、私たちいわゆるプロの宇宙飛行士がやっている宇宙開発っていうのも、どんどん周りから理解していただいて、より相乗効果で高め合えるといいなと思うんです」。
(小山さん)「僕は漫画を描いて楽しんでるだけではあるんですけれど、それを読んで興味を持ってくれれば。次世代の宇宙飛行士が、『宇宙兄弟』読んで来ましたって」。
(大西さん)「もう絶対出てくると思いますね、ぜひ頑張ってください。応援しています」。

投稿者:かぶん |  投稿時間:22:03  | カテゴリ:科学のニュース
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